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第25話 【報告会・2】


 語り始めたグレンの話は、フローラ達にとってとても欲しかった情報がいくつもあった。


「俺がその怪しい奴を見たのは、迷宮の中だったな。如何にも怪しい者ですよって格好をしてて、アレインも俺を含めたパーティーにバレない様に密会をしてたな」


「迷宮の中か……確かに、あそこならバレる確率も低いか」


「それに俺達のパーティーって殆ど、迷宮探索ばかりだったからそこも隠れ蓑となってたんだと思うぞ」


「成程な、言われてみればアレイン達のパーティーが外で依頼を受けてるのなんて殆ど見た事が無かったな」


 グレンの言葉に、ギルドで働いておりアレイン達を見ていたルドガーは、そう納得した様子でそう言った。


「それでその怪しい奴なんだが、俺も一回しか確認出来なかったから確証は言えないけど、蛇と剣のマークをしたペンダントをアレインに見せてたと思う」


「蛇と剣!? グレン、ちょっと待ってて!」


 フローラはそう慌てて言うと、本棚に駆け寄り一冊の本を取って戻って来た。

 数ページ本を捲ったフローラは、ズイッとグレンに見せて「こんな模様だった?」と尋ねた。


「ああ、確かそんな模様だったな。有名な組織なのか?」


「ええ、でも証拠を一切残さない組織で今現在調べられてるのは、組織の名前とグレンが見たっていう模様くらいなのよ。でも、何処の組織が関与していただけでも分かって良かったわ」


「流石、グレン君ね」


 そうマリアが言うと、子供の頃の様にグレンの頭をヨシヨシと撫でた。

 知り合いに囲まれ、更にマリア達は知らないが500の妖精達に見られているこの状況でヨシヨシとされたグレンは羞恥心を感じた。

 その後もグレンがアレイン達と行動をしていた際に、違和感を覚えた内容をフローラ達に伝えていった。

 それにより、これまで止まっていた事件の解決に大きく進むことが出来、フローラ達はグレンに対して感謝した。


「改めて、グレンが帰って来てくれて本当に助かった。一年、全く進まない事件が一気に進んだよ」


「まあ、それは偶々だからな。偶々、その現場を見ていたってだけだしな」


「そうだとしても、こっちとしては本当に助かったよ」


 そうルドガーに言われたグレンは、少し照れたような表情をして最初に渡されたアレイン達の現在の活動が記入された資料に目を通した。



 うん、いや思っていた通りの内容だな……


「どう? 結構、細かく書いてると思うんだけど?」


「ああ、確かに細かく書かれてるな。でもまあ、予想通りの活動内容だなって」


 捜査対象だからなのか一日を通しての活動内容が細かく書かれてるけど、その殆どが迷宮での活動。

 その他は、極力宿かギルドにしか行っていない。


「それにギルドで出してる素材も俺が居た時より、ランクが下がってるのを見ると彼奴ら迷宮の探索階層を弱い所に変えたみたいだな」


「そうだな、前はもう少し上級の素材を持って帰って来たがBランクに上がってからは、CランクかDランク帯の素材を持って帰って来るようになったな」


「まあ、彼奴らの戦力だったらその位が妥当なラインだよな。だって、迷宮探索の時殆ど戦闘は俺任せだったし」


 魔法と剣、両方使える俺は前線を任され、殆どの戦闘を俺が行っていた。

 アレイン達は4人固まって後ろに控えていて、偶にちょくちょく魔法を撃ったり、弓で攻撃したりしていただけだ。


「ああ、それもグレンの入れ替わる様に入った冒険者から聞いたよ。引継ぎしたんだから、出来るよな? って最初の探索の時に言われて、本当に自分一人しか戦わない状況になってギルドに即報告しに来た」


「やっぱりそうなったのか、一応そうなるから頑張れよって言ったんだけどな……」


 あの時、ラウスには防音魔道具の大事さと戦闘での大変さを伝えた。

 伝えたからと言って、直ぐに対応なんて出来ないからアレイン達も最初は戦うかと思ってたけど、流石アレイン達だな。


「グレンと同じ働きって、それ他の子だと難しいと思うわよ?」


「そうか? 普通に、魔法と剣術出来たら真似できるんじゃないか?」


 フレイナに鍛えられた今は、大分強くなった感覚はあるけど、当時はちょっと魔力が多い魔法剣士だったと思うんだけどな?

 そんな風に俺が思っていると、何故かマリアさん以外からジト目で見つめられた。


「えっ、何どうしたんだ?」


「グレン言っておくけど、グレンが自分で思っているより実力は相当上なのよ?」


「そうだぞ、パーティーを組んでて迷宮の探索メインだったから依頼の達成度が足りなくてAランクだけど、お前の実力だとその上になっててもおかしくないんだからな」


 ルドガー達に真顔でそう言われた俺は「は、はい」と、少し引いた感じに返事をした。



 それから、アレイン達は一年前と変わらず、ただ迷宮に潜って偶に問題を起こし、毎日お盛んになっている事を知ったグレンはアレイン達の話題から別の話題へと変えた。


「アレイン達の事は分かったから、他の事も聞きたいな」


「他の事って、何が聞きたいの?」


「う~ん、そうだな……」


 フローラにそう返されたグレンは、暫く考え込み一つ聞きたい事を思い出した。


「そういや、俺の悪い噂って今どうなってんだ? 本人が一年消えてたから、薄まってると嬉しいんだけど」


「ああ、その噂なら殆ど消えてるわよ。というより、アレイン達の悪い部分が見えてそっちに話題が持っていかれた感じだな。なんだかんだ〝グレン〟ってワードは有名で、そこのパーティーも必然的に話題の種になりやすかったからな」


「成程な、酒の話ネタ程度に彼奴らの噂が流れて、俺のが掻き消えたって訳か。まあ、こっちからしたら今更気にする所でも無かったけど無くなったんなら、それに越したことは無いしな」


 グレンはアレイン達に感謝感謝と言い、その後は国の情報や一年間の間で起こった事件等を聞いて行った。

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