第184話 【最強の従魔使い・1】
悪魔に対抗する為、悪魔クラスの魔法を使えるようになる為に訓練してきたグレン。
訓練を続けて行く中で何度も壁にぶつかっていたグレンだったが、フレイナの一言でそれら全てが消し飛び、悪魔に対抗できる技は完成する事が出来た。
「成功したし、失敗する事も無くなったけど、なんかな……」
「グレンの言いたい事は分かるけど、でも取り敢えず良かったと思うよ」
技が完成した翌日、朝食の席で愚痴るグレンにグラムはそう声を掛けた。
フレイナがわざと教えなかったのならそれは悪いが、本人も忘れていた事や結局訓練のお陰で学んだことも沢山あったのだから、良かったとグラムはグレンに言った。
「そう言えば、今日はフレイナさん見かけないけど、何処か行ってるのかい?」
「一度、妖精界に戻って自分に出来る事を再確認してくるって言って出て行ったよ」
「成程ね。それでグレンは今日はなにするんだい? 訓練はもうやらないんでしょ?」
「部隊の方には明日から戻る事にしてるから、久しぶりに知り合いの所を回って何か変わった事が起きてないか聞いて来ようかなと思ってる」
その後、朝食を食べ終わったグレンはグラムに言った通り、今日は知り合いの所を訪れる事にした。
そうして最初に来たのは、悪魔騒動が始まって殆ど来ていない冒険者ギルドへとやって来た。
「珍しいな、グレンがギルドに来るなんて何かあったのか?」
受付で暇そうにしていたルドガーの元にグレンが近づくと、ルドガーは笑みを浮かべてそう尋ねた。
「いいや、特に用事は無いが。何か変わった事が無いか聞きに来たってのと、顔も見ておこうと思ってな」
「成程な、まあ変わった事と言えば王都に冒険者が集まって来てるな。悪魔への対抗する為に王城で有名な冒険者を集めただろ? そいつらを一目見てみたいって感じで、上級から下級色んな冒険者が集まって来てはいるな」
「ほう。そんな事になってるのか初めて知ったな」
悪魔へ対抗するべく集められた名が知れた冒険者が集められた王都には、その者達を一目見るべく多くの冒険者や商人が集まっていた。
その中には功績が足りず招集されなかった腕の立つ者や、選定によって外された者も居り今王都には数多くの強者が揃っている。
「その中にルドガーの目から見て、部隊に選ばれた者達クラスの者は居たか?」
「強さだけで見たら、そりゃ何人も居たが。性格やらを考えたら、そうだな……」
ルドガーがそう考えていると、グレン達の元へと一人の冒険者近づいて来た。
その冒険者をルドガーは確認すると、ニヤッと笑みを浮かべた。
「丁度いい所に来たな、グレン。さっきの質問だが、俺はこいつは部隊に選ばれてもおかしくねえと思うぜ」
ルドガーからそう言われたグレンは、その近づいて来た者へと視線を向けた。
その人物の名は、ウォルドレット・ノーザン。
数少ないSランク冒険者の中でも、賢者に並ぶ実力の持ち主。
〝従魔使い〟のスペシャリストで、数多くの魔物を従えている。
「やあ、久しぶりだね。話に聞いてた通り、ちょっと変わったねグレン」
「久しぶりって……お前、今まで何処に居たんだよ! 部隊に選ばれてもおかしくないって、こいつが居ないから連絡が取れなかったんだろ!」
グレンはルドガーとウォルドレットに向かって、そう心の底から叫んだ。
グレンの声にギルドに居た者達は、驚いた顔をして視線を向けるとそこにウォルドレットが居て更に驚いた顔をした。
「いやあ、ごめんね? 僕も昨日の夜に王都に戻って来たばかりなんだ。それで王城に連絡が取れたか、ルドガーに聞きに来たところなんだ。それでルドガー、どうかな?」
「ああ、返答があったよ。ギルドに来たら、直ぐに城に来てくれるように言ってくれってな」
「良かった。僕の名前、忘れられてなくて」
ウォルドレットはルドガーの言葉にそう笑みを浮かべて言うと、グレンに「じゃ、また後でね」と言って転移魔法でその場から消えた。
「あっ、おい!」
出て行くウォルドレットにグレンは、待てと言ったが既にウォルドレットは転移魔法で消えた後だった。
「……ルドガー、あいつが帰って来てるなら来た時に言えよ」
「どうせ知る事になると思ってたし、丁度あいつが来たからグレンが驚く顔が見たかったんだよ」
ニヤニヤと笑いながら言ったルドガーに、グレンはボコッと音が鳴るほどの力でルドガーの頭を殴った。
その後、どうせ今行っても王様と話してるだろうしと諦めたグレンは、フローラの所に行こうと気絶してるルドガーを放置してギルドを出て行った。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。





