第208話 【出発・4】
その後、妖精界の事、妖精の生態について知れたガリウスは落ち込んでいたのが嘘かの様に楽しそうに話をしていた。
そんなガリウスを見てグレンは、一先ず安心して妖精について色々話をした。
「それにしても、グレンは本当に妖精の事色々知ってるよな……妖精の研究者以上に知ってるんじゃないか?」
「……妖精の研究者ってそんな奴いるのか?」
「居るぞ、妖精の生態は未だに分からないから、それを調べる者達が集まってどんな人と契約してるとか、どんな物を好むのかって」
どうガリウスが言うと、外を飛んでいたフレイナが馬車の中に入ってた。
「その研究者達の事だけど、中に悪い考えの人がいるから嫌いのよね」
「んっ? フレイナはその研究者達の事知ってるのか?」
「陰気くさい奴等で、子供達が外で遊んでたら下品な顔して近づいて来る最低な奴等よ」
「……ガリウス。お前、そいつらと知り合いとかじゃないよな?」
「違う! 興味はあったが、俺もおかしな奴等だと感じて近づかなかった!」
ガリウスはグレンからの質問に対し、自身が疑われないように力強く否定した。
「貴方が嘘を言ってないのは分かるから、落ち着いて良いわよ」
「そ、それは良かった……これ以上、妖精から嫌われせたくないからな……」
「別に嫌っては無いって言っただろ? ただ好きになる要素が薄いってだけだ」
そうグレンが言うと、ガリウスは「もう傷つくからそれ以上言わないでくれ」と切なそうな顔をしてそう言った。
その後、フレイナは再び外に出て、グレンは落ち込んだガリウスを慰める事になった。
「あれ、グレン? 昨日より疲れた顔してない? 大丈夫?」
本日の野営地に到着後、馬車から出たグレンが昨日より疲れた顔をしてるのに気づいたウォルドレットはそう声を掛けた。
「ああ、大丈夫だ。ただ精神的に疲れただけだから、夕食の出休んでたら回復すると思う」
「そう? それなら、良いけど……」
心配するウォルドレットに見送られながらグレンは、自分用に設営されたテントの中へと入り横になった。
それから夕食までの間、休んだグレンはなんとか回復してみんなの前に顔を出した。
「さっきは本当に顔色悪かったけど、移動中なにかあったの?」
「いや、なにちょっと話に夢中になってな……」
ガリウスの名誉もあるが、自分が仲間を慰める為にあんな疲れた何て言えない。
そう思ったグレンは、言葉を濁した感じにそう言った。
一緒の馬車に乗っていたガリウスとカグラの二人も話を聞かれたが、ガリウスは自分の事で言えず、カグラは二人の名誉の為に言わなかった。
「なんか、あったんだろうげど話したくないみたいだし、これ以上は聞かないでおこうか」
ウォルドレットは話が聞きたかったが、グラムのその言葉に渋々といった感じで引き下がった。
ウォルドレットを止めてくれたグラムに、グレンは小さな声で感謝の言葉を言った。
「グラム兄さん、ありがと……」
「ふふっ、弟を助けるのは兄の役目だからね」
グレンに対し笑みを浮かべて、グラムはそう言った。
その後、夕食の席では別の話題で盛り上がり、楽しい夕食の時間をグレン達は過ごした。
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