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第130話 【港の決戦・3】


「ひゅ~、強さ隠してたのか。流石だね~」


 最強の魔剣を出した俺に対し、フレムはそう挑発するような言葉でそう言って来た。

 出したはいいが、これが本当に効くかだよな……取り敢えず、実験から始めるか。

 俺はそう思い、一先ずこの魔法剣が通用するか試す事にした。


「なあ、フレイ。あの剣、なんかさっきと違くないか?」


「ただ見た目が変わっただけだろ? そんな、直ぐに強さが変わる訳ないだろ」


 挑発して来たフレムとは違い、ウェルと名乗った奴は賢いのか俺の魔法剣の違いに感づいたようだ。

 成程な、あの三人の中で一番頭が回るのはあの水の悪魔といったあいつみたいだな。

 アレインを乗っ取った奴に関しても、フレムと同じく調子に乗りやすいタイプだな……だとすれば、最初に叩くのは水の悪魔だな。


「ッ!」


 距離を取ろうとした水の悪魔に、俺は転移眼で一瞬にして距離を詰めた。

 そして、横に剣を振るうとギリギリの所で避けられてしまった。

 しかし、少し当たっていたようでウェルの右腕の手首から先が消えていた。

 ああ、流石マーリンが〝最強〟と認めた魔法だな、悪魔にもちゃんと効く。



 それからグレンは、先程までの3体の悪魔が優勢な状況から、多少状況は良くなった。

 しかし、それでも数の不利さ、そして悪魔の強さに苦戦を強いされていた。

 グレンは心の中で、早く増援が欲しいと願いつつ、何とか耐えていた。


「ああ、うぜぇ!」


 最強の魔法剣を出したグレンに近づけなくなった悪魔達の中で、最初に我慢の限界に達したのはアレインの体を乗っ取った悪魔だった。

 状況的に悪魔達の方が未だ優勢ではあるが、抵抗しているグレンに対してイライラが溜まっていた。


「フレム、ウェル。退け、俺様の魔法で一発で終わらす」


「おい、グレンの攻撃をちゃんと見てたのか? 魔法だと、あの剣で壊されるぞ」


「ハッ! だったら、あの剣よりも強い魔法をぶつければいいだけだろ!」


 イライラが溜まっていたブラスは、そう言い放つと魔力を溜めて巨大な竜巻を発動させた。

 的が大きい上に風に体を持っていかれると、そう判断したグレンはその魔法を避けた。

 そして、魔法を発動したばかりのブラスに攻撃を仕掛けようとグレンが剣を振ろうとした瞬間、後方から何かが崩れる音がした。

 その音にグレンは後ろを確認すると、目をあけてその場に立ち止まった。

 グレンの様子の変化に、悪魔達も何だ? とグレンと同じ方へと視線を向けた。


「ろ、露天風呂が……」


 視線の先、そこには別荘宅から少し離れた位置に作られていたせいで結界の外にあった露天風呂が魔法によって崩れた光景がグレンの視界に映った。

 その光景に悪魔達は特に何とも思わず、放心しているグレンに攻撃を仕掛けようとした。

 しかし、次の瞬間、グレンから強大な魔力の反応を感知した悪魔達は距離を取った。


「ろ、露天風呂……あれ、気に入ってたんだぞ。また嫌な護衛任務でも受けて、来ようって思う程だったんだぞ……」


「いや、そんなの知らんし」


 動揺しているグレンに対し、壊した本人であるブラスがそう言った。

 普段、グレンは馬鹿にされたり嫌な事をされても、文句を言うだけで怒りの頂点に達する事は無かった。

 アレイン達と居た時は既に壊れていたため怒りという感情が無く、妖精達と過ごす様になってからは怒りという感情を爆発させた事は無かった。

 そんなグレンは人生で初めて、気に入っていた露天風呂を破壊されて怒りが爆発した。

 その結果、普段は目立つからとほぼ封印の様な形で留めていた妖精達との契約で増えた魔力を怒りによって解放した。


「フレム、ウェル。グレンの様子が変だし、今のうちに叩き潰すぞ」


「おう!」


「いや、待て!」


 チャンスだと思ったブラスとフレムは、ウェルの忠告を無視して怒りによって混乱しているグレンに魔法で攻撃をした。

 すると、次の瞬間その魔法は一瞬で消えた。


「「は?」」


 二人の悪魔は声を揃えて驚いた声を出すと、目の前に一瞬で現れた雰囲気が変わったグレンの姿を視認した。


「おまえら、楽に死ねると思うなよ。露天風呂の仇だ!」


 グレンはそう叫び、悪魔達への攻撃を始めた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 雑魚悪魔くらい瞬殺だと思ってたがそうでも無いんだな、マーリンから魔法剣教わってなかったら普通に負けてたんじゃないか?と言うか妖精一体より確実に悪魔一体の方が強いだろ。そしてこいつらより…
[気になる点] 腕を切られた水の悪魔が、痛みで叫ぶのか腕が再生するのか、なんかしらのリアクションが欲しかった。 魔法剣の効果がわからんので…
[一言] おおう、斬新な理由、そう来ましたか。わくわく
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