第221話 【静かな帝都・1】
約2か月間お待たせしました。
更新再開させていただきます。
しかし、まだ執筆への感覚が戻っていないので毎日更新は出来ません。
数日おきに投稿していく予定です。
帝都に向かう際、グレン達はここまで魔力を隠していた魔道具を外した。
「やっと解放されたね~」
「ああ、そうだな」
ウォルドレットの言葉にグレンは同意して、同じく魔道具を付けていたグラムの体を借りてるベルも開放感に浸っていた。
グレン達は魔道具を取り外し、魔力に違和感がないかを確認してから帝都の中へと侵入した。
「……ベル。悪魔の魔力を感じるか?」
「殆ど感じないな、城の方から強い力を感じるからあいつらがまだ居るのは分かるが、帝都の悪魔は殆ど残っていないみたいだ」
「成程な、という事は帝都から逃げたか、もしくは悪魔の世界に戻ったと見ていいのか?」
そうグレンが聞くと、ベルはコクリと首を縦に動かした。
それから暫く、グレン達は固まって移動していると、ふと物陰から何か動く影を見つけた。
「……あれは人間か?」
「人間だが、自我は保ってないみたいだな」
ベルの言葉通り、その人間は視点が定まっておらずフラフラと動いていた。
その様子にウィルドは、悔しそうな表情をした。
「……実際に自我が無い者を見たのは初めてだが、あの状態から戻す事は可能なのか?」
「難しいんじゃない?」
「どうだろうな、そんな事考えた事無いから分からんな」
ウォルドレットは否定的に、ベルは知らないとグレンの言葉にそう返した。
二人の言葉を聞いたグレンは、姿を現しているフレイナへと視線を向けた。
「フレイナ。前に俺の脳を治した事有るけど、あの状態の人間を直す事は可能か?」
「可能か不可能かで言えば、可能だけどやりたくはないわね。グレンを治すのにも一苦労したのに見ず知らずの相手に対してはね」
「成程な……取り敢えず、治療に関しては一先ず考えないようにするか。悪魔との戦闘中に悪魔憑きの人間を元に戻せるなんて、少しでも思って手を抜いたらこっちがやられるからな」
「そうだね。油断は出来ない相手だからね」
「ああ、そう言う訳だからウィルド良いか?」
「うん、元々そこに関しては割り切ってるから大丈夫だよ」
一応、ウィルドに声を掛けたグレンに対し、ウィルドは覚悟した表情でそう言った。
それからグレン達は、自我を失いふらついてる者達を無視して進んで行った。
「それにしても、本当に静かだね……」
「悪魔憑きじゃない人間は何処に行ったんだろうな」
「それは僕も気になってたよ。僕が出て行く時、確かまだ人は居た筈なんだけど」
「ウィルドが出てからどれくらいの時差があるか分からんが、そんな直ぐにここまで人が居なくなるのは不思議だな……」
悪魔の行動が全てが明るみになった訳ではない筈なのに、帝都から人が居なくなっている事にグレン達は疑問を感じた。
「悪魔が逃げたから、帝都に居た人達を捕まえたとかかな?」
「……その可能性は十分あると思うぞ、逃げた悪魔の代わりを用意する為とかに使ったんだろう」
ベルの言葉にグレンは「成程な」と呟き、他の者達もその言葉通りなんだろうなと感じた。
それから暫く歩き進んだ所で、グレンの脳内に念話が届いた。
(グレン君、そっちの状況はどんな感じですか?)
(今の所、何も無いな。悪魔も一匹も現れてないな)
(一匹も?)
グレンの報告に念話の相手、エミリーはおかしいといった雰囲気でそう言葉にした。
(他の所の状況は知らないが、今どんな感じだ?)
(他はもう一度は戦闘してるよ)
(そうなのか? 勝てたのか?)
(うん、怪我人は出たけど無事に撃退出来てるって報告きてるよ)
怪我人だけで済んだか、グレンはエミリーの言葉を聞き安心した。
(取り敢えず、こっちはまだ何も起きてない。何かあったら、報告を頼む)
そうグレンはエミリーに言って、念話を切って貰った。
そして、エミリーとの会話で得た情報をウォルドレット達へと伝えた。
「他はもう戦ったんだ~」
「ああ、俺の予想だと悪魔の世界に逃げるのではなく、帝都から逃げた下位悪魔と当たったと予想してる。戦いの情報も聞いてみたが、俺が戦った奴等と同等かそれ以下の能力だったと聞いた」
「その可能性は高いな、悪魔の世界に逃げれば消える事は無くなるがこの世界に来れる可能性が消えるから、それを惜しんだ馬鹿な奴等だろうよ」
グレンの分析に対し、ベルがそう同意した。
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