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第247話 【表彰と褒美・3】


 転移で戻ってきたグレンは、ベッドに腰を掛けるとフレイナを呼んだ。


「なあ、フレイナ。どう思う?」


「他の国々の王達は分からないけど、彼等からはグレンに対しての感謝しか感じなかったから、本心でグレンの為にと思って選んだと思うわよ。それに私も見たけど、悪くない条件に土地も良い場所だと思うわよ」


「別に土地とかは関係ないんだよ。俺が貴族になるってのが、自分でどうしようか決めきれないんだ……教会出身で貴族になるって、物語の中だけの話だと思ってたのに……」


 グレンは、幼き頃に読んだ物語を思い浮かべながらそう言った。


「グレンは世界を救った主人公じゃない」


「主人公って……俺、そんなキャラじゃないだろ」


「そうかしら? 仲間達から追い出されて、妖精族と仲良くなって、悪魔が怖がる存在になって、その悪魔を倒したって十分、主人公だと思うけど?」


 フレイナはこれまでのグレンの辿った道を簡単にそう言うと、グレンは心の中で客観的にみたら主人公っぽいなと思った。


「それにグレン、あの資料に書かれてた温泉。かなり良いと思うわよ」


「そこなんだよな~、自分専用に改築していつでも入れるようにしたらマジで最高だなってあれを見た瞬間思ったよ」


 フレイナのその言葉にグレンは結局、貴族になるのはな~という気持ちが吹っ切れて褒美を受け入れるようと決めた。

 それに土地的にも帝国と繋がってると言う事は、これから先帝国と繋がるだろうから良い場所だなともグレンは思っていた。

 そして翌日、昨日の約束通りグレンは城に訪れ、褒美を受け取ると国王達に言った。


「受け取ってくれて、良かったわ。受け取って貰えなかったら、また褒美を決めるのに各国の王達を呼んで議会をしようと思っていたのよ」


「……そんな事で、他国の王達を集めないでくださいよ」


「そんな事って、英雄への褒美は大切な事よ?」


 グレンの言葉に、リシアナは真面目な顔をしてそう言った。

 それからグレンは諸々の手続きを行い、デュレイン王国の貴族となった。


「元は教会で過ごしてた人間が、大国の、それも公爵の爵位に付くなんてな……」


「この事を公表したら、詩人が更にグレン君のお話を書きやすくなるわね」


「既にグレンの話は、多くの場所でやってるらしいからな」


「……また妖精界に引きこもろうかな」


 グレンは周りが煩くなりそうだなと思い、そう溜息交じりに呟いた。

 その後、グレンは王様達と別れ、家に戻って来た。


「ニア、俺貴族になって来た」


「うん、公爵様何だよね?」


「そうだ。領地も広い土地を貰って、正式にこの国の貴族なった。そこでだニア、正式に俺の家臣にならないか?」


 これまでニアに給金を払い、雇用していた。

 そこをグレンは正式に貴族になった為、家臣としてニアを自分の家の一員へと迎えようとニアに提案した。


「家臣になったら、今と何か変わるの?」


「特に変わらん、良い事と言えば給料が上がる事だろう」


「そうなの? ん~、じゃあ家臣になる。妖精さん達と離れたくないし」


 ニアはグレンの提案に対して、妖精と離れたくないからと言い、家臣になる事を決めた。

 グレンはニアを今更手放し、新しい料理人を探すのは無理だと思っていたので無事に家臣になってくれて心の中で安心していた。


「貴族としての責務はある程度、免除されるとはいえ領内の管理位はしないといけないだろうな……」


「領内の管理なら私達も手伝えると思うわよ」


「ああ、だがお前らに頼りっぱなしもな……一応、フローラに話を聞いてもらうか、フローラなら協力してくれそうだしな」


 それからグレンは、転移眼でフローラの商会へと転移した、

 突然のグレンの登場に一瞬だけ驚いた商会の人間は、フローラの所へとグレンを案内した。


「グレン、来るなら事前に連絡くれないかしら?」


「すまんすまん、ちょっと急ぎで話を聞いて欲しくてな」


「何、話って?」


 それからグレンは、自分が貴族になって広大な土地の領主になった事をフローラに話した。


「成程ね……ねえ、そこの土地の資料って今持ってるかしら?」


「ああ、あるぞ。これだ」


 グレンはそう言って、自分の領地となった場所の資料をフローラに見せた。

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