第142話 【悪魔対策部隊・2】
「クリスの奴、遅いな……」
家に帰宅後、夕食と風呂を済ませたグレンは止まらせてくれと懇願した筈のクリスが来るのが遅いのが気になり、妖精達にクリスの居場所を探して貰った。
すると、意外にも家の近くに居て転移でクリスの所へと向かった。
「何してんだクリス?」
「わっ! びっくりしたぞ、グレン。行き成り、現れないでくれよ……」
「来るのが遅いから迎えに来たんだろ? 家の場所が分からないと思ったら、家の近くに居て俺が逆に不思議に思ったぞ」
「……いや、グレンの家の場所に来たら、こんな貴族が住むような家が立ち並んでて驚いてたんだよ。グレン、この周辺の家の一つがお前の家なのか?」
「周辺ってか、そこが俺の家だ」
そうグレンが指したのは、斜め迎えのここら辺ではかなり凝った作りをしている家だった。
グレンが指した方向を見たクリスは、「嘘だろ?」と驚いた声を出した。
「嘘ついてどうすんだ? ってか、明日も会議があるんだから早く寝たいんだよ」
そう言ってグレンはスタスタとクリスの前を歩き、家へと案内した。
門を開けて家の中に入って行くグレンの姿を見て、本当にこの家がグレンの物だと理解したクリスは更に驚いた。
「す、すげ~……同じっていうか、俺のが先にSランクになったけど、こんな豪華な家持ってないぞ……」
「まあ、冒険者が家建てる何てあんましないからな」
グレンはそう言うと、クリスを客人用の部屋へと案内した。
「ここが客用の部屋なのか?」
「家具は全部フローラに頼んで、良い物を用意してるから豪華に見えるんだよ。取り敢えず、この部屋はクリスに貸すが綺麗に使えよ?」
その後、グレンは風呂とトイレの場所をクリスに教えて、自室へと戻り明日も早いので眠る事にした。
そして翌日、朝食は流石に外で食べろとは言えないので、クリスも誘い朝食を食べた。
「グレンの生活、思ってた想像の何倍も良い生活してるんだな……」
朝食を食べたクリスはそう呟くと、羨ましそうにグレンを見つめた。
それから朝食を食べ終わった後、ニアにはまた夜遅くになると伝えてから王城へと転移で移動した。
昨日と同じく集合場所に入ると、既に何人か集まっていた。
そんなメンバーの中から、一人の女性がグレン達の元へと近づいて来た。
「グレン君。昨日は挨拶も出来なかったけど、あの時から大分成長したわね」
「昨日は話が長引きましたからね。お久しぶりですメリアさん」
そうメリアとグレンが挨拶を交わすと、クリスは「あれ、メリアさんとグレンって顔見知りだったの?」と不思議そうに聞いた。
それもその筈、メリアはデュレイン国ではない別の国で活動している錬金術師で、グレンとは接点が無いとクリスは思っていた。
「昔、まだ俺が冒険者なりたての頃にヴォルグさん経由でメリアさんと話す事があったんだよ」
「へぇ~、そう言えばメリアさん前にデュレイン国で活動してた時もありましてね」
「ええ、ヴォルグ君に頼まれて一時期こっちで仕事していたのよ」
それからメリアも加わり3人で話をしていると、続々とメンバーが集まって来て顔見知りの者達がグレン達の元へと集まって行った。
その後、話し合いの時間となり各々席へとついて二日目の話し合いが始まった。
話し合いのテーマは昨日に引き続き、悪魔へどのような攻撃が効くのかの討論が始まった。
今現在、有効打として挙げられるのは、名乗りの反対属性の魔法かグレンの様に高威力の魔法剣での攻撃の二つ。
「そもそもグレンの魔法剣自体、現状はグレンにしか扱えないから現時点での攻撃手段は魔法だけとなるな……」
一人者がそう言うと、別の者が「なら、魔法剣と習得したらどうだ?」と言った。
しかし、それに対して賢者であるマーリンが「あの魔法自体が扱いが難しい」と言い、話し合いは続いた。
「取り敢えず、一度魔法剣を習得してみる所から始めて見たらどうだ? 可能性のある攻撃手段ではあるし」
一人の者がそう言うと、その意見に同意する者が多数居て、メンバー達はバッとグレンへと視線を写した。
「魔法剣自体教えるのはクランでもしてたから教えられるけど、流石にこの場に居る全員は無理だぞ?」
「それは分かってる。取り敢えず、剣が扱えて魔法もそこそこ出来る者に教えるってのはどうだ?」
提案したメンバーがそう言うと、グレンは「それなら」と答え会議のメンバーの中から当てはまる者は挙手してもらった。
すると30名居る中から10名ほどが手を挙げ、その位なら一人で教える事も出来るとグレンは言った。
一応助手兼生徒としてその中にはガリウスも入り、話し合いだけの無駄な時間から一歩前に進む事が出来た。
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