第242話 【10日後・2】
「グレン、もう起きて大丈夫なのか?」
「寝込んでるグレン君、珍しかったのににゃ~」
ガリウスとキャロルは、ニアにリビングまで連れてこられるとマリアと談笑しているグレンの姿を見てそれぞれこういった。
「久しぶりだなガリウス、まあ全回復とまではいかないが起き上がる事は出来るようになったよ。それと、キャロルお前は帰れ」
「にゃっ!? 酷いにゃよ!」
「何が〝酷い〟だ。顔合わせてすぐに馬鹿にしてくる馬鹿猫を家に入れてられっか」
そうグレンが言うと、隣に座ってるマリアが「まあまあ」とグレンを落ち着かせ、キャロルに対して謝罪するように言った。
マリアから謝罪するように言われたキャロルは、渋々グレンに謝罪をした。
「ったく、謝るんなら最初から馬鹿にしてくるなよ……」
「こらっ、グレン君。もう謝ったんだから、グチグチ言わないの」
キャロルの態度にグレンが愚痴ると、マリアはコツンッとグレンの頭を子供を叱るように叩きそう言った。
「……マリアさん、なんか昔の様な扱いをしてませんか」
「あら? 今も昔も私はグレンの母よ? 悪い子としたら怒るのは当然でしょ」
「……」
マリアからそう言われたグレンは何も言えず、ニヤニヤと見てくるガリウスとキャロルを睨みつけた。
「それでお前等は何しに来たんだ?」
「様子見に来たんだよ。ずっと寝込んでるから、心配になってな」
「あたしもだにゃ、グレン君が早く起きないとお祭りも始まらないし、早く起こそうと思って色々と持ってきてたにゃ」
キャロルはそう言いながらカバンから香辛料景苦い薬を取り出し、グレンはキャロルを家から追い出す様に再び抗議した。
「って待て、今〝祭り〟って言ったか?」
「そうにゃ、あたし達は世界の危機を救ったにゃ。悪魔の事は王都の皆も知ってたにゃ、その悪魔達を滅ぼしたお祭りをしようってなってるにゃ」
「……それで、何で俺が起きるのを待ってたんだ?」
「それはお前が一番の功績者だからだろうが、お前が居ないのに祭りをしても意味が無いだろ?」
ガリウスにそう言われたグレンは、眼をパチパチとさせてある事を聞いた。
「なあ、それってパレード的な事もしようとしてるのか?」
「そうだな、特に功績が大きいグレンやウォルドレット、賢者マーリンさんや聖女さんが主役にみたいな話を聞いたな」
「マジかよ……」
グレンはガリウスの言葉を聞いて気持ちがズンッと沈んだ。
そこに追い打ちをかけるかの如く、キャロルは更にグレンが寝てる間の事を話した。
「それとにゃ、グレン君は世界を救った英雄として王妃様が表彰もするって言ってたにゃ! 良かったにゃねグレン君!」
「馬鹿猫、お前ワザとだろ……」
ギロッとキャロルを睨みつけるグレンだが、キャロルはニコニコと笑い「にやはは~」と楽しそうに笑った。
「でも別に俺を待たなくて、表彰は後にしてパレードだけ先にしても良かったんじゃないか?」
「そう言う訳にもいかないだろ? あの戦いの映像をみたら、誰だってグレン抜きでパレードをやろうとは言えないんだよ」
「……映像だと? どういう事だ?」
ガリウスの言葉にグレンはそう聞き返すと、キャロルが「これにゃ」と言って魔道具を取り出して映像を映し出した。
その映像には、〝集合体の悪魔〟とグレンが戦ってる映像が映し出されていた。
「な、何でこの戦いが撮られてるんだ!?」
「ウォルドレットだ。最後の決戦の時、ただ見てるだけで暇だったったから撮っていたらしいんだ」
「あ、あの野郎……」
ワナワナと震えながらグレンは、ウォルドレットが撮った映像を最後まで確認した。
その映像には悪魔が消滅する所までが映されていて、グレンが世界最強の敵を倒した瞬間がきっちりと撮られていた。
「この映像をみた人たちがグレンが居ない祭りは意味が無いって言ってな、王家も確かにってなって、グレンが起きるのを待っていたんだよ」
「……フレイナ。今、無理に魔法を使ったらまた倒れられるか?」
「ただ頭痛が酷くなるだけだから、やめときなさい」
もう一度、気を失う事が出来るか確認をしたグレンに呆れた顔でフレイナはそう言った。
「まあ、体調が戻るまではパレードはやらないから、ゆっくりと休んでろよ。休んでる間に、受け入れる心も出来上がってるだろ。王家の方には俺達から、伝えておくから」
ガリウスからそう言われたグレンは、ガリウスにお礼を言った。
その後、色々と話を聞いたグレンは頭痛が酷くなってきた為、マリア達には帰って貰い自室に入り横になる事にした。
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