第229話 【激戦・1】
戦いを終えたウォルドレットは、魔法剣を消してグレン達の元へと降りて行った。
顔つきは既に先程までの冷たい表情ではなく、いつも通り笑みを浮かべていた事にグレンは少しだけ安心した。
「ウォルドレット、その大丈夫なのか?」
「んっ? あっ、もしかして僕が怒ってたグレン達にも見えてた?」
「……見えてたってか、雰囲気から何もかも変わってて悪魔倒したことよりそっちに驚いてるよ」
グレンがそう言うと、周りに居る者達はウンウンと頷いた。
そんなグレン達を見てウォルドレットは、照れくさそうに頭をかきながら笑みを浮かべた。
「あはは、見られちゃったか~」
「その、何だ。お前って、二重人格とかそういうタイプなのか?」
「違うよ? ただ怒ったら、容赦が無くなるだけだよ」
「だけだよで片付けれない程、お前の変化は凄かったけどな……」
そうグレンは言うと、グリードに投げ飛ばされ放置されていた傲慢の悪魔の所へと向かった。
するとそこには、肉体の再生をしようとしている傲慢の悪魔の姿があった。
「……ま、まっ」
「死ね」
命乞いをしようとした傲慢の悪魔に対し、グレンは直ぐに魔法剣を発動させ、傲慢の悪魔の肉体を貫いた。
そして完全に傲慢の悪魔が絶命したのを確認して、グレン達は城内へと乗り込むことにした。
「それにしても既に2体の上位悪魔を倒したのか……思っていたより、強く無かったな」
「……グレンとウォルドレットの力をオレ様は見誤っていたようだ。それに、あの黒い奴も強いみたいだしな、何であいつ等悪魔界を捨てたのか意味が分からん」
ウォルドレットの頭上でピョンピョン跳ねてる黒影を見ながら、ベルはそう言いグレンはもそこに関しては同意見だった。
強いとは聞いたグレンだが、悪魔の攻撃を簡単に消し去ったのを見て〝黒影〟族の凄さを感じさせられた。
そして同時に何であの種族は、絶滅したのか理解できなかった。
その後、城内に入ったグレン達は外では一匹も合わなかった下位の悪魔と戦闘を繰り広げていた。
「もっと魔法剣に集中しろ、死ななければ後でどうにでもなるから気張れよ!」
上位の悪魔と戦ったベルとウォルドレットは温存。
グレンもまたこれから出て来るであろう上位悪魔の為に前線での戦闘を控え、サポート役として戦いに参加していた。
そして主に戦闘で頑張っているのは、ここまで付いてきていた魔法剣部隊の者達だった。
グレンに教わった魔法剣と、自身の戦闘技術を組み合わせ下位悪魔達を倒して行っていた。
「下位とはいえ悪魔とあそこまで戦えるのは凄いな」
そんな部隊の者達に対し、ベルは感心したようにそう言った。
「フレイナのサポートもあるが、あの戦闘技術はあいつら自身の者だからな流石部隊に選ばれるだけあるよ」
「そういえば、部隊の者達も選りすぐりの者達を選んだと言っていたな」
「上位ランクの冒険者だからな、危険な戦闘経験もあるから死ななければ良いって先戦でここまで戦ってくれてるのは有難い」
自分の作戦指示が適当ではあるのは理解しているグレンは、その作戦通り死なない様に立ち回っている部隊の者達に感謝しながらそう言った。
その後、城内の入口付近の悪魔との戦闘を終えたグレン達は一先ず全員の怪我を直して、更に奥へとウィルドの案内で進んでいった。
「ここか」
大きな扉の前で止まったグレンは、部屋の中の魔力を確認しながらそう呟いた。
そして大きな扉に手を置いたグレンは、手に魔力を集中させてその扉を吹き飛ばした。
そして扉が吹き飛ばされ、部屋の中が見れるようになると、そこには残り4体の上位悪魔に加え数十体の下位の悪魔達が集まっていた。
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