第131話 【港の決戦・4】
「おい、フレム、ブラス! 早くグレンから離れろ!」
一人離れていたウェルがそう忠告をしたが、ブラス達は一瞬にして距離を詰めたグレンに対応が出来なかった。
その瞬間、グレンはブラス達が反応出来ない速度で剣を振った。
「ぐぁぁ」
「いってぇぇ」
フレムとブラスはグレンの攻撃を受け、二人は片腕と片足を切り飛ばされた。
痛みから怒りの形相でグレンを睨みつけるフレム達、しかしその目に映ったのは更に攻撃を仕掛けて来たグレンの姿が映った。
「馬鹿野郎共、直ぐに逃げろ!」
そんな二人の行動にウェルは、激流を操りグレンとフレム達の距離を取らせ、グレンとの間に壁を作った。
グレンの攻撃から逃げれたフレム達は、一度体勢を整える為に魔力を使い切り飛ばされた腕と足を新しく生やした。
「お前等、グレンを甘く見るな。あいつはそこらの人間とは違うんだからな」
改めてそう忠告されたフレム達は先程までの笑みは消え、真剣な表情だった。
そんな悪魔達と戦っているグレンを地上から見上げていたフレイナは、笑みを浮かべていた。
「長~、何で笑ってるの?」
「気付かないの? グレンが本気で戦ってるのよ」
「グレンが本気で戦ってる?」
妖精達はフレイナの言葉に首を傾げて、上空に居るグレンへと視線を向けた。
そこには普段、怖い顔ではあるが優しいグレンの姿はなく、温泉を壊された怒りから今まで見た事もない姿で悪魔達と戦っているグレンの姿が目に映った。
「わ~、本当だ。いつものグレンじゃな~い」
「あのグレンの方が好きかも~」
「ね~、強さをバァーって出してる感じで好き~」
妖精達はグレンの変わった姿にそう言うと、フレイナは「私もそう思うわ」と妖精達の言葉に同意した。
その後、フレイナは結界内に新たな魔力を感じ取り、その者の所へと転移した。
「むっ、妖精の長が姿を見せておるとは珍しいの」
「緊急事態だもの仕方ないわ、それよりマーリン。グレンに加勢するの少し待ってくれないかしら?」
「何でじゃ? キャロルが珍しく慌てた声で、呼び出したから急いできたんじゃが?」
フレイナの言葉にマーリンは不思議に思いそう返すと、フレイナは上を見てと言った。
言葉通りマーリンは上空を見上げると、3体の悪魔をいつもの様子ではないグレンが追い詰めている姿が目に映った。
「何がどうなって、ああなったんじゃ?」
マーリンがそう言うと、フレイナは端的に悪魔が現れた所から説明をした。
「成程のう、風呂を壊されたからああなったと……グレンは本当に面白い奴じゃのう」
マーリンは笑いながらそう言うと、フレイナに言われた通りいつでも加勢できる状態でグレンと悪魔の戦いを見る事にした。
その後も、グレンと悪魔達の戦いは続いた。
怒りから攻撃を止めないグレンに対し、悪魔達は連携を取りながら何とかグレンの攻撃を防ぎつつグレンに攻撃を仕掛けた。
「ああッ! くそったれが、早く死ねよ!」
イライラが限界値に達したブラスはそう叫ぶと、折角連携してグレンへの対応をしていたのを勝手に崩した。
それに対し直ぐに注意をするウェルだったが、その忠告はブラスの耳に届く事は無かった。
一人勝手に離れたブラスに、グレンは見逃さず瞬時にブラスへと距離を詰めて、四肢を剣で切り飛ばした。
そして更に黒い球を出現させて、ブラスの体へと放った。
「ぐぁ! な、治らねぇ!? な、何で治らねぇんだ!」
四肢を切断され、更に胴体も黒い球で消されたブラスは頭だけとなった。
消された部分を復活させようと魔力を使おうとしたが、黒い球によってブラスの中にあった魔力をほぼ消えていた。
それに気づいたウェルは動き、ブラスの回収を行おうとした。
しかし、ウェルの行動に瞬時に気付いたグレンは、頭部だけとなったブラスを掴み剣で突き刺した。
「ぐぁぁぁぁぁ!」
悲鳴を上げながらブラスは剣の能力によって、存在ごとこの世から消された。
その光景を見たウェルとフレムは、仲間の消失に動揺してその場に思考を一瞬停止した。
瞬時に戦いの途中だった事を思いだしたウェルだったが、その時には隣に居たフレムも消されていた。
「ブラス、フレム? ――がはぁっ」
仲間の姿が消えた事に意識を持っていかれていたウェルは、自身の体に剣が突き刺さってる事に気付くのが遅れた。
既に体の半分以上が消えていたウェルは、自身の死を悟った。
「アルマ様、すみません――」
ウェルは誰かの名を呟くと、剣の能力によって存在ごとこの世から消された。
そうして悪魔達との戦いを終えたグレンは、怒りを鎮めると体の力が抜けてその場から急降下した。
グレンが落ちていると直ぐに気づいたフレイナは、転移でグレンを魔法で受け止めた。
「お疲れ様、グレン。今はゆっくりと休みなさい」
こうして初の悪魔襲来事件は、たった一人の冒険者グレンによって討伐され幕を閉じた。
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