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第248話 【表彰と褒美・4】


 フローラはグレンから受け取った資料を読み進め、その内容に「英雄って凄いわね」と言葉が零れた。


「どうだ? お前から見てもいい所なのか?」


「素晴らしい場所よ。流石、英雄様に対しての褒美ね」


 グレンの質問にフローラはそう返すと、どれ程この土地が良いのがグレンに説明をした。

 資料を見てある程度、理解していたつもりのグレンだったが商人目線から見たフローラの話を聞いて、改めて凄い場所を貰ったと認識した。


「これ、数年もすれば王都に次ぐ発展した街を作る事も出来そうね……」


「そんなにか? 確かに良さげな土地だと思うけど、流石に数年で王都に次ぐ街にまで発展は無理だろ」


「そんな事無いわよ。ここの土地、凄く良い物が揃ってるからちゃんと整えたら凄く人が来ると思うわ」


 フローラはそう言うと、外に一度出て秘書を連れて来て一緒に話し合いに参加させた。

 フローラの連れて来た秘書、アンナはグレンの土地となった場所を見てフローラと同じ意見を言った。


「商会長、これ王都に支店を置いて本店をグレンさんの領地に移動させた方がいいと思いますよ」


「やっぱり、そうかしら? でもお得意様もかなり王都に居るけど、大丈夫かしら?」


「お得意様には説明すれば理解してくれると思いますよ。それに彼等も、グレンさんの土地に私達の商会の本店があれば繋がりが出来るからと喜ぶはずです」


 と、領主であるグレンを置いて、アンナとフローラは本店を移動させるべきか否かの話し合いを始めた。


「おい、フローラ。折角、何年も掛けて王都に地盤を作ったのに、それを捨てるのか?」


「捨てはしないわよ。ただ本店が移動するだけよ。それに、グレンだって私が領内に居た方が色々と都合がいいと思うわよ?」


「……どういう所でだ?」


「私は他の国に結構繋がりを持ってるから、領地の整備が終わり次第すぐに貿易を始める事が出来るわ」


 フローラのその言葉にグレンは、確かにフローラは顔が広くて他国にも繋がりはあるだろうなと考えた。


「それに、私の部下には多くの技術者が居るわ。その子達をグレンの領地に移動させたら、領地の発展も早く進むと思うわよ」


「……それ、良いのかよ。勝手に商会長が決めても、部下にも家族とか居るだろ」


「大丈夫よ。技術者の子達は、グレンの領地の情報を見せたら直ぐに準備して移動すると思うわ。それに駄目っていう子が出ても、無理して連れて行かないし」


「それならいいけど……」


 無理矢理連れてこられたら、自分が話したせいで生活が変わってしまうのは気が引ける。

 そう思っていたグレンは、無理に連れてこないと言ったフローラの言葉を信じてそう言葉を返した。


「まあ、でも今すぐに領地経営の方には行けないけどな、何か話によるとパレードがあるらしくて、俺もそれに参加しろって言われてるんだ」


「そう言えばそんな話があったわね。グレンが寝込んでいたから、後回しにされていたものね」


「ああ、そうらしいな。俺が居ない間に終わらせてくれてたら、本当に良かったんだけどな……」


「そう言う訳にも行かないでしょ、グレンが主役なんだし」


 グレンの愚痴に対してフローラがそう言うと、アンナは少し考え込むとその自分の脳裏に浮かんだ事を話した。


「もしかして、元々グレンさんを貴族にする事はほぼ決定事項だったんでしたら、そのパレードでグレンさんが貴族になった事を発表したりするんじゃないですか?」


「……いや、流石にそんな事はしないだろ」


「そうですかね。グレンさんの話を聞いてると、そんな事になりそうな予感がしますけど……」


 そうアンナが言うと、フローラはグレンに「あの子の勘、かなり当たるわよ」と不安を更に増加させる言葉を言った。


「……まあ、その取り敢えず領地に一度見に行かないと今後について色々と分からないから、その時はフローラも一緒に来るか?」


「ええ、そうさせてもらうわ。楽しみにしてるわね」


 その後、グレンは少し頭痛を感じながらフローラの商会から自宅へと転移眼を使い帰宅した。

 帰宅後、ニアがリビングで待っていてグレンの様子に「大丈夫?」と心配そうな表情で聞いた。


「ちょっと心配になった事があっただけだから、そこまで悪い訳じゃない……ただ少し寝る事にするよ」


 本当だったら他にも行く所があったが、グレンはそれから自室へと向かい頭痛を治す為に眠る事にした。

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