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第241話 【10日後・1】

皆様のご声援のおかげで本日、書籍第一巻が発売されました。

これからもwebの更新は続けて行きますので、よろしくお願いします。


 悪魔騒動が終わり、人々はお祭り気分となっている頃、グレンは辛そうな顔をしていた。


「頭いてぇ……」


 最終決戦時、眼の力と魔力を極限まで使ったグレン。

 本来だったら眼の力にはデメリットが無いのだが、慣れていない【未来眼】を極限まで使ったせいで視力が低下。

 更にそこに魔力酔いも重なり、この数日間グレンはベッドの上でずっと苦しんでいた。

 フレイナの言った通りあの後、1時間程で眼は覚めはした。

 しかし、そんな状態のグレンを連れだすのは無理だと判断したフレイナは、ウォルドレット達に伝えてグレンの家に連れ帰った。

 そして10日が経ち、ようやくグレンはベッドから起き上がる事が出来る位までは回復した。


「一時は本当に死ぬかと思ったな……」


「使い慣れてなかった眼の力をギリギリまで使用したのが原因ね。まさか使う事が殆ど無いからって、後回しにしていたのがいけなかったわね」


「正直妖精達の魔力を得た俺なら【未来眼】なんて馬鹿みたいに強い力は、使わなくても大丈夫だろうって慢心がいけなかったな……」


 グレンはこの期間、そこについて深く反省をした。

 そして自分の体調が戻り次第、後回しにしていた眼の訓練の続きと更なる魔法の訓練をしようと決意していた。


「グレン、もう起きて大丈夫なの?」


 10日振りにグレンが起きた姿をみたニアは、心配した顔つきでそう尋ねた。


「心配かけて悪かったな、もう大分良くなったよ。それで飯食いたいんだが、直ぐに作れるか?」


「うん! スープばっかりだったけど、折角起きれたらグレンの好きなお肉にする?」


 ニアはパァッと笑みを浮かべながらそう聞き、グレンはずっと肉を食べられなかったのもあり「頼む」と言って朝から肉を食べる事にした。


「そういや基本寝てたからあの後の事を聞き忘れてたが、俺が倒れた後は大丈夫だったのか?」


「ええ、元々〝集合体の悪魔〟に多くの悪魔が集められてたみたいで、帝国に残ってた悪魔は数が少なくて残党狩りは直ぐに終わったわ。その時、ベルが帝国の復興の為の労働力として悪魔を従えていたわね」


「従えるって、ベルにそんな力あったのか?」


「上位悪魔だから元々従える能力自体はあったらしいわよ? ただ今までは面倒で部下とか作ってなかったみたいだけど、帝国の為に労働力が必要だろうってグレンのお兄さんと話して従える事にしたみたいよ」


 グレンはその話を聞き、グラム達が決めた事なら良いかとそれについては特に何も言わなかった。


「その他に何かあったりしたのか?」


「う~ん……特に無かったと思うわよ? 私もグレンの事が気になってたから報告は直ぐに終わらせて、ずっとグレンの看病をしてたから」


「そうだったな、一番迷惑をかけたのはフレイナだもんな」


「迷惑とは思ってないわよ」


 グレンの言葉に、フレイナはニコリと笑みを浮かべてそう言った。

 その後、調理を終えたニアが食事を運んで来たのでグレンは10日ぶりに真面な食事をして腹を満たした。

 食後は10日間、魔法で体を綺麗にしていて汚れてはいないが風呂に入りたい気分だった為、10日振りに風呂に入る事にした。


「んぁ~……やっぱり、風呂は良いな~」


 若干オッサン臭い声を出しつつ湯船を入ったグレンは、そのまま鼻の下まで湯船に浸かった。

 全身から力が抜けていく感覚を久しぶりに感じ、グレンはやっぱり風呂は最高だと再認識した。

 そしてゆっくりと風呂に1時間程入っていると、家の呼び鈴が鳴ったのが聞こえた。


「んっ? 誰か家に来たか?」


「そうみたいね。この魔力は、マリアみたいね」


 ある程度動けるとは言え、感知系の能力も大分落ちたグレンはフレイナの言葉に「じゃあ、そろそろ上がるか」と言って風呂を出る事にした。

 そして服を着て、リビングに向かうとニアと喋ってるマリアが居た。

 マリアはグレンを見ると、近寄り心配した顔でグレンを見つめた。


「グレン君、久しぶりね。もう動いても大丈夫なの?」


「大分良くなりました。心配かけてすみません、それとお見舞いにも来ていただいてありがとうございます」


 グレンは自分が酷い状況の頃、マリアが来て看病してくれた事を少し良くなってからフレイナから聞いていた。

 その時はお礼を言えなかった為、この場でお礼を言った。

 それからマリアと少し話していると、更に来客が訪れガリウスとキャロルがグレンの家に集まった。

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