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第193話 【二人目・3】


 ウォルドレットの訓練が始まった翌日、グレンはマーリン達の訓練には付き合わずに部隊の訓練でメンバー達に指導をしていた。


「なあ、グレン。本当に良かったのか、ウォルドレットの方の訓練に付き合わなくて」


「んっ? ああ、魔法を教えるのはマーリンのが上手いし、俺が居る意味無いからな。俺が参加するのは、あいつが魔法を習得した後だから、それまではこっちに参加してるってマーリン達との話し合ったんだよ」


 魔法に関して、グレンは正直な所人に教えられる程の技術は持っていないと思っている。

 妖精の長フレイナと賢者マーリンから魔法は教わったが、魔法は何度も壁にぶつかり自信が殆ど無くなっていた。


「それに部隊の奴等も大分魔法剣の精度が上がって来てるみたいだし、そろそろ先に進ませた方が良いだろうしな」


「先に進むって、魔法剣の習得は確かに出来たがこの後何か教えるのか?」


「自分の訓練をしていて魔法剣には、まだまだ力を付けれる所があるなって気付いたからな。俺が体感した事を皆にも教えて、強くなれるならした方が良いだろ?」


 そう言った後、グレンは周りで自主練していたメンバー達を呼び集め、新しい訓練を伝えた。

 その後、グレンは新たに自分が魔法剣を使っている中で強くなれる感じがした事を部隊のメンバーに伝え、その訓練方法を実戦していった。

 そうしてグレンは部隊の訓練、ウォルドレットは魔法習得の訓練を続け、数日が経過した。


「俺を呼びだしたって事は、習得出来たのか?」


 訓練を初めて五日後、部隊の訓練が休みだったグレンはウォルドレット達に呼ばれ、ウォルドレット達が訓練してる所へとやって来ていた。


「成果は見てからのお楽しみだよ!」


 ウォルドレットは元気よくそう言うと、グレン達から少し距離を取り集中し始めた。

 それから直ぐにウォルドレットの魔力が集まると、マーリンやグレンが使っている〝最強の魔法〟が放たれ、正面の木が消えて無くなった。


「……数日で習得した上に、既に使いこなせてるみたいだな」


「習得自体、二日目には出来たんじゃよ。ただそのままじゃと、グレンを驚かせられないと言ってな、数日間更に訓練を積んでおったんじゃよ」


「成程な……だからあんなに、自信満々に言ってたのか」


 呼び出された段階で失敗はしないだろうなとは思ってはいたが、まさか予想を超えて更に訓練を積んで魔法を完全習得してるとは思いもしなかった。


「まあ、僕の力というよりマーリンのおかげだよね。部隊の方の訓練を態々休みにして、僕にずっと付きっ切りだったし」


「部隊の者達には申し訳ないが、ウォルドレットを強くした方が悪魔との戦いには優位になると思ったからの、グレンもそう思うじゃろ?」


「ああ、元の戦力も高いのに加え、悪魔に対抗する技を習得できる可能性を持っている奴だからな」


 そうグレンは言うと、ウォルドレットは嬉しそうに笑みを浮かべた。


「ってなると、次は俺の番だな」


「グレンに教えて貰うのか、なんだか嬉しいな」


「俺だって、ウォルドレットをまさか教える側になるとは思いもしなかったよ」


 ウォルドレットとグレンは互いにそう言い合うと、早速魔法剣の訓練の説明を始めた。

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