第178話 【更なる強さ・3】
その後、帰宅したグレンは風呂で汗を流し、ニアの夕食を食べながら話を再開する事にした。
「多分だけど、グレンって感情に能力が左右されるんじゃないかな?」
「感情に能力が?」
グラムのその指摘に、グレンは首を傾げた。
訓練の最後、グレンは成功しない悔しさとイライラが〝怒り〟に変換され、その感情が爆発したんじゃないかと、グラムは説明をした。
「そう言われてみれば、確かに最後はイライラを発散する目的で放ってたな……」
「僕も見てたけど、そんな感じがしたんだよね。それにほら、僕がこっちに来た時に悪戯で瀕死の状態で現れた時もグレンは、怒りが爆発して魔力が爆発してたでしょ」
「あの時か……確かに俺って、感情に左右されやすいみたいだな」
そう結論付けたグレンだったが、感情に左右されていたら戦闘では使い物にならないだろうと溜息を吐きながら言った。
「そうだね。低級の悪魔の戦いの際は上手く行ったけど、上位悪魔との戦いではそううまくはいかないだろうし、あの力を自由に使えるようにならないといけないね」
グラムからもそう言われた後、ニアの作った夕食を食べ終えたグレンは部屋に戻り眠りについた。
それから数日後、自分の訓練に行き詰まりを感じたグレンは、久しぶりに部隊の訓練に顔を出し、訓練の進行状況をガリウスから聞いていた。
「意外と早い段階で魔法剣に慣れたみたいだな」
「ああ、そこはやはり高ランクの冒険者達なだけあるぜ」
全員が魔法剣の習得を終え、今は威力と持続時間を増やす訓練をしているとガリウスは言った。
「それでグレンの方はどんな感じなんだ? 一人で訓練をしたいって言ってたから、何か新しい技を習得しようとしてるんじゃないのか?」
付き合いが長いガリウスは、ニヤッと笑みを浮かべてそう聞いた。
それに対してグレンは、一度溜息を吐き「その通りだが、中々上手く言ってないんだよ」と言葉を返し、その言葉にガリウスは驚いた顔をした。
「あの何でもそつなくこなすグレンが、行き詰まってる何て珍しいな」
ガリウスはそう言うと、どんな技を習得しようとしているのがグレンに聞いた。
その問いに対して、グレンは「魔法の威力を上げる訓練」と言った。
「魔法の威力を上げる訓練って、なんか思ってたより普通の事してるな。その訓練、そんなに難しいのか?」
「悪魔と同レベルの魔法を使えるようにしようとしてるんだよ」
「悪魔と同レベルの魔法だと……そんな事、可能なのか?」
ガリウスはグレンの戦闘映像を見て、悪魔の使ってる魔法が自分達が使ってる魔法とは次元が違うと知っている。
その為、その魔法を使おうとしているグレンを真顔でそう聞いた。
「何度か成功はしてるんだが、使いこなすレベルまで来てない感じだ」
「成功してるって普通にいってるが、あのレべルの魔法を成功させてる時点で凄いと思うんだが……というか、魔法で行き詰まってるんなら賢者様に聞いてみたらどうなんだ?」
「マーリンも部隊を受け持ってて、迷惑掛けられないだろ? 魔法剣部隊は教える事教えて、後は自分達でってやってるから俺が居なくても大丈夫だが。向こうは、マーリンの魔法の使い方を一から教えてるみたいで、時間がいくらあっても足りないって聞いたんだよ」
「そうだったのか? 知らなかったな……ってなると、他に魔法に詳しい人って言ったら聖女様だけど、あの人は俺から見ても忙しいって分かるしな」
「ああ、一応マーリンに時間が出来たら話を聞きに行こうとは思ってるけど、今は俺の事より部隊の訓練に集中させたいからな」
その後、話を終えると近くで話が終わるのを待っていたカグラから「久しぶりに戦いませんか?」と模擬戦を誘われた。
グレンはその誘いに気分転換に丁度良いなと、その誘いを受ける事にした。
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