第257話 【家族団欒・1】
再会した日は皆、涙を流した真面に話す事が出来なかったブラッド家は翌日、家族だけが改築したブラッド家の会議室に集まっていた。
「……正直な気持ちとして、こうしてグレンと喋れる日が来るとは思ってなかったよ。どんな理由があったとしても、私達はグレンの事を捨てた側だったからね」
「まあ、そこには色々と思いもあったんだなって分かってるから、別に言わなくても良いよ。それに父さん達の決意のおかげで、俺は悪魔に体を乗っ取られる事も無くこうして生きていけてる訳だし」
そうグレンが言うと、その言葉にグレンとグラムの父、グレイは目に涙を浮かべ。
ほどなくして、その涙は決壊して大粒の涙を流した。
「うっ、うう……ごめんなグレン……」
「あなた、今日は泣かないって、決めたでしょ」
グレイの涙に耐えていたグレンとグラムの母アリアは、止める言葉を掛けつつも自分も涙を流し始めた。
「父さん、母さん。感動するのは分かるけど、その分グレンと話す時間が無くなるからね。一応、グレンはもうじき帝都から居なくなるんだから」
「ッ! えっ、そうなのか!?」
「やっと、家族が再会できたのに何処かに行っちゃうの?」
グレイとアリアは、グラムの言葉に涙を拭いてそう聞いた。
「……伝えていたと思うけど、グレンはデュレイン国の貴族になってその国から領地を貰ったからそっちで暮らす事になってるんだよ。そうだよねグレン?」
「ああ、そうなってる。今ここに居るのは、あっちにいると色々と騒がしいのと、こっちで領地に使えそうな事を色々と試したくてここに居るんだ」
「そう言えばそんな事を聞いたな……グレン、一人でそこまで成り上がったんだな……」
グレイはグレンの言葉にそう感心したように言うと、グレンは「一人じゃない」と言って、フレイナ達の事を話した。
「成程な、グレンは妖精に好かれるているのか……正直、羨ましいな」
「そう言えば、父さんはどの種族から好かれてるの?」
グラムは悪魔、グレンは妖精とブラッド家には特殊な血なが流れている。
母であるアリアは嫁として嫁いでいるので、ブラッド家の血が流れていない為、好かれる対象は居ない為、グレンはそうグレイに聞いた。
「父さんは魔物のウルフ種から好かれる体質だ。子供の頃にウルフを見てカッコイイって感じてそれからだな」
「へ~、なんか子供って感じだな」
そうグレンが言うと、グレイは「子供の時だったからな」と照れた様子でそう言った。
その後、アリアはグレンに手料理を食べさせるのが夢だったと言って、厨房の方へと向かった。
「グレン、アリアの料理は凄く美味しいから驚くなよ」
ニカッと笑いながらそうグレイが言うと、アリアは「あまりハードル上げないで超だよ」と厨房から文句を言った。
それから少し待ち、アリアは料理を持って戻って来た。
アリアの作った料理は、シンプルな作りをした肉料理。
貴族が食べるような豪華さは無いが、グレンは逆にその庶民感を感じて「美味しいそう」とボソッと口にした。
そしてグレンはアリアの料理を口に入れ、味を堪能して「美味しいよ母さん」と言った。
そうしてグレンは察していたが、感想を聞いたアリアは先程のグレイと同じように大粒の涙を流した。
「それにしても本当に美味しいな……母さんって、元というか今もそうだけど貴族なのによくここまで料理が美味く作れたね」
「沢山練習してたのよ。グレンといつか再会した時に親らしい事が出来なかったから、せめて美味しい手料理くらいは食べさせてあげたいと思ってて」
「そうだったんだ……ありがとう母さん」
その後、グレンはアリアの作った料理をおかわりまでして、綺麗に食べ尽くした。
「それにしても、グレンは本当にいい男に成長したな」
「そう? 昔は目付きが悪くて、色々と言われてたけど? 父さん達は知らないの、俺の昔言われてた噂」
「グラム経由で少しだけ聞いてたけど、そんな男に成長してる筈がないって、父さん達は最初から言ってたよ。現に後からグラムから聞いたら、仲間の一人が捏造してたって話だったんだろ?」
グレイ達はグラムから事の詳細を聞いていた為、グレンの噂について最初から信じていなかったとハッキリと口にした。
その言葉を聞いたグレンは、心の奥底で少し心配していたことが解けてホッとしていると、そんなグレンの頭にグレイは手を置いた。
「離れていても、子供の事を疑う親はいないからな」
グレンの気持ちを察したグレイの言葉に、グレンは笑みを浮かべて「ごめん」と疑った事に対して謝罪を口にした。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。





