第188話 【ウォルドレットVSグレン・1】
翌日、グレンは騒ぎにならないようにコートで姿を隠したウォルドレットと共に、魔法剣部隊の訓練場所へとやって来た。
「グレンさん、お久しぶりです」
メンバー達と挨拶をしていたグレンに、そう言いながらカグラは近づいて来た。
「ああ、久しぶりだなカグラ」
「聞きましたよ。グレンさんの訓練が終わったと、強くなったんですよね? でしたら、久しぶりに戦いませんか?」
獲物を見る目でそうグレンを見つめるカグラに、グレンは「すまんな、今日は先約があるんだ」と言った。
「ごめんね。今日は、僕が先にグレンとの戦いを予約してるんだ」
「……えっ? その声、もしかしてウォルドレットさん?」
騒がしくなるのを避ける為、ウォルドレットはコートを脱ぎカグラ達の前に姿を現した。
ウォルドレットの姿を確認したメンバー達は、驚きすぎて口を開けたままポカーンとした顔となった。
その後、何とか意識を取り戻したメンバー達に、ウォルドレットが部隊に加入した事を伝えた。
「ウォルドレットさん、王都に帰って来てたんですね……」
「一昨日戻って来たばかりだよ。それで僕が居ない間に色々あったみたいで、大変そうだし僕も手を貸そうと思ってね」
「そうなんですか……って待ってください。さっき、グレンさんと戦うのは僕って言ってましたけど、もしかして今からグレンさんと戦うんですか!?」
カグラのその言葉にウォルドレットは笑みを浮かべながら「そうだよ」というと、カグラとメンバー達は「えぇ!」と驚いた声を出した。
その後、騒ぎだしたメンバー達を置いてグレンとウォルドレットは、戦いの準備を進めた。
「一応、念の為もう一度言うが本気は出さないからな? 軽く、力を見せ合う程度だからな?」
「分かってるよ。グレンがどんな風に力を付けたのか見たいだけだしね。それにグレンだって、僕の力をちゃんと見ておきたいでしょ?」
そうグレンがウォルドレットとの戦いを承諾した理由は、ウォルドレットの持つ力を確認したいという気持ちもあったからだ。
数年前の大規模依頼で一緒に戦いはしたが、その時は自分も必死に戦っていたし、正直その頃の記憶は曖昧でしかない。
なので仲間に加わったウォルドレットの力を、一部でも良いから見ておきたいと思った。
その為、昨日の力を見せて欲しいと言う言葉に対し、模擬戦で互いの力を見せ合うと提案した。
「それでウォルドレットは従魔の力は使うのか?」
「いや、今回は僕の素の力で戦うよ。彼らの力を使っても良いんだけど、それだとグレンの力を自分で確かめられないからね」
ウォルドレットはそう言うと、模擬戦用の剣を数回振り確かめ構えた。
その構えは様になっており、普通に剣士と見間違う程だった。
「ふふっ、グレン僕が剣を使えるの驚いてる?」
「……ちょっとな、昔はお前武器何て使ってなかっただろ?」
「うん、グレンが剣を使ってるの見て僕も使ってみようと思って、暇な時間は剣術を訓練してたんだ。誰かに習ったわけでは無いから、我流だけどそこはグレンも同じだろ?」
「ああ、剣術に関しては俺も誰かに教わった訳じゃないからな。まあ、お前の剣術は普通に興味が湧いたが、魔法も使っていいからな?」
「言われなくても使うよ。グレンの興味は、剣術より僕の魔法だと思うしね」
それから、グレンとウォルドレットは戦いの準備が終わり、ガリウスに審判役を頼み二人は一定の距離を取った。
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