第252話 【パレード・4】
それから、ゆっくりと動いていた馬車は止まると、パーティー会場の方へグレン達は移動する事になった。
その頃には既にグレンは限界を迎えており、会場の場所を聞くなり、転移目でガリウス達と共に移動した。
「これで少しだけ時間が出来ただろ、少しだけ休む事にする。準備が出来たら、起こしてくれ」
「……ああ、分かったよ」
「は~い、寝てていい~」
流石にグレンの容態を近くで見ていたガリウス達は、横になったグレンにそう言って人が集まるまでの間、グレンの近くで待つ事にした。
それから十数分後、人が集まりパーティーが開催された。
流石に大勢の人が開催に携わっている為、グレンはなんとかそのパーティーに出席。
だが既に限界状態のグレンは、一人で残されるのは無理な状態な為、ガリウスと共にずっと一緒に居る事にした。
「あ~、やっと帰って来れた~!」
その後のパーティーでは、一言二言喋るか喋らないかというグレンは、元の性格もあってその状態でも特になにか言われる事は無かった。
この時、グレンは自分が今まであまり人と関わらない生き方をしていて良かったと感じた。
結果的に挨拶に来る者達に特に悪い印象は残さず、グレンはパレードを乗り切る事が出来た。
「グレン、ガリウスとウォルドレットには感謝しないとね。ずっと横に居てくれたもの」
「ガリウスには本当に後で礼をいうよ。ウォルドレットは、今回の原因だしな……まあでも今日の事は感謝してるし、ちゃんと礼は言うよ」
グレンはそう言った後、風呂の用意をしてゆっくりと風呂に入った。
入浴後、夕食はパーティー会場で食べて来ていたのでそのままグレンは寝室へと向かい、ベッドに横になって直ぐに眠った。
「ふふっ、一日頑張っていたものね。おやすみ、グレン」
フレイナはそう言いながらグレンに毛布を掛け、眠っているグレンの顔を見て姿を消した。
翌日、未だ王都内はお祭り気分で騒がしく、グレンは気軽に外を出歩けないでいた。
「……よし、グラム兄さんの所にいこう。向こうなら、こんな事にはなってないだろうし、手助けは必要だと思うからな」
「あら、でももう直ぐで領地に行くんじゃないの?」
「後数日も耐えられん、行ける様になったら帝国から直接向かう」
グレンはもう決めたという雰囲気でそう言うと、転移眼でまず城に向かい帝国の手伝いに行ってくると伝え、転移眼で再び転移して元帝都があった場所へと転移した。
「へ~、結構片付いてるんだな、復旧してる建物もここから見えるし」
「片づけは部隊の人達が最後にやって行ったのよ。流石に、あんな状態で放置するのもアレだし、体を動かしたりない人もいたみたいで」
特にマーリンは、下位悪魔としか戦えず動き足りん! と叫んだとグレンは聞き、呆れたながら帝都の中を歩き、グラムの元へと向かった。
グラムは会議場所として使っている元ブラッド家の敷地内で皇帝であるウィルドと話していた。
「グラム兄さん、ウィルド。久しぶり」
「グレン? なんでグレンがここにいるんだ? 貰った領地に行くんじゃなかったのか?」
グラムはグレンが自分の貴族になった事は勿論知っていて、これから領地の方で忙しくなると思っていた。
その為、この場にグレンが居る事に驚いた顔をしている。
「……王都のお祭り気分に耐えられなくなって、こっちに逃げて来たんだ。どうせ、人が足りないと思って少しの間、手伝いに来たんだ」
「手伝いにって、確かにグレンが居たら色々と助かるけど……本当に良いの?」
「ああ、こうして普通に外を出歩く事さえ今の王都では無理だからな、気分転換にもなるから逆にやらせて欲しい。いいか、ウィルド?」
「僕としても、グレンが手伝ってくれるのは嬉しいよ。今はどんな人の助けでも狩りたいから、グレンがいいなら復旧作業手伝ってほしい」
そうウィルドから言われたグレンは「おう、数日間だけどよろしく」と言い。
無事、グレンは自分の逃げ場所を確保した。
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