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第205話 【出発・1】


 話し合いから七日後、グレン達は遂に王都を出て悪魔の居る帝国へと軍を連れて出発した。


「グレン、何で転移しちゃ駄目なの?」


 王都の民から見送られながら出発してから数分後、早くもウォルドレットはそう愚痴を零した。


「……お前、ちゃんと話聞いてたか? 相手は魔力感知に長けた悪魔だから、転移何て使ったら一瞬で場所を突き止められるだろ?」


「そう言えば、そんな事言ってたね~。でもさ、こんなに人が居たら一緒じゃない?」


「……なあ、ほんとこいつ一発殴っても良いか?」


 話し合いで話した内容を殆ど覚えていないウォルドレットに対し、グレンは怒気を含めた声音でそう言った。

 流石に馬車の中で暴れたら迷惑だと思ったグレンは、何とか怒りを収めてウォルドレットに話し合いで話した内容を説明する事にした。


「まず最初に、悪魔は普通の人間とは比べ魔力の扱いに長けた奴等なのは、何度も説明してるから分かってるよな?」


「うん、普通の魔法でもマーリンとかグレンと変わらない強さなんでしょ?」


「ああ、それで悪魔は魔力感知にも長けた奴等だと、ベルから伝えられてる。だから、俺達は自分達の姿を極力隠す為、分散して帝国に向かっているんだ。理解したか?」


 グレンはそう言い終えると、ウォルドレットは「成程ね~」と軽い感じで返事をした。


「ねえ、でもこんな風に分散して向かってても魔力感知に長けた種族なら、僕達の存在に気付いてるんじゃない?」


「まあ、流石に完全に隠す事は出来ないからな、気付かれてる可能性もあるが。その可能性を出来るだけ低くする為、特殊な馬車を使ってるんだ」


 グレン達が現在乗っている馬車は、この悪魔との戦いの為に各生産職の者達が集まり、知恵を出し合って作られた特殊な馬車。

 中にいる者達にも特殊な魔道具を付け、更に馬車自体に隠蔽能力を付与されてるこの馬車は並大抵の魔力感知だと殆ど分からない状態になってる。


「そっか~、なんか色々頑張ったってのは理解出来たよ~」


「……取り敢えず、まあそう言う事だから文句言わず、帝国に着くまで我慢してくれよ」


「は~い」


 グレンの言葉にウォルドレットは笑みを浮かべ返事をして、グレンはそんなウォルドレットを見て疲れた表情で溜息を吐いた。

 その後、特に問題も起こる事は無く初日の野営地に到着した。


「ねえ、グレン。僕達って、ずっとこの状態なの?」


 他の兵士や部隊の者達が降りてる中、グレン達は馬車の中に魔道具をつけたまま待機していた。

 そんな状況にウォルドレットは、グレンにそう聞いた。


「今、外に出れるように兵士達が魔道具を設置してるから、それが終わったら出れるようになるが、魔道具に関しては開戦まではずっとこのままだ」


 グレンがそう言うと、ウォルドレットはあからさまに嫌そうな顔をした。

 そんなウォルドレットに対し、グレンは「皆、我慢してる」と言い魔道具の準備が出来たと兵士に報告され、馬車の外へと出た。


「結構、初日で大分進んだね~」


「先に向かった部隊もあるからな、あまり遅れないようにしつつ向かってるからな、一応一番最初に到着した部隊と一日差で帝国国内に入る予定ではいる」


「そうなんだ。まあ、僕としては早くこの魔道具を外したいから、早く戦いが始まって欲しいけどね~」


 ウォルドレットがそう言った後、グレン達は自分達の用意されたテントの中に入り、夕食まで休憩する事にした。

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