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第218話 【決戦前夜・3】


 今のは失言だったと言った後に気付いたグレンは、慌ててウィルドに謝った。


「す、すまん。ウィルド」


「いや、本当の事だから気にしなくても良いよ……」


 口ではそう言ってるが、ウィルドは落ち込んだ顔をしていた。


「ま、まあ、でも金があれば何とか復興自体は出来そうだな。金も無かったら、いよいよ帝国が無くなる未来もあっただろうし」


 そう俺が言うと、ウィルドは下を向いていた顔を上げて「確かにね」と苦笑いを浮かべながら言った。


「まあ、でも昔の様な帝国はもう無理だろうね。今回の事で多くの国に迷惑を掛けたからね」


「多くの国っていうか、ほぼ世界中にだな。あの獣人国も今回の戦いに参加してるから」


「……獣人族が多いなって思ってたら、そういう事だったのか、よく獣人国が協力してくれたね」


「そこはグレンの力のお陰だよね。グレンが獣王と知り合いだったから」


 ウォルドレットがそう言うと、グレンが獣人国と繋がりがあると聞いたウィルドは驚いた顔をした。


「あの獣人国と繋がりがあるって、グレン凄くない?」


「偶然だよ。今の王様になった奴と、偶々こっちの大陸で知り合ってたんだよ」


 そうグレンが言うと、ウィルドは羨ましそうな顔で「偶然でも凄いな」と言った。


「正直、帝国の問題解決したら僕が皇帝になるより、ブラッド家に任せた方が良いんじゃないかって思い始めたよ」


「俺は嫌だし、グラム兄さんはそんな事を言うウィルドを説教すると思うぞ」


「……確かに今の言葉、グラムには言わないでね」


 ウィルドは自分の言葉をグラムには伝えないように、この場に居る者達にそうお願いをした。

 その後、夕食を食べ終えたグレン達は簡易風呂に湯を張り、順番に入って汚れと旅の疲れを癒した。

 明日は決戦の為、十分な状態で挑む為にとグレンは自分が特注で作らせた入浴剤を全員に使わせた。


「グレン、さっきの入浴剤。あれ、どうやって手に入れたの? 凄く体が軽いんだけど」


「メリアに無理言って、作って貰たんだよ。結構な金額するが、良かっただろ?」


「うん! 凄く気持ちよかった」


 ウォルドレットはグレンの入浴剤の効果に驚き、興奮した様子で笑みを浮かべながらそう言った。

 他の者達もグレンの入浴剤を入れた風呂に入った者は、それぞれ旅の疲れがとれたことに驚いていた。


「グレンの風呂に対する思いが高いのは知ってたけど、まさかこんな物も用意してたのは驚いたよ」


「旅の間、広い風呂にも入れないからな。それなら、効果の高い入浴剤で疲れだけでもちゃんと取れるようにしようと思ってな」


 グレンは、自慢気にそう言った。

 その後もグレンが用意した簡易風呂に入った者達は、入る時は疲れた顔をしていたのに出る時には疲れが消え、元気な顔をして出て来た。


「グレンの用意した入浴剤。本当に良かったよ。疲れが完全に飛んで行ったみたいで、体が軽くなったよ。ありがとね」


 その中には勿論ウィルドも居て、ウィルドは直接グレンの所へと来てそうお礼を言った。


「皇子様にも気に入って貰えたようで良かったよ」


「いや、うん。本当に凄かったよ。僕、これまで風呂に対してそこまで思い入れ無かったけど、さっきの風呂に入った事で自分の中の常識がちょっと変わった気がする」


 嬉しそうにそう言ったウィルドに、グレンは「風呂の良さが分かったみたいだな」とグレンも嬉しそうな表情でそう言った。

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