第177話 【更なる強さ・2】
翌日、グレンはいつもはフレイナと二人で向かう訓練にグラムに同行してもらった。
「グラム兄さん、予定聞かずに決めちゃってごめん」
「大丈夫だよ。特に予定は無かったし、グレンが頑張ってるのに僕は暇してたからね。それにグレンの力になれるなら、僕も嬉しいし」
そうグラムは笑みを浮かべ、言葉を返した。
その後、迷宮のいつもの訓練している階層に到着してグレンは、早速ベルに変わって貰った。
「ベル。一度、悪魔の魔法をちゃんと見てみたいから、見せてくれないか?」
「おう。良いぜ」
グレンの頼みに対し、ベルはいつもは怠そうな顔に笑みを浮かべながらそう返事をした。
「オレ様は前にも言った通り闇属性の魔法しか使えないし、属性的にもあまり派手な技じゃねえが、威力は人間が目にした事のない物だと思うぜ」
ベルはそう言うと、魔力を練り闇属性の魔法を放った。
見た目こそ特に俺達が使っている魔法と変化はないが、着弾した地面は抉れ大穴が開いた。
まさしく、魔法をより強い魔力で放ち、より高密度な魔法を使っている事が今ので理解したグレンだった。
「まあ、こんなもんだろうよ。どうだオレ様の魔法は?」
「ああ、実際にこうしてマジマジと見たおかげで自分達が使っている魔法と、悪魔の魔法の違いを見せられたよ」
驚きながらグレンがそう言うと、その横で見ていたフレイナも「荒々しい魔法ね」とポツリと呟いた。
「妖精から見たら、オレ様達のは荒く感じるが。逆にオレ様達からしたら、妖精が使ってる魔法は精密過ぎだと感じるんだぜ?」
「そこが同じ妖精と悪魔の違う所ね。でもグレンの魔力の総量を考えたら、悪魔みたいな魔法の使い方もありだと思うわ」
「……取り敢えず、一回試してみるか。ベル、やってみるから見ていてくれないか?」
グレンは自分の魔法を見ていてくれとベルに頼み、グレンは悪魔の魔法と同じようなやり方で魔法を発動した。
「駄目だな、魔力の込め方が全然なってない。それじゃ、ただ発動時間が長くなってるだけで威力はさほど変わってない」
「意外と難しいな、なんかコツとかないのか?」
「オレ様はそれが普通で使ってるからな、コツとかよくわからん」
キッパリとそう言われたグレンは、もう一度ベルに魔法を使ってもらい二度目の挑戦をした。
しかし、それもベルからしてみたら、全くなってないと言われた。
「簡単そうに見えたが、やっぱ悪魔が使うだけあって難しいな……」
「確かにオレ様達はこれが普通だが、グレンは違うからな……」
その後、ベルは魔法を使ったせいで疲れたと言い、また何かあれば呼んでくれと言ってグラムへと肉体を返した。
「見てたけど、中々難しそうだね」
「ああ、簡単そうに見てたんだが、やっぱり悪魔が使う魔法なだけあって難しいよ……」
「でも、グレンの魔力量でベルみたいな魔法を扱えるようになったら、悪魔との戦いに使えそうだよね」
実際の所、魔力の総量だけで言えばグレンの魔力は悪魔と匹敵する程、というか若干超えてるんじゃね? とベルからも言われている。
その後、グレンはグラムとフレイナに見守られながら、悪魔流の魔法を色んなやり方で試して行った。
何度も試すうちにグレンは、出来そうで出来ないというイライラが溜まり、本日最後の魔法にそのイライラも込みで魔法を放った
「——ッ!」
その魔法は今までの魔法と比べ、魔力密度が高く、必要魔力もそれまでの魔法とは段違いだった。
「い、今の魔法は……」
「もの凄い威力だったわね……あんな威力の魔法をグレンが使った所、今まで見た事が無いわ」
驚くグレンとフレイナ、その二人にベルに変わったグラムが近づいて来た。
「グレン。やったな、今のはどうみてもオレ様達が使ってる魔法と殆ど同じ、というか悪魔以上の威力の魔法だったぜ」
ベルはグレンの使った魔法を見て、そう感想を言った。
その後、既に外は陽が落ち始めていると、フレイナから報告されたグレンは今の魔法については夕食後にしてくれとベルに頼み、取り敢えず帰宅する事にした。
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