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第210話 【皇子・2】


「まず、現在帝都に残ってる悪魔は、それ程多くはありません。全体の約3分の1ほどしか残ってないです」


「確かグラム兄さんの情報だと、下位悪魔は数百以上は居るって言ってたよね?」


「うん、そうだね。僕も数を聞いて、驚いてるよ。皇子を疑う訳じゃないんですけど、本当にそれだけ減ってるんですか?」


 グラムはウィルドの言葉を信じ切れず、そう真剣な顔をして聞いた。

 グラムの思いと同じで周りにいる者達も、ウィルドの言葉を信じ切れないと言う雰囲気を出した。


「帝国の、それも皇子の言葉なので信じ切れないのは理解しております。それを踏まえた上で、話を聞いてください」


 ウィルドは自分に信用価値が無い事を理解していると言い、その後も帝都の自分が見た情報を事細かく説明をした。

 その情報の一部に悪魔対策部隊が得た情報も有り、ウィルドの話してる事は〝正確性〟が少しはあるとグレン達は思い始めた。


「しかし、この話が本当ならなんとか人類側もなりそうだな……」


「僕はデュレイン国の戦力がどれ程なのか分かりませんが、一番悪魔が居た時と比べたら数で言えば楽になったと言えます。ですが、逆に下位悪魔でもより強い個体の悪魔しか残ってない為、一つ一つの戦場は厳しさを増すと思います」


 ウィルドが言うには、今までであれば下位悪魔の弱い悪魔が味方の悪魔の邪魔にもなっていた。

 しかし、今は下位悪魔でも強い者達しか残ってない為、悪魔側には油断も隙も無いと言った。


「まあ、それに関しては元々悪魔を強いと認識して訓練してきたから大丈夫っちゃ大丈夫だが、帝都にその悪魔達が集まってるのが面倒だな……」


「そうだね。散らばってると最初は思ってたけど、悪魔側は団結して人間側を迎え撃とうって感じみたいだね」


 ウィルドの話を聞いたグレン達は、そう悪魔の意外な行動に頭を悩ませる事になった。

 その後、一先ず予定の野営地に向かう為、再び馬車に乗り移動を再開した。


「それにしてもグラムに弟が居た何てね……よく、僕達を騙せたね」


 移動を再開した馬車では、グレンの乗る馬車のメンバーは変えられグラム、ウィルド、グレンの三人で乗っていた。


「僕に憑いてる悪魔の力を借りましてね。生まれて直ぐにデュレイン国へと隠したんです」


「そうだったんだね。でも、まさかあのグレンがグラムの弟とはね……映像を見た時、一瞬グラムに似ているとは思ったけど……よくみたら、結構似てるね」


 ウィルドは、グレンの顔をよくみてそう言った。


「……さっきからというか、最初に皇子を発見した時から思ってたんだが。グラム兄さん、相手が皇子なのに親しすぎない?」


「簡単に言えば、僕とグラムは友人の関係なんだよ。まあ、長い間僕の自我は無かったから、グラムの方はどう思ってるは分からないけどね」


「僕も皇子の事は友人だと思ってますよ。ずっと昔からね」


 ウィルドの言葉にグラムは、そう返すとウィルドは「それは良かった」と笑みを浮かべて言った。


「成程、だからグラム兄さんは皇子を見つけた時にあんなに必死な顔をしてたのか……」


「それもあるけど、あんな森の奥に皇子が居るって事の方が驚きが強かったよ」


「僕も逃げるので必死だったからね。人間の住む所は危ないと思って、ずっと森の中

を彷徨っていたんだ」


 ウィルドはグラムに対して、申し訳なさそうな顔をしてそう言った。

 そんなウィルドにグラムは「命があって、本当に良かった」と言うと、ウィルドは少し目元に涙を浮かべた。

 久しぶりに人との会話、昔馴染みの友人との再会。

 他国の者達の前では泣くまいと我慢していたが、馬車の中に入り緊張が解けたウィルドは静かに涙を流した。


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