第171話 【罪・3】
王城へと転移したグレンは、王妃達と話す前に聖女の所へと向かった。
「あれ、グレンさん? 今日も訓練に行くと言ってませんでしたか?」
まだ朝は早く、正装では無く私服姿の聖女に出迎えられたグレンは「少し話がありまして」と言った。
真剣な顔をしたグレンの言葉に、聖女は何かあったのだろうと察して部屋の中へとグレンを入れた。
そして部屋の中に入ったグレンは、エミリーの話を聖女へとした。
「成程、グレンさんの元仲間だった人が神の加護と【念話】を……」
「はい、悪魔との戦いに使えるかも知れないと思い、ティアさんに先に話しを聞こうと思いまして」
「確かに【念話】であれば、何処に居るか分からない悪魔に聞かれず作戦を実行出来たり、加護の強さによっては強力な聖魔法も使えるかもしれませんね……」
「一応、そいつは元々回復魔法の使い手だったので少しは使えるみたいですが、何年も真面に使って無かった為、聖魔法のレベルは下がってるみたいです」
そうグレンが言うと、聖女は「適正があるのであれば、十分です」と言った。
「グレンさん、その方と一度話してみても良いでしょうか? 悪魔戦に向けて、一人でも多くの戦力が欲しいですので」
「そういうと思いました。いつ行きますか?」
「そうですね。この後、少し時間がありますのでグレンさんが良ければ行きませんか?」
聖女にそう言われたグレンは今日も一人で訓練する予定だった為、大丈夫だと伝えた。
その後、一度グレンは部屋を出て聖女の準備が出来るのを待ち、準備が終わった聖女と共に再びエミリーのいる牢へと向かった。
「こ、この方が聖女様……」
牢へと転移して来たグレン達は、兵士にエミリーを呼び出して貰い相談室にて3人は顔合わせを行った。
その際、初めて聖女と直接会ったエミリーは驚いた顔をして、聖女の顔を見つめた。
「初めまして、私の事は知っていると様子ですが改めてご挨拶をしますね。私は、聖国で聖女をしております。ティアと申します」
「は、初めまして! エミリーです」
緊張からかエミリーは、慌てた様子で聖女にそう言葉を返した。
そんなエミリーの仕草に聖女は、「悪い子には見えませんね……」とグレンにだけ聞こえる程度の小声でそう言った。
「まあ、エミリーがここに入れられてるのはアレインとの繋がりが深いのと、アレインの犯罪に加担していたからですからね」
「そうでしたね。まあ、この事については今は置いておきましょう。それで、エミリーさん私が何故ここに来たのか分かりますか?」
「……えっと、加護の事でしょうか?」
「はい、フレイナ様が気づいたとお聞きしましたが。私も確認したいと思い、ここに来ました。それで早速、確認してもよろしいでしょうか?」
その聖女の言葉に対してエミリーは、「よ、よろしくお願いします」と返事をした。
そんなエミリーに聖女は、ジッと見つめ目を閉じるとほんのりと光が聖女の周りに集まった。
「あの子、今神様と話しているわ」
「そんな事も分かるんだな」
フレイナの言葉にグレンはそう返すと、光は徐々に治まると聖女は目を開けた。
「ど、どうでしたか?」
「確認しました。本当に加護が与えられてるみたいですね。それも私に加護を与えて下さっている神様と、同等クラスの力を持つ神様〝審判の神〟が貴方に加護を与えているみたいで」
「審判の神様ですか?」
神についてよく知らないエミリーは、聖女の言葉に対して首を傾げてそう言葉を発した。
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