第183話 【賢者の教え・3】
帰宅後、昨日勉強会を行った部屋へと集まった。
そうして迷宮内で少しだけ説明をした〝魔力の変換・魔力の漏れ〟について、マーリンは一からグレンに解説をする事にした。
「まずは魔力についてじゃが、この原理自体は流石に分かっておるかの?」
「生物が必ず持っている力で、主に魔法として使われている力って感じに認識している」
「大体そうじゃな。まあ、この辺の説明は要らないみたいじゃのう」
マーリンは頷きながらそう言うと、ある一冊の本を机の上に置いた。
その本の題名は〝ゴブリンでも分かる魔法解説〟と書かれており、作者名にはマーリンの名前が載っていた。
「これマーリンが書いたのか?」
「うむ、一時期学園の手伝いをしておる時に一人一人口頭で教えるのが面倒じゃと思って、知り合いに頼んで作ったんじゃよ。題名に関しては、その時酔っておって煽った方が手に取る者が多いと思って付けたものじゃから」
そう言いながら本を数ページめくり、あるページを開いたままグレンへと本を見せた。
見出しには〝魔法の原理〟と書かれており、そのページには迷宮内で説明された〝魔力の変換・魔力の漏れ〟について書かれていた。
グレンはそのページをジックリみて、ある一つの文を見てマーリンに質問をした。
「なあ、マーリンここに書いてある。魔法に変換する際、一つの道を通って魔力は魔法へと変わるって書いてあるんだが。俺のイメージでは、こう集めるイメージ今まで使って来たけど、違うのか?」
「ふむ、グレンはそっちタイプの者じゃったんじゃな」
頷きながらマーリンはそう言うと、グレンは「なんだタイプとかあるのか?」と聞いた。
「うむ、魔法を使う際の魔力のイメージは大体二つに分かれるんじゃ。一つはグレンの様に魔力を集めて使うとイメージする者達と、もう一つは魔力を一つのパイプで魔法へと形成するイメージをする者で分かれるんじゃ」
「……成程?」
グレンはマーリンの言いたい事は何となく理解は出来たが、全てを理解できず曖昧にそう言葉を返した。
「儂のイメージはその文から見ても分かる通り、後者のパイプで繋げと使うイメージをしておるんじゃ。このイメージじゃと、魔力の漏れは殆ど無くより強力な魔法をツ吸う事が出来るんじゃ」
「そんなイメージ一つで変わるんものなのか?」
「それが変わるんじぉ。儂も元々はグレンと同じ、かき集めて使うというイメージをしておったんじゃが。儂に魔法を最初に教えてくれた先生は、もう一つのイメージのやり方をしておっての先生の教え通り、儂もそっちに変えた所、それまでの魔法の威力を軽く超えた魔法を使えるようになったんじゃ」
マーリンの話を聞いたグレンは、「イメージ一つでそこまで変わるのか……」と驚いた顔をした。
「うむ、魔法はイメージが凄く大事なんじゃよ。儂も先生から、魔法には想像力が一番大切じゃと教わったからの」
「そうか……だとしたら、俺はまずこの染みついた〝かき集めるイメージ〟を変えなきゃいけないな……」
「それに関してなんじゃが、今はやるべきでは無いと儂は思う」
これまで散々説明したやり方をするなと言われたグレンは、マーリンを見て「何でだ?」と聞いた。
「儂自身、やり方を変えて今のイメージに定着したが。定着するまで、もの凄く時間が掛かったんじゃ。いまやれば、悪魔との戦いには間に合わないと思うんじゃ」
グレンのその問いに対し、マーリンは険しい顔つきでそう言った。
その言葉を聞いたグレンは「マジかよ……」と呟き、同じく険しい顔つきとなった。
そんな悩む二人の横で一緒に話を聞いていたフレイナは、何か思いだしたかのようにグレンに声を掛けた。
「ねえ、グレン。魔法を使う時、私を使えば良いんじゃない?」
「……フレイナを使う? どういう事だ?」
「んっ? ほら前にグレンと魔力の通わせをしたでしょ? あれとは逆で、私に魔力を渡して私を通じて魔法を使えば良いのよ。イメージだと難しくても、私がパイプの役割を担えば簡単でしょ?」
フレイナのその言葉に、グレンとマーリンは首を傾げた。
「……えっと、そんな事出来るのか?」
「出来るわよ? 妖精は魔法に特化してるのよ? 契約者との繋がりで、私に渡す際は魔力の漏れも無いし、グレンが苦しんでた所は全て無くなると思うわ」
「えっ、じゃあ何で今までそれを言わなかったんだ……」
グレンのその問いに対して、フレイナは言い難そうに「私、契約したの初めてで忘れてたの……」と小さな声でそう言った。
その後、フレイナのその提案を試す為、グレン達は再び迷宮へと訪れた。
「それじゃ、フレイナやってみるぞ」
「ええ、任せて」
グレンはフレイナと手を繋ぐと、フレイナに対して魔力を渡した。
フレイナはグレンから渡って来た魔力をグレンの考える魔法へと作り変え、わたって来た魔力を全てその魔法へと注ぎ込み放った。
「……今までの苦労は何だったんだ」
その結果、悪魔の魔法クラスの魔法を簡単に放つ事が出来た。
試しにもう何発かして見た所、全て成功した。
「儂、必要じゃったか……」
「マーリンの教えが無かったら、ここにはたどり着けなかったから……それに落ち込むのは俺の方だろ、こんな簡単なやり方が最初からあったんだから……」
「そうじゃな、グレンの方が苦労しておったしの……」
グレンとマーリンは互いに慰め合い、そんな現場をフレイナは居た堪れない気持ちで眺めていた。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。





