第166話 【獣人族の戦士達・2】
そして翌日、昨日の言葉通り姿を現したグレンにレオナードは「本当に来た……」とグレンに言った。
「何だ。疑ってたのか?」
「正直、大陸を跨いで転移する何て聞いた事が無かったからな、久しぶりに会った俺を驚かす為に嘘を言ったんだろうと思ってたんだよ」
「そんな嘘つくわけないだろ?」
レオナードにそう言ったグレンは、早速今日来た本題の獣人国の戦士についての話を始めた。
「まず、グレンが帰った後、俺の中であのレベルの戦いが出来る奴を集めた。その結果、100を少し超えた位の奴等を集める事が出来た」
「100を超えるって、それ全員がお前と同じ【獣化】を使えるのか?」
「当たり前だ。それも出来ない奴を戦いに向かわせた所で、グレン達の迷惑だからな。【獣化】が出来るのは、大前提で集めた」
レオナードは獣人族での戦いで感覚を麻痺しているが、グレンの居る大陸では【獣化】を使える獣人は殆ど居ない。
身近の獣人族であるキャロルは、情報屋としての技術は凄腕だが【獣化】を使う事は出来ない。
「それでその中でも、特に強い数名を既に別室に待機させてある」
「準備が良いな、昨日の今日で……」
「グレンからの頼みだからな」
ニカッと歯を見せながら笑い、レオナードはそう言った。
その後、グレンはその戦士達と会うためにレオナードと共に部屋を移動した。
そして移動した先には、約3名の獣人族が待機していた。
「おお! 昨日、凄い戦いをしていた人間だ!」
部屋に入ると、一人の獣人がグレンを指を差してそう言うと、他の獣人もレオナードの横に立っているグレンへと視線を向けた。
「グレンが驚いてるから、取り敢えずお前等落ち着けよ」
一部、好戦的な目を向けていた獣人に対してレオナードがそう言った。
そして、部屋の中央のテーブルを囲むようにしてグレン達は座った。
まず最初に行われたのは、自己紹介始まった。
「それじゃ、最初は私からで良いか? 私は、リオン。獣人族では珍しいと思うが武器を使って戦う。剣士として、一度グレン殿とお手合わせをしてみたい」
最初に、他二名の獣人に確認をしながら自己紹介を行ったのは、この場にて唯一の女性である獣人だった。
その獣人はリオンと名乗り、腰にはグレンと同じように剣を所持していた。
「まあ、俺の居る国の方じゃ獣人でも武器を使う奴は沢山居るし、珍しいとは思わないがこの国では珍しいのか?」
「あまり見ないな。それと、俺が知ってる獣人族で武器を使う者の中じゃ、リオンが一番だと思ってる」
「そうなのか、それは凄いな……。まあ、取り敢えず対戦については後々考えるとして、よろしくなリオン」
そうグレンが言うと、リオンは「ぜひ、対戦できるのを待っています」と笑みを浮かべて返した。
次の自己紹介を始めたのは、グレンが部屋に入った時に反応した獣人だ。
「俺の名は、ティオスだ! よろしくな、グレン! 俺もお前と対戦したいぞ!」
「うん、入った時からそういう感じの奴って分かってたわ。取り敢えず、リオン同様に対戦は考えるとして、よろしくな」
「おう! よろしく!」
元気というか若干煩いティオスの自己紹介に対し、グレンは呆れたように返した。
そして最後の一人、他二人とはちょっと違った雰囲気を出してる獣人が自己紹介を始めた。
「僕の名前は、レリオンです。父の命の恩人だと聞いています。父からグレンさんの事は沢山聞いていて、いつか話してみたいと思っていました」
「……父? えっ!? もしかして、レオナードの子なのか?」
レリオンと名乗った獣人とレオナードを交互に見て、グレンは驚いた顔でそう聞いた。
「おう。俺の息子だ。見た目、こんなだが強さは保証するぜ」
「と、父さん!? みんなの前では止めてって、いつも言ってるでしょ!」
レオナードは、レリオンの頭をワシャワシャと撫でながらレリオンの事を褒めた。
そんな父の行動に恥ずかしく思ったレリオンは、拳を握りレオナードの腹を殴った。
「グフッ!」
「……は?」
レリオンに殴られたレオナードは、吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。
殴った本人のレリオンは恥ずかしそうに顔を覆い、他の二人は「またか」といった顔をした。
「えっ、こいつマジで強いの?」
「レリオン君ですが、本気になったらレオナード様を軽くボコボコにする程強いですよ」
リオンから小声でそう教えられたグレンは、恥ずかしくて目の前で顔を覆い縮こまってるレリオンを見て「マジかよ」と呟いた。
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