第239話 【集合体の悪魔・6】
その後、マーリン達が加わったベル達は帝国内に残る悪魔達を次々と発見していった。
発見された悪魔はベルの配下となるか、死ぬかの二択を迫り、その場から逃げようとしたものは即座に殺して回った。
ベルの配下、それは元々上位種の悪魔なら出来る技の一つ。
これまでベルは面倒だからという理由で、配下を持たない気ままな生活をしていたが今後グラムと共に帝国を復興していくには手が居る。
ならばここで配下を作っておこうと、中に居るグラムと話し合って決め、初めての配下作りに精を出していた。
「悪魔を使役するって、大丈夫なの? グレンに怒られたりしないのかな? もしも、その悪魔達が反乱した時とか」
「グレンの兄貴から承諾されてたんだ大丈夫だろ、それにグラムの力を使えばオレ様の力で制御出来ない奴でも出来るからな、もしもなんてことは起きない」
ベルは自身の宿主であるグラムの力を信頼していた。
それは自分がここまで指示を従っているという理由もあるのだが、あれだけ凄い奴が近くに居て反乱何て出来ないと言う理由のが強かった。
「まあ、怒られるのは僕じゃないし良いかな、あっでも配下とは遊ばせてね~」
「遊びの為の配下じゃねえよ」
ウォルドレットの言葉にベルはそう返し、次の場所に向かった。
その後、半日程かけてウォルドレット達は帝国内に残る悪魔を全て見つけ、結果的見つけた悪魔の半数がベルの配下となり生存する事になった。
「この数、残しても大丈夫かな? 流石にグレンに怒られない? 元は人間なんでしょ?」
「今更、元に戻して悪魔が抜けて倒れてる者達と同じ症状になるだけだ。なら悪魔の状態のままコキ使った方が有効だろ、説明はグラムがするから俺は知らんけどな」
それからベルは、悪魔達にはグラムに従うようにと言って欠伸をしながら体の主導権をグラムへと移した。
「ん~、こんな長時間ベルに体を譲ってたの初めてだから違和感を感じるよ」
「その感じ、グレンのお兄さんかな? おかえり~」
「ただいま、ウォルドレット君。視界は共有してるから戦いは見てたよ。グレンが無茶な事して、手伝わせてたみたいだねごめんね」
「いいよ~、僕もそこまで怒ってないしね。それにグレンがあの場でそう動いたって事は、それが最善だったからそうしたんだと思うしね」
グラムからの謝罪にウォルドレットはグレンの事を良く知ってる為、そう言葉を返した。
その後、グラムは皇帝となったウィルドと共にマーリン達と今後の帝国の動きについての話し合いを行う事にした。
「隣国への被害は相当だ。まずはそこへの謝罪が先だろうな」
そう言ったのは話し合いに参加していたガリウスだった。
「皇帝も被害者の一人だろうが、国を治める者はそんな事情を知らないからな……」
「そう、ですね。確かに自分も被害者の一人だといっても、迷惑が掛かった国の王達は許しはしないでしょうね。帝国の復興も大事ですが、他国との繋がりも頑張らないといけませんね」
「……まあ、うちの国はある程度の事情も知ってるので多少は融通してくれると思いますよ」
悪魔に体を乗っ取られていた事を知っているガリウスは、ウィルドの言葉にそう言った。
そんな会話に、今まで黙っていたウォルドレットがある言葉を投げかけた。
「そもそも帝国の生き残りってさ、今の所はウィルドとブラッド家だけだけど復興とか出来るの?」
「……」
「ウォルドレット、流石にそれは……」
ウォルドレットの言葉にウィルドは顔を下に向け、ガリウスはそれは今言うなよという顔で見た。
「ウォルドレット君の質問は正しいよ。確かに、復興しようとしてるのに人がいなかったら意味がない。だけど、そこに関しては一応なんとかなるとは思ってる」
「エッ! 何とか出来るの!?」
グラムの言葉に、ウィルドは驚いた顔をしてそう叫んだ。
「今まで何処に悪魔の眼があるか分からなかったから、言えなかったけど悪魔に乗っ取られていない帝国貴族。僕が信用してる所に、身を隠して貰ってる」
「それ本当!?」
「うん、ベルの力も貸して貰ってね。実験で死ぬケースもあったから、それを利用させてもらったんだ。だから、元の帝国には程遠いけど、ある程度の復興が出来る人数巣は確保してるよ」
「グラム~!」
ニコッと笑みを浮かべてそう言ったグラムに、ウィルドは大粒の涙を流しながらそう叫んだ。
それから、帝国の掃除が終わった事も結界を張ってる者達へと伝え、帰りはマーリンの転移魔法を使い一瞬でデュレイン国へと帰還した。
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