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第151話 【休日・3】


 その後、フローラの頼みの内容が荷物運びと聞かされたグレンは、直ぐにその仕事に取り掛かった。

 運び場所は王都内の数カ所で、一度異空間の中に荷物を全て入れたグレンは転移眼で荷物の運び場所へと転移を使って回った。

 普通の人であれば数時間かかる仕事をグレンは、30分も掛からずに終えて戻って来た。


「終わったぞ、フローラ」


「ふふっ、やっぱりグレンに頼んで良かったわ。助かったわ」


 報告に来たグレンにフローラは、嬉しそうに微笑みながらお礼を言った。


「他に頼み事とか無いのか?」


「大丈夫よ。最近の悩みは、あの荷物の運搬を誰にしてもらおうか悩んでた位だから」


「そうか、それなら良いけどよ」


 グレンはそう言うと、部屋に設置してあるソファーに座った。

 そんなグレンの隣に、フレイナが姿を現して座ると、フローラの方をジッと見つめた。


「フローラ、貴方疲労溜めてるでしょ?」


「えっ? そんな事無いわよ?」


 フレイナの指摘にフローラは少し驚きながら、そう答えるとグレンもフローラの方をジッと見つめた。

 グレンはそこでフローラがいつにも増して、疲れた目をしていて隈も化粧で誤魔化してるのに気づいた。


「……その、ほら最近悪魔関連でこっちも忙しくてね」


「だからって、疲労を溜めたまま動いたらいつか倒れるぞ? 俺とは違って、フローラは商会のやつらがいるんだから、そこは気を付けるべきだろ?」


「返す言葉が無いわ……」


 申し訳なさそうにフローラがそう言うと、グレンは「フローラ。この後、時間あるか?」と聞いた。


「そうね。グレンのおかげで大分余裕も出来たし、少し位ならあるわよ?」


「そうか、なら今度は俺に付き合え」


 グレンはそう言うと、部屋から一度出て商会の者にフローラを借りて行くと伝えた。

 商会の者達は、休んで欲しいのに無理しているフローラを無理矢理休ませようとしてるグレンの作戦を聞いて、どうぞどうぞと許可した。


「という訳で、フローラ。温泉に行くぞ」


「お、温泉?」


 グレンの言葉に、驚いて聞き返したフローラ。

 そんなフローラの肩に手を置いたグレンは、転移眼で温泉のある場所へと転移した。

 今回連れて来たのは秘湯では無く、普通の温泉宿に連れて来た。


「ここは着替えも売られてるから、そのまま買って入ってこい。監視役として、フレイナを連れて行くから早く帰ろうなんて思うなよ?」


 そう言ったグレンは、後の事はフレイナに任せて自分も温泉に入りに向かった。

 ここ最近、訓練で忙しく温泉に来れてなかった為、グレンは思う存分堪能した。

 そうして約2時間程が経ち、先に上がって待っていたグレンの所にフローラ達が戻って来た。


「どうだったフローラ?」


「そうね。温泉って初めて来たけど、グレンがはまった理由が分かった気がするわね。温泉って、こんなに気持ちいいのね」


 満足気味にそう言ったフローラに、グレンは笑みを浮かべて「だろ」といった。

 その後、今日の仕事は商会に者達がしてくれるとフローラに伝え、フローラを自宅へと届け、陽も既に沈みかけているのでグレンも帰宅する事にした。

 


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