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第194話 【二人目・4】


「まず、ウォルドレットの魔法剣のやり方を直すところから始めるぞ」


「んっ? 僕の魔法剣って、そんなにおかしいの?」


 自分のやり方を修正すると言われたウォルドレットは、首を傾げて不安そうにグレンに聞いた。


「そこまでおかしい訳では無いんだが、ウォルドレットのやり方だと剣に魔法がちゃんと付与されてないんだよ。この間、戦った時に先に魔法剣が解けたのは覚えてるだろ? あれは、魔法の付与が歪だったから先に解けたんだ」


「そうだったの? 普通に魔力差だと思ってたけど……」


「確かに魔力量によって維持の時間は変わるが、そこまで威力を出して無くてあの時間だと、俺が教えた部隊のメンバー達の方が長く維持できてるぞ」


 その言葉に対し、ウォルドレットは驚いた顔をした。


「グレン、ウォルドレットの魔法剣はそこまで酷いものじゃったのか?」


「初心者にしては上手く使えてはいたって感想だな、まあ俺も独学で学んで強くしてきたからウォルドレットのやり方が全て間違ってるとは言えないけどな」


「僕自身自分で考えて使って来たやり方が間違ってるって、先人であるグレンに言ってもらえるのは嬉しいよ。ただまあ、少し落ち込むけどね」


「すまんな、優しい言い方が思いつかなかった」


 若干落ち込んだ様子のウォルドレットに対し、グレンはそう申し訳なさそうに言った。

 その後、グレンはウォルドレットの魔法剣の直して欲しい所を指摘をして、まずはその修正する訓練を始める事にした。


「ん~、これもまた難しいね……」


「まあ、元々使ってたやり方と似てるから、そこの感覚の違いが難しいんだろうな。多分、魔法剣を習得出来てこれまで無意識で魔法剣を維持して来たと思うけど、これから少しの間はそのやり方を意識して使うようにすれば直ぐに出来る用になると思う」


 グレンからそうアドバイスされたウォルドレットは、「うん、分かった」と返事をして訓練を続けた。

 その後、初日の訓練は終わり家に帰宅したグレン達は、風呂で汗を流して夕食を食べリビングに入ると、何故かそこにキャロルが居た。


「あれ、キャロルちゃん? 久しぶりだね~」


「ウォルドレット君久しぶりにゃ~」


 リビングに居たキャロルに友達に話す様に声を掛けたウォルドレットとは違い、家の主であるグレンは睨むようにキャロルへと視線をやった。


「ニア……」


「キャロルちゃんは知らない人じゃないよ?」


 先日の忠告から一応言われた事を守る様にしているニアは、キャロルは知り合い判定と見て家に入れたとグレンに言った。


「……まあ、いい。それで何で態々家に来たんだ?」


 ウォルドレットと嬉しそうに話しをしていたキャロルに、グレンは家に来た目的を尋ねた。


「んっ? 普通に顔を見に来ただけにゃ、あたしも最近は自分の仕事で忙しくて会えなかったからにゃ。王妃様の頼みで王都から少し離れてる間に、ウォルドレット君が帰って来たって聞いたから会いに来たんだにゃ」


「そう言えば、ここ最近見なかったが王都に居なかったのか」


「そうにゃ、近くの街を見てくるように言われたから行ってたにゃ。それでウォルドレット君、部隊のメンバーに入ったって聞いたにゃけど本当かにゃ?」


「本当だよ。グレンや知ってる人が沢山居たし、僕も悪魔と戦ってみたいなって思ったからね。今は、戦う為にグレン達に強くして貰ってる所だよ」


 そうウォルドレットがいうと、キャロルは「ウォルドレット君が味方は心強いにゃ」と嬉しそうに言った。

 その後、キャロルも一緒に夕食を食べる事になり、今の訓練状況を伝えた。

 状況を伝えた際、キャロルはウォルドレットが既にあの魔法を使えるようになったと聞いて驚いていた。

 実際に見てみたいとキャロルは言ったが既に夜も遅い為、明日の訓練にキャロルが同行する事が決まった。

 そして翌日、実際にウォルドレットがあの魔法を使うと、キャロルは「ウォルドレット君、凄いにゃ!」と興奮した様子でそう言い、そのままグレンへと近づいた。


「これで更に戦力が上がったにゃね! 王妃様達も喜ぶにゃ!」


「ああ、ウォルドレットの加入は本当に大きいぞ、だってあいつは二人目のあの魔法を魔法剣に出来るかもしれない奴だからな」


「……それ、本当かにゃ?」


 興奮していたキャロルはグレンの言葉に一瞬にして静かになり、真剣な様子でそう聞いた。

 それに対しグレンは、ウォルドレットの力について説明をした。


「ウォルドレット君、魔法剣も使えるって本当かにゃ?」


「うん、使えるよ。でも、グレンみたいに上手く使えないけどね。今は訓練中なんだ」


 キャロルの質問に対しウォルドレットはそう言いながら、昨日説明した通りに魔法剣を発動させた。

 あの魔法を使え、更に魔法剣を使えるのを確認したキャロルは「これ王妃様達に報告しても良いかにゃ?」と真剣な様子でグレンに聞いた。


「成功してから報告しようとは思ってる。失敗する可能性もまだあるからな」


「……そうにゃけど、既に悪魔との戦いに向けて作戦を考える段階にゃ。ウォルドレット君の力はこれだけあるにゃって言っておいた方が良いと思うにゃ」


「成程な、確かに急に言われて作戦を変更する事になったら大変だしな。俺達は訓練で忙しいから、代わりに報告しておいてくれるか?」


 グレンはキャロルの言いたい事を理解してそう言うと、キャロルは「分かったにゃ」と返事をして、グレンは王都へキャロルを送り訓練を再開した。

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