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第222話 【静かな帝都・2】


 少しでも知恵のある下位悪魔は存在が消えるのを恐れ元の世界に戻り、知恵の無い悪魔は自己保身の為に帝都から去った。

 グレンという一人の男によって、悪魔達が積み上げて来た戦力を一瞬にして崩したとベルは先の言葉に付け加えて言った。


「それだけグレンの存在は、悪魔にとってイレギュラーだったの?」


「勿論だ。これまで、悪魔が人間に倒される事はあっても肉体が耐えれず元の世界に戻るだけだった。しかし、グレンは倒した悪魔事殺す技を身につけている。それは俺達にとって、初めての脅威だったんだよ」


「成程ね~。あっ、そう言えばグレン。他の所は戦ったって言ってたけど、無事にアレは成功したの?」


 ウォルドレットと言った〝アレ〟とは、ベルから教わった悪魔の捕獲の仕方。

 悪魔をこの世界から殺せる事の出来るグレンとウォルドレットの二名が帝都へと行く為、他の隊に悪魔を殺せる者を配置出来なかった。

 もしも、他の隊で戦闘を行い戦闘不能にしても逃走されるかもしれないと危惧していたグレン達にベルは悪魔の捕獲方法を教えていた。

 ただ実際に捕まえる相手が居ない為、試す事が出来なかった。

 ベルに試そうにもその捕獲方法は、下位の悪魔が限界で上位の悪魔には効かないと最初にベルが言っていた。

 

「無事に成功したと言ってたよ」


「そっか、それは良かったよ。そうじゃなきゃ、僕が行かなきゃいけなかったしね」


「ああ、そうならななくて俺も良かった。流石に上位の悪魔を俺一人じゃ厳しいだろうからな」


 グレンがそう言うと、ウォルドレットは「僕も残れてよかった」と言った。


「でもそっか、成功したって事はこっちの仕事が終わったらその悪魔達の処分の仕事もあるって事になるんだね」


「まあ、そこはな……捕獲しておける時間は限られてるが、上位の悪魔との戦いに体力を温存しながらとか考えていたら、やられる可能性もあるし後の事はその時に考えるのが良いな」


「そうだよね~。勝てるかも分かんないし、全力で行くしかないね」


 その後、グレン達は帝都の街中を進み、帝都で一番人が居た中央公園付近へと辿り着いた。


「……ここも人の影はないね」


「殺されたか、逃げたか。どちらか分からないが、あんなに栄えていたのにこんなに静かになるんだな」


「ここからやり直しのにどのくらいの年月がかかるのか、今から不安だよ」


 ウィルドは悪魔達から帝国を奪い返した後、自分が統治していく事に少し不安を感じてそう言葉を零した。


「取り敢えず、今はその事を考えても仕方ないだろうから、頭の隅にでも追いやっておいた方かいいぞ」


「……うん、そうだね。さっきグレンが言ってた通り、後の事は後から考えるよ。今は目の前の問題を解決する事に全力を注ぐよ」


 グレンの言葉に対して、ウィルドは無理矢理やる気を出してそう言葉を返した。


「まあ、流石にここまで酷い有様も見たら俺も手伝いたくないと言えなくなってきたし、本当に困った事が有ったら手を貸す」


 そんなウィルドを見て、グレンは前を向きながらそう言った。

 それを聞いたウィルドはグレンを見て、感謝の言葉を言った。


「グレンが復興に手を貸すなら、僕も手伝ってあげるよ。動物を集めたりだったら、得意だしね」


「そんな事も出来るのか?」


「うん、パルパー達に手伝ってもらったら沢山動物集められるよ。あの子達は、自然界でもトップクラスの生き物だからね」


「まあ、竜とグリフォンだしな……まあ、でもそれを聞けただけでも良いんじゃないか? この帝都の有様だと、動物とかもかなり減ってるだろうしな」


「うん、本当に助かると思う。ウォルドレットさん、その時はよろしくお願いしますね」


 ウィルドがそう改めてお願いをすると、ウォルドレットは「任せて~」と軽い感じで返事をした。

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