第192話 【二人目・2】
その後、場所は変わり迷宮の外、王都から少し離れた草原へと場所を移した。
「まずは手本として、覚えてもらう魔法を使うぞ」
「うん、ちゃんと見てるね」
ワクワクと楽しそうな顔をしながら、マーリンの言葉にウォルドレットは返事をした。
そんなウォルドレットとは対照的にマーリンは、真剣な表情で〝最強の魔法〟を放った。
あれから少し経ち、マーリン自身レベルが上がっており、前回よりも速度が少し早くなっていた。
「……名前にしては、なんか地味だね」
「ウォルドレット。あの魔法は当たった時が凄い事になるから、ちゃんと見ておけ」
見た目事故な為、興味を失いかけたウォルドレットにグレンはそう注意した。
その直後、マーリンの放った魔法が木に当たると、以前と同じように空間が捻じれ木の半分が消えてしまった。
「……えっ、何が起きたの? すっご!」
「効果は見ての通り、全ての属性が合わさった破壊力じゃ。全ての属性を使える者しか、この魔法は習得出来ないんじゃ」
「成程! それでグレンにしか教えてないんだ! うわ~、僕も使ってみたい!」
ウォルドレットは魔法の破壊力に興奮した様子で、マーリンの肩を掴み揺らしながらそう言った。
その後、マーリンはウォルドレットとの訓練を始め、グレンも一緒にウォルドレットの訓練に付き合う事にした。
「ん~、全ての属性を一度に使うって、簡単そうだけど意外と難しい……」
何時間も続けていても疲労が残るだけだと、一度休憩時間を挟むとウォルドレットはそう愚痴を零した。
「まあ、最初はそう感じるからな、習得するまで辛抱だな」
「やっぱり簡単に強い魔法は覚えられないよね~。グレンはどのくらいで覚えたの?」
「数日は掛かったぞ? 完璧になるには更にかかったしな」
「グレンでもそんなに掛かったんだ……難しい魔法なんだね」
とそう言うとウォルドレットは、自分の頬を叩き気合を入れなおした。
「マーリン。続きしよっか、クヨクヨしてても進めないし」
「うむ、その意気じゃ」
ウォルドレットの言葉にマーリンは嬉しそうに返事をすると、二人は訓練を再開した。
その後、初日は魔法がどんなものなのかの説明と、試しに全属性を一度に使う訓練だけして終わりになった。
そうして訓練が終わった後、グレンはウォルドレットと共に家に帰宅した。
クリス、グラムに続いて3人目の居候としてウォルドレットはグレンの家で寝泊まりしている。
「あ~、やっぱりお風呂は気持ちいいな~」
一日訓練をして疲れが溜まっていたウォルドレットは、湯船に浸かるとそう言って体をダラ~んとした。
「それでどうだ? あの魔法、習得出来そうか?」
「今の所、習得出来る気は殆どしないかな? マーリンとグレンが使ってるの見たけど、見れば見るほど魔法の技術度が高くて出来る気が起きないね」
「ここまで自信が無いウォルドレットは始めて見るな、そんなに自信無いのか?」
普段のウォルドレットと違い過ぎて、グレンは心配した様子でそう言った。
「無いかな~、まあ出来る用に頑張るけどね~。僕もあの魔法で作る魔法剣、使ってみたいからね」
ニコリと笑みを浮かべながらウォルドレットは言うと、グレンは「俺も出来るだけ力を貸すよ」と言った。
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