第147話 【カグラ・3】
「グレンさん」
「んっ、どうした?」
休憩をしながら他の人達の試合を見ていると、隣に座っているカグラが話しかけて来た。
「先程の試合で私のいけない所とか、教えていただけませんか? 勿論、魔法剣が駄目なのは自分でも理解しているのですが、他にもありましたら教えて欲しいのです」
「向上心が高いな」
終わって直ぐなのに前に進む事を忘れないカグラの姿勢に、俺は感心してそう言った。
そんなカグラに対して俺は試合中、感じた事をカグラに伝える事にした。
それからカグラと反省会をしつつ、試合を観戦をして暫くが経った頃、再び俺は他のメンバーと戦う事になった。
次の相手もまたカグラ同様に剣士の者で、カグラとは違い力で押すタイプの相手だった。
正直、俺が出会った剣士の中でカグラは一位、二位を争うレベル。
そんな相手と戦ったばかりの為か、俺は戦闘欲が高まっており、二試合目もまた激しい戦いをしていた。
「グレン、今日楽しそうね」
「そう見えるか? でも、そうだな。国が集めた強者揃いだからか普段よりも戦いのレベルが高くて、自分でも知らず知らずの内に楽しんでいたのかな」
「特にカグラとの戦いの時は、満面の笑みで戦っていたよね」
そうフレイナから指摘されたら、確かに気持ちが高ぶっていたなと思いだした。
その後、今日の訓練が終わり王城まで転移で皆を送り、解散となった。
◇
解散後、グレンは家に帰宅しようとしているとカグラから止められた。
「どうしたカグラ?」
「はい、あのこの後何ですがお時間があったらで良いんですが、少し私の訓練に付き合ってもらえないでしょうか?」
「ん~、まあ時間はまだあるし良いけど、俺で良いのか? ヴォルグさんとか今はギルドの仕事が無いから、付き合ってくれると思うぞ?」
「伯父の剣術の技術は見習う所はまだ沢山あるんですが、戦闘スタイルが全く違うので参考には……」
伯父であるヴォルグの事を悪く言えないカグラは、言い難そうにそう言った。
「成程な、それで今日自分と同じ戦闘スタイルで戦った俺に対戦相手として戦ってほしいと」
「はい。グレンさんも普段は違い戦闘スタイルというのは知ってますが、私と同じ戦い方も出来ると知って、お相手してほしいと思いまして」
お願いします。
と、カグラは付け加えて頭を下げた。
「別に頭下げなくても付き合ってやるよ。訓練付けるのも今の俺の仕事だからな」
そう言ったグレンの言葉に、カグラは嬉しそうな顔をして「ありがとうございます」とお礼の言葉を言った。
その後、グレンとカグラは訓練場所として王城の訓練場を借り、陽が完全に落ちるまで模擬戦を続けた。
「ふぅ~、沢山動いたから今日の風呂は一段と気持ちいいな~」
カグラの訓練に付き合った後、帰宅して直ぐに風呂に入る事にした。
一日中、動いたグレンの体は疲れ切っていて、体を洗い湯船に浸かると全身から力が抜けた。
そんな気持ちよさにグレンは浸りながら、ふと今日の訓練の事を思いだした。
「やっぱカグラは別格だったな……」
「そうね。あの子と契約してる妖精の子に聞いたけど、本当に凄い子って聞いてて思ったわ」
「そういやカグラも妖精と契約していたな」
「ええ、それに神の加護もってるわ」
神の加護と聞いたグレンは、「やっぱりか」と呟いた。
神の加護。
それは神様が下界に住む人間に対し、与えるもので授かる者は数少ない。
「それに加えて、あの剣術の才能だろ? 羨ましい程、恵まれているな」
そうグレンが言うと、少し間を開けていたフレイナがズイッとグレンの方へと近づいた。
「あら、グレン? 私達が居るのに、他の人が羨ましいの?」
フレイナ、そして妖精達は自分達が居るのに、神の加護や才能を望んだグレンに対して詰めよった。
「こ、言葉の綾だよ。別にフレイナ達より、加護が才能が欲しかったって言ってないだろ?」
慌ててグレンがそう言うと、フレイナと妖精達は顔を見合わせ笑った。
そして何とか危機を切り抜けられたグレンは、それからゆっくりと風呂に入った。
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