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第195話 【戦いに向けて・1】


「グレン! これ、どう!?」


「……完璧だ。まさか、本当に習得するとはな」


 魔法剣の訓練を初めて五日後、ウォルドレットはグレンだけしか使えなかった〝最強の魔法剣〟を習得した。

 習得しただけな為、完全に使いこなす域まで到達していない。

 しかしそれでも、ウォルドレットの持つ剣からはグレンが使う〝最強の魔法剣〟とほぼ同程度の威圧感が放たれている。


「うう、やったぁ!」


 ウォルドレットは遂にグレンから〝合格判定〟を貰い、全身でその喜びを表した。

 主人のその喜びように訓練を見守っていた従魔達は、喜ぶ主の元に駆け寄って一緒に喜んだ。


「まあ、ここからは持続時間を伸ばしたり、魔力の調整をしてより強くする事を目標にしていく感じだな」


「うん、成功して喜んだけど、やっぱりグレンのを見てまだ上に行けるって分かってるからね。慢心せずにもっと頑張るよ」


 その後、今日の所は習得記念という事で早めに訓練を終わりにして、ちょっとしたパーティーをした。

 翌日、ウォルドレットと共にグレンは王城の王妃の居る部屋へと訪れていた。


「本音としては訓練を始める時に教えて欲しかったけど、グレン君としては可能性だけじゃ伝えたくなかったのかしら?」


 グレンから〝最強の魔法剣〟をウォルドレットが習得したと聞いた王妃は、最初にそう悲しそうな表情をしてそう言った。


「はい、可能性だけで希望を持たせるのはと思い報告を送らせました。その事については、申し訳ございません」


「ううん、謝らなくて良いわよ。グレン君の考えも分かるから」


 グレンが頭を下げて謝罪をした事に王妃は慌ててそう止め、会話を聞いていたウォルドレットへと視線を向けた。


「ウォルドレット君、それでどう魔法剣を使ってみて」


「魔法の時点でその凄さに感動したんですけど、魔法剣として使った時はそれ以上の感動を覚えましたよ。あの圧倒的な強さを自分で使った時は、もう嬉しかったです」


 言葉遣いを少し気にしながらもウォルドレットは、昨日の完成した瞬間を思い出しながらそう語った。


「そう言えば、あの後キャロルから言われたんですけど、無事に訓練が終わったら部隊の幹部と重要メンバーを集めた会議をすると言ってましたけど、あれって本当ですか?」


「キャロルちゃん、ちゃんと伝えていたのね。ええ、こちらの準備も大分整って来たから一度改めて悪魔との戦いに向けて話し合いをしようって思ったのよ。悪魔との戦いに向けて動きだして、大分経って色々変わった所もあるでしょ? グレン君が知らない所で動いた事もあるし、そういった事を共有しておこうと思ってね」


「成程、そういう事ですか。その話し合い、いつ行うんですか?」


「グレン君達の訓練の終わりを待っていたから、早くにしたい所ね。この後、全員の予定を見て早いうちに行うと思うわ」


 そう王妃から言われたグレンは、「分かりました」と返事をした。

 その後、訓練での事を少し話をしてこの日の王妃との話し合いは終わった。

 話し合い後、グレンとウォルドレットは家に帰宅して、それぞれ部屋へと入った。


「んっ? フレイナ、帰って来てたのか?」


「ええ、久しぶりね」


 部屋に入ると、部屋の中にこの数日間妖精界へと帰っていたフレイナの姿があった。

 グレンはそのまま部屋の中に入り、椅子に座りフレイナに話しかけた。


「それで、態々妖精界に戻ってまで自分の力を確認しに行ってたが思いだしたのか?」


「ええ、色々忘れてたものも全部思いだしてきたわよ。これで更にグレンの役に立てると思うわ」


「今まででも十分、力になってくれてたけどな……それで、具体的にどんな事が出来る用になったんだ?」


「うふふ、それは今度実際に使って見せてあげるわ。次にグレンが自由な日っていつかしら?」


 フレイナにそう言われたグレンは、明日なら部隊の訓練が終わった後に時間は作れると返した。


「あら、丁度良かったわ。それなら、明日の訓練が終わった後に迷宮に行きましょう」


「まあ、別に良いけど……」


 普段、あまり見せないフレイナのニヤついた笑みを見て、グレンは少し困惑しながらそう返事をした。

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