第134話 【戦いの後・3】
部屋に入ったグレンは、久しぶりに会うガリウスに「ただいま」と挨拶を言った。
「ああ、おかえり。無事にって言って良いか分からんが、取り敢えず怪我も無さそうだし、無事に帰って来てくれて嬉しいよ」
ガリウスは笑みを浮かべ、そうグレンに言った。
それからグレンは、先程キャロルと話していた内容と事件の内容をガリウスに伝えた。
「悪魔3体を一人で討伐したって聞いていたが、本当に倒したんだな」
「ああ、露天風呂を壊された怒りでボコボコにした」
「……怒りの沸点がそこっていうのがグレンらしいな」
怒るポイントがまさしくグレンらしい所に、ガリウスは呆れながらそう言った。
「それでクランの方は変わりないか?」
「特に無いな。ただ悪魔の事をメンバーの奴等が知ったから、依頼を受けるのを極力やめて、訓練に力を入れていた理由を話したら、事前に悪魔の事を知っていて国と協力している何て凄い! って言われたな」
「何か本当に変わって無さそうで、良かったよ」
ガリウスに言葉に、グレンはそう安心したように言った。
その後、久しぶりにメンバー達と一緒に話をしてから、明後日の事もあるので数日間は訓練に出れないとガリウスに言ってから家に帰宅した。
帰宅する際も転移眼で帰宅したグレンは、色々考える事もあるなと思い本日、二度目の風呂に入る事にした。
◇
「ふぅ~……これからどうすっかな……」
確実に今後、悪魔達の動きはこれまでとは違ってくるだろう。
そう俺が考えていると、一緒に入っているフレイナが「溜息なんてついてどうしたの?」と聞いて来た。
「溜息も出るだろ? 悪魔達がこれから表立って行動するかもって思ったら、溜息しか出ねえよ」
「まあ、そうね。でもグレンなら強い悪魔とも今ならやり合えると思うわよ?」
「何でだ?」
「だって、あの戦いからグレンの魔力。格段に上がってるわよ? 使えないって封印してた魔力が、あの戦いでグレンの体に溶け込んだみたいで以前の倍以上に魔力の強さを感じるわよ」
……そういやあの戦いの時に、強大過ぎて使いきれないって判断した魔力を封印してたのを解放したままだった!
「あの時、怒りで解除したんだった……」
「見ていたから知ってるわよ。少し不安だったけど、グレンならやれるだろうって思っていたから止めなかったわ」
「フレイナ、一応あの魔力はお前も同意して封印してただろ……」
「ええ、でもグレンには強くなってもらいたいもの、強くなれる可能性が出たなら止める必要は無いでしょ?」
フレイナは真顔でそう言い、俺は溜息を吐いて天井を見上げた。
確かに体内を巡る魔力が以前よりも上がってるな、これは完全に500体の妖精+フレイナとの契約で得た力が完全に体に馴染んだって事だろう。
「あの時、何も考えずにやったけど、一歩間違えてたらあの瞬間に俺は気絶してた可能性もあったんだよな……」
「体に耐えきれずにね。でも、グレンならやれると信じていたわ」
「……訓練の時もそうだが、偶に鬼になるよなフレイナ」
「そうかしら?」
フレイナは笑みを浮かべながらそう言った。
その後、風呂に入りながら俺は今後について考えた。
「取り敢えず、増えた魔力に俺自身が慣れないとな。あの時は怒りで何とかなったし、今も体には馴染んでるけど、今あの時の様に戦えって言われたら難しいしな」
「そうね。それが良いわね」
俺の言葉にフレイナは賛成して、明後日の式典が終わってから調整を始めと決めた。
「って待て! あの時の戦いで俺の装備壊れてなかったか?」
記憶の片隅に追いやられていた事を思いだした俺は、バッと立ち上がりフレイナに聞いた。
「そう言えば、壊れていたわね。剣は砕け散って、グレンが来ていた防具も壊れていたわよ」
「マジかよ……」
意外と気に入っていた装備が壊れていると知った俺は、普通に落ち込んだ。
俺は今日はもう家を出たくないし、明日クランに行って鍛冶師達に頼むと決めて、風呂から上がった。
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