第196話 【戦いに向けて・2】
翌日、部隊の訓練が終わった後、グレンはフレイナとの約束通りに迷宮へと訪れていた。
場所は、いつもの下層。
「取り敢えず、ここまで何も聞かされず来たけど……」
「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫。グレンが負担となる事は何も無いから、主に私の力をグレンに渡す感じだから」
フレイナは心配気味なグレンにそう言うと、まずどんな事をするのか説明を始めた。
妖精界で自分の出来る事を再確認したフレイナは、新たに出来る用になった事をグレンに説明した。
「……一体化? それって、俺とフレイナが合体するのか?」
「まあ、そう言う事よ。ただもっと簡単に言うと、私がグレンに憑依するといった方が早いかしら? 肉体的変化はないわ」
「成程な、ようは悪魔憑きみたいなものか」
「……一緒にされたくは無いけど、実際そんな感じね。あれをみて、私も出来るんじゃないかしら? って思って、試したのも事実だし」
フレイナは悔しそうにそう言うと、グレンは「一回、試してみるか?」と提案した。
「ええ、そうね。試して、本当に出来るか確認もしておきたかったのよね」
「そうだろうな、それで俺は何をすればいいんだ?」
「グレンは特にする事は無いわ、私が憑依するのを受け入れてくれればいいわ」
フレイナはそう言うと、真剣な表情をしてグレンの前に経つと、体を粒子化させてグレンの体へと吸い込まれて行った。
「ッ! こ、これ本当に大丈夫なのか!?」
「大丈夫よ。私もやるのは初めてで心配だったけど、ちゃんと成功したわ」
フレイナが消えた事に驚いたグレンに、フレイナはグレンの中からそう返事をした。
「なんか違和感があるな、今まで他の人には姿が完全に見えてなくて俺はちゃんと視認した状態で会話してたのが、今は完全にフレイナの姿が無い状態で会話してるって……」
「まあ、そこは慣れて頂戴。私もグレンの中に入るって、初めての事をしてるんだから、それよりこの状態で戦ってみたらどうかしら? 多分だけど、あの手を繋がないと出来なかった悪魔に対抗する為に考えた魔法が簡単に出来ると思うわ」
フレイナにそう言われたグレンは、丁度目の前に現れた魔物に対して軽い感じで魔法を放った。
すると、その魔法を構築する際にフレイナが内から手助けをして、あの魔法を成功した時以上の威力を出す事が出来た。
「……今、俺普通に魔法放ったんだけど」
「この状態は完全にグレンと繋がってる状態だから、グレンが意識せずとも私が手助けが可能になったのよ」
「それは、凄いな。それに加えて、魔力もフレイナの分も合わさってるんだろ?」
「ええ、元々グレンは大量の魔力を持ってるけど、それに私の魔力もプラスされて更に強い魔法を放つ事が出来る用になったのよ。どう? 凄いでしょ」
姿が見えないがフレイナの得意気な顔が思い浮かんだグレンは、素直に「凄いな」と言った。
その後、その状態での戦闘に慣れておくために1時間程戦闘を行い帰宅した。
帰宅後、フレイナは久しぶりにグレンとお風呂に入れて満足した顔をしていた。
「あれ、妖精の長さん帰って来たの?」
風呂から上がり、リビングに移動すると先に席に付いていたウォルドレットはフレイナの姿を見てそう言った。
「あら、また新しい人が増えてたのね」
「そういや、フレイナが居ない間にウォルドレットが来たんだったな」
グレンはそう言うと、軽くウォルドレットの事を紹介した。
その後、夕食を食べながら今日の事をグラム達に話をした。
「へぇ、それじゃあグレンは更に強くなったの?」
「俺だけの力じゃないが、まあフレイナが力を貸してくれたら更に強くなったぞ、まだ完璧に慣れてないから次の休みの日に迷宮で試す予定だから一緒に来るか?」
そうグレンが提案すると、ウォルドレットは他の二人より早く「行く~」と参加希望を示した。
ウォルドレットに続き、グラムも「僕も参加したいかな」と参加希望を示した。
「次の休みって、俺その日は仕事がある日だな……」
「そうか、それは残念だな。まあ、今度の会議の時までに慣れて置く予定だからその時に見せれたら見せるよ」
参加出来ないと言ったクリスにグレンはそう言うと、クリスは「楽しみに待ってる」と言った。
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