第189話 【ウォルドレットVSグレン・2】
「二人共、準備は良いな? ……試合、始め!」
ガリウスの言葉に二人がコクリと頷き、それを確認したガリウスは大きな声で開始の合図を言った。
合図と同時にウォルドレットとグレンは、相手の出方を見ずに動いた。
「——!」
一瞬にして距離を詰めた二人は、初手の攻撃は剣での攻撃だった。
「ッ! 抑えているとはいえ、この力を普通に受けれるってお前相当鍛錬を積んでるな……」
「まあ、そこそこやってたよ。だって僕が戦う相手は人間性は最悪と評価されながらも、その実力で一定の人達には認められた相手だからね」
ウォルドレットはそう言うと、剣を握ってないもう片方の手から魔法を地面へと放った。
地面に当たった魔法は砂埃を起こし、ウォルドレットはそれを目くらましとして代用してグレンから距離を取った。
グレンもまた体勢を立て直す為に、少し距離をとるとウォルドレットの方を見て「えっ」と声をだして驚いた顔をした。
「おま、それは」
「ふふっ、あの当時からグレンの代名詞である〝魔法剣〟。僕なりに研究して、最近ようやく使えるようになったんだ」
その言葉にグレンは驚いていた顔から笑みを浮かべ、グレンもまた魔法剣を使用した。
そしてグレンの魔法剣をみたウォルドレットも笑みを浮かべ、足に力を入れて戦いが始まった。
「凄いな、あの二人の戦い……」
互いに力は抑えているが身に付いた技術は変わらず、そのレベルが高い事に観戦しているメンバー達は戦いから目が離せなくなっていた。
その中には勿論、グレンの力を聞き、模擬戦を何度も挑戦しているカグラも入っていた。
そんなカグラの元に、グレンとウォルドレットの戦いを見にやって来たヴォルグが話しかけた。
「どうだグレンとウォルドレットの戦いは」
「……色々言いたい事が重なって、上手く表現できないです。取り敢えず、凄いと」
「そうだな、まあ俺から見てもそんな感じだ」
カグラからの返答にヴォルグは、苦笑しながらそう言った。
「ヴォルグ伯父さんは、グレンさんはどうしてあそこまで強いんですか?」
「本人の努力が一番だと思うが。あいつは色んな逆境を乗り越えさせられてきたから、それが一番本人の力に変わってるんだろうよ。カグラはこれまでの人生で、大きな壁にぶつかった事は無いだろ? 自分が死にそうになったとか」
「……小さな壁は何度かありましたけど、死が過った事はありません」
「グレンはそれを何度も超えて来た奴だ。だから強く、現状に満足せず高みを目指し続けてるんだ」
ヴォルグの言葉を聞いたカグラは、激しい戦いを繰り広げているグレンを無言で見つめた。
そんな風にカグラ達が話して居る間、グレンはウォルドレットの力を大体分かり始めて来た。
「ウォルドレット、そろそろ魔法剣消した方が良いぞ。まだ魔法剣での戦い慣れてないだろ?」
「ありゃ? やっぱりグレンにはバレてたか」
グレンの指摘にウォルドレットは、そう言うと同時に剣に付与していた魔法を消した。
「使い始めてそれなりに経つけど、これ結構難しいよね? よくこんなのを平気な顔をして振り回せられるよね」
「慣れも必要だが、色々と付与のやり方とかにコツがいるんだよ。俺は何年も使って魔法剣との向き合い方も分かってるから、戦いが終わったら教えてやるよ」
「本当!? 約束だよ!」
グレンの言葉に笑みを浮かべてそう言ったウォルドレットは、剣を放り投げて両手に魔法を作り上げた。
「それじゃ、次は魔法戦と行こうか!」
「ああ、良いぜ。俺はそっちの方が見ておきたかったからな」
ウォルドレットの言葉にグレンはそう返すと、グレンもまた剣を放り捨て魔法を作り出し、剣術勝負から魔法戦へと変わり第二ラウンドが始まった。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。





