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第244話 【10日後・4】


 食事中、賢者と聖女はニアの作ったスープを絶賛し、絶賛されたニアは照れた様子で笑っていた。


「のう。グレン、儂の気のせいじゃったら良いのじゃが、また少し魔力が上がったか?」


「それフレイナも言ってたが、俺自身分かんないんだよな……現状、魔力が回復しきってないから、どれ程増えたか自分で認識出来てないんだ」


「ふむ……儂の感覚じゃと、帝国に行く前から倍近くは上がって居る様にみえるが、妖精の長よどうじゃ?」


 賢者はグレンの魔力がどれ程、上がったのかフレイナにそう聞いた。


「流石、人間界で賢者と呼ばれているだけある人ね。確かにグレンの魔力は悪魔との戦闘前より、2倍ほど上昇しているわ」


「ふむ、やはりか……10日も魔力減少が続いてると聞いて、不思議に感じたがそう言う訳じゃったのか」


「元々魔力が人間の領域を超えていたグレンさんでしたけど、それが更に倍に伸びてしまって減少状態が治るのに時間がかかっているんですね」


「……もし次も減少状態になったら、これと同じ苦しみを味わうのか?」


 賢者達の話を聞いていたグレンは、ふと嫌な事を考えてしまいそう質問をした。

 その答えは代表して賢者が「更に苦しいと思うぞ」とグレンに伝えた。


「フレイナ、約束してくれ俺が魔力減少になる前にどうやってでも良いから止めてくれ」


「良いけど、流石にこんなに魔力があったら早々使い果たす事は無いと思うわよ?」


「それでもだ。俺は馬鹿みたいに燃費が悪い魔法を使う時があるからな……特にあの魔法剣は、馬鹿みたいに魔力を消耗するし」


 悪魔との戦闘でグレンは多くの魔法を使ったりしていたが、その中でも一番魔力利用が多かったのは〝最強の魔法剣〟だとグレンは言った。


「うむ、確かにあの魔法は多くの属性魔法を剣に付与している状態を保たせる技じゃから大量の魔力を使うからの」


「あのウォルドレットですら、そう頻繁に使用は出来ない技だからな」


「……グレン君やウォルドレットさんしか使えない技、時代が違えば悪魔達に世界は乗っ取られていた可能性もありましたね」


「そもそもマーリンがいなかったらあの技も出来てませんからね。悪魔も最悪のタイミングで、人間界に攻め込んできたもんですね」


 聖女の言葉にグレンはそう言いながら、悪魔もタイミングが悪かったなと考えた。


「まあ、でもその時はその時で人類は何かしらの対策はしていたと思うぞ、儂が〝賢者〟と呼ばれる前にもそれらしき名で呼ばれている者は居ったしのう。奴とは酒を交わした仲じゃったが、老いには勝てなくての最後は儂が看取ったんじゃよ」


 少しだけ悲しそうな雰囲気を出しながら、マーリンはそう言った。


「エルフはあまり深く他種族と関わらないと、子供達に聞いたけどあなたは随分と人と関わるのね」


「最初の頃は、儂もそこまで深くかかわるような者じゃなかったですよ妖精の長。ただ長い時、この世界で生きていると様々な人間と出会ってそういう考えが薄れて行ったんじゃ、そしたらいつの間にか弟子や友が沢山出来ておったんじゃよ」


「そうなのね。グレンが貴方の事は変わり者って言ってた理由が少しだけ分かった気がするわ、そんな考えを持つエルフは少ないもの」


 フレイナが微笑みながらそう言った。

 その後、夜も大分更けて来たのでマーリン達は帰る事にして、グレンとニアは玄関までマーリン達を見送った。

 見送り後、グレンは朝一度入ったが寝汗もかいているのでもう一度風呂に入る事にした。


「ふぅ~、やっぱり風呂が一番落ち着く……」


 湯船の中で背伸びをしながらグレンはそう言うと、深く息を吐きながら天井を見上げた。


「早く魔力が戻って、訓練がしたいな……」


 未だ体の調子が不安定な事にグレンは、そう愚痴をこぼした。


「回復は順調に進んでるし、もう暫くの辛抱よ。治ったら、思いっきり訓練しましょうね」


「ああ、ずっと寝てて戦闘感覚が鈍ってるとおもうからな、また訓練よろしくなフレイナ」


 そうグレンが言うと、フレイナは嬉しそうに「ええ、良いわよ」と言いグレンとフレイナはお互いに笑い合った。

 その後、風呂から上がったグレンは自室に入りベッドに横になると、すぐに眠りについた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「馬鹿みたいに」が連続しているので、片方をとんでもなくなど、別の表現がよいのでは。
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