第256話 【帝都でのお手伝い・4】
それからグレンは二週間程、帝国に居座り帝都の手伝いを続けた。
流石にそれだけいると、国もグレンの居場所を突き止めて何人か連れ戻しに来たのだが。
頑なにグレンは帰ろうせず、帝都の再建を行い。
悪魔との戦いでボロボロとなっていた帝都は、もう既に都市として完成している。
「まさか、こんなに早く帝都が完成するとは思ってなかったよ……ありがとうグレン」
「好きでした事だからな、それに色々と自分の都市を作る際のアイディアも浮かんだし、いい経験が出来たから俺の方こそ感謝してるよ」
お礼を言ったウィルドに対して、グレンはそう言ってこの二週間の知識と経験はいい経験だったと振り返りながらそう言った。
今グレン達が居るのは、新しく建てた帝国の新しい城。
城主は勿論、帝国の主であるウィルドで他国に求人を出して、既に数十人のメイドや従者が居る。
帝国は元々、鉱山等も保有していて多額の賠償金を払っても尚、固有出来る資産は持っていた。
更に悪魔を従えている為、他国で困っている魔物の退治等を率先して悪魔達にやらせて、それの報酬金を国に集めさせている。
「悪魔はやっぱり物作りより、ああして戦わせるほうが向いているみたいだね」
どんなに強い魔物だろうと、悪魔の持つ力はそれを上回っている。
グラムは悪魔達が稼いできた金を管理していて、その集まったお金を見てそう満足した顔で言っていた。
他国に避難していた帝国貴族も戻って来て、新しい皇帝であるウィルドに仕え、グラムと共に国の再建を手伝っている。
ブラッド家に並ぶ力のある家も無事に生きていて、数年もすれば帝国は元に戻るだろうとグラム達は言っている。
「全部グレンのおかげだけどね。本当にグレンが生きてて、強くなっててくれた事が帝国にとって、いや世界にとって本当に良かったよ」
グラムはそうグレンにお礼を言うと、グレンはそんな兄であるグラムに照れた様子で「そんな大した事はしてない」と言った。
そうして帝国の再建が進み、貴族達が戻ってきたところでグレンはもう一つの目的の為にブラッド家でとある人達を待っていた。
「こんなに緊張してるグレン。久しぶりに見たわね」
「そりゃ、緊張するだろ……生みの親に初めて会うんだから」
違う大陸まで避難させていた実の両親がようやく帰国したと告げられたグレンは、いつもの服ではなく身綺麗に整え両親を待っていた。
生まれて一度も会った事の無い両親に会うという事に対して、グレンは物凄く緊張している。
「でも、そんなに緊張するものなの? 私に親とか居ないから分からないけど、グレンもずっと両親が居ないと思っていたんでしょ?」
「……教会で住んでた頃は、別に両親の事なんてどうとでも良いと思ってたよ。そもそも居るのかすら分からなかったからな、ただ帝国に来て兄さんから両親の事を聞いた時、俺の為に危険をおかしてでも守ってくれた人達って知って凄い人達だなと感じたんだ。それで両親と会ってみたいって気持ちが芽生え、こうして今緊張してるんだよ」
「そうなのね……あら、そうこうしてる間に着いたみたいね」
グレンの言葉に相槌をうったフレイナは、家の近くにグレンに似た魔力を感じてそれグレンの両親の魔力だと気付いてそう言った。
するとグレンはフレイナの言葉に、ビクッと体を反応させて背筋をピンッと伸ばして硬直した。
そんなグレンを見て、フレイナはクスッと笑みを浮かべ「このままじゃ、折角の再会なのに勿体ないわね」と言ってグレンの緊張を魔法を和らげた。
「父さん母さん、ここにグレンが待ってるよ」
グレンに魔法を掛け緊張が和らいだ直ぐ後、グラムの声が聞こえるとグレンの待つ部屋の扉が開き、扉の先からグラムと一緒に二人の男女が入って来た。
男性はグレンと似た赤い髪で青い眼をした男性で、雰囲気がグレンと少ししていた。
女性の方は金の髪色に赤い眼をしており、目がキリッとしていてグレンと似た目をしていた。
二人の姿を確認したグレンは、何か言おうとしたがどんな事を言えば良いのか分からなくなり、二人から目を離してしまった。
「ッ!」
そんなグレンとは対照的に男女は涙を流してグレンに駆け寄ると、グレンの事を強く抱きしめ涙を流した。
一瞬、慌てたグレンだったが二人の想いが伝わり、グレンも二人を抱きしめた。
感動の再会を果たした両親とグレンの様子を見ていたグラムは、三人の姿を見て静かに涙を流し、グラムもその家族の輪の中に入った。
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