第186話 【最強の従魔使い・3】
「それで、今日はどうしたの? エミリーの様子でも聞きに来たのかしら?」
「いえ、エミリーに関してはティアさんに任せているので、今日俺が来たのは顔を見せに来たのと、最近何か変わった事が無いか聞きに来ました」
「成程、それであまり近寄らないここに来たのね」
マリアはグレンが教会に近寄ろうとしない事は気づいており、その近づかない理由も理解している。
理解してはいるが、それでも教会で暮らす自分からしたら中々会えない為、少し意地悪な感じでそう言った。
「あはは、すみません。悪魔との戦いが終わって、心の整理がきちんとできたらで」
「楽しみにしているわ」
マリアには世話になったグレンは、反論する事が出来ず曖昧に返すとマリアはニコニコと笑顔でそう返した。
それからマリアは、グレンの質問である〝最近変わった事〟について少し考えた。
「そうね。境界付近で変わった所はないかしら? 一つ前と変わったのは、エミリーが教会で暮らす様になった事くらいで、後は今まで通りね」
「そうですか、それなら良かったです」
マリアの言葉にそう返したグレンは、用事も終わったので「また来れる時に来ますね」と曖昧な言葉を残し、教会を出て行った。
その後、一通り知り合いの所を回り終えたグレンは、久しぶりにクランハウスへと顔を出す事にした。
「グレンさん!?」
久しぶりにクランハウスへと顔を出すと、メンバー達はグレンの登場に驚いた。
「グレンさん、どうしたんですか? 最近は、訓練とかで忙しいからクランの方には来れないって」
「今日は休みで知り合いの所を見て回ろうって、色んな所を回ってて最後にここに来たんだよ。それで、ちょっとガリウスに報告したい事もあるんだがあいつは居るか?」
グレンに聞かれたメンバーは、ガリウスはリーダー室に居ると伝え、教えてくれたメンバーに「ありがとな」と言ってリーダー室へと向かった。
「よう。ガリウス、今良いか?」
「騒がしくなったと思ったらグレンが来たのか、こっちで会うのは久しぶりだな」
ガリウスはそう言いながら手に持っていた資料をテーブるの上に置き、グレンへと視線を向けた。
「それでどうしたんだ? 休みの日に態々、ここに来るって何か用事でもあったのか?」
「折角、自分の訓練が終わったし知り合いの所を回って情報集めでもしようと思って、今日は色んな所を回ってたんだよ。まあ、どこも特にかわった所は無くて顔を見せにいったくらいだったけどな」
「成程な、序にクランにも来たって感じか」
「ああ、そう言う事だ。でも、一つだけお前も驚く情報を仕入れて来たぜ」
グレンがそう言うと、ガリウスは「何かあったのか?」と真剣な表情でそう言った。
「あのウォルドレットが王都に戻って来たんだよ」
「……マジ?」
「大マジだよ。直接顔も見た」
そう言われたガリウスは、一旦落ち着く為に深呼吸をした。
「って事はもしかして、部隊に入る可能性もあるのか?」
「それは分からん。ただ今は王城で王様達と話をしてるみたいだし、もしかしたらそうなる可能性もあると思うぞ」
「……あいつが入ってくれたら、一気に人間側に力が付くな。あいつの従魔の力は、あの大規模依頼の時で既に凄かったからな」
グレン同様、同じく大規模依頼でウォルドレットの力を見た事のあるガリウスは、当時の事を思いだしながらそう言った。
「一応先に伝えておこうと思ってな、これだけ伝えに来た」
「態々ありがとな、当日あいつの存在を言われたら多分話に集中出来なかったと思う」
「あいつの存在は、マーリンでさえ驚くだろうからな……」
その後、ウォルドレットの事を報告したグレンはガリウスと今後の訓練について少し話をして他に行くところは無い為、帰宅する事にした。
「……何で、お前がここに居るんだよ」
「やあ、グレン君。さっきは時間無くてお話出来なかったからね。王様との話が終わったから、グレン君が帰って来るの待ってたんだ」
ウォルドレットが居る事に驚くグレンに対し、ウォルドレットは笑みを浮かべてそう言った。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります





