表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

127/299

第127話 【王族と旅行・4】


 王家の旅行に護衛として半ば強制されたグレン。

 港街ハブーンの王家所有の別荘宅の庭にて、近衛騎士団長アーノルドと模擬戦をしていた。


「ふんっ!」


 身長がグレンより高く、約2m程あるアーノルドは大剣をグレンに向かって振り下ろした。

 その攻撃に対してグレンは片手剣で、簡単にその攻撃を弾き返した。

 攻撃を簡単に返されたアーノルドだったが、グレンの強さを知っており驚かずただ攻撃を続けた。


「昔より、剣が鋭いな。訓練したと聞いていたが、グレンの成長速度はやはり面白いな」


「我流の剣術だから、近衛騎士団の団長からみたら粗末なものじゃないか?」


「そうでもないぞ、実戦で鍛え続けられた剣術の方が俺は戦いが苦手だしな。それにグレンの戦い方は、俺の一番苦手とする魔法と剣術を合わせた技だからな」


 近衛騎士団長アーノルド・ブレッグ。

 歳は32と若く、歴代の近衛騎士団団長において最年少でこの役職に就いている。

 得意な戦いは剣術で「剣の天才児」と幼き頃は呼ばれ、今ではデュレイン国最強の剣士とまで呼ばれている。

 またグレンとは、グレンが姿を消す前から顔見知りである。

 繋げたのは、デュレイン国王都支部冒険者ギルドのマスターをしているヴォルグである。

 ヴォルグを尊敬しているグレンは、ヴォルグの一番弟子であるアーノルどの事も知っていて、何度か手合わせもした事がある。


「まあ、でも今は魔法剣は使わないよ。流石に王家所有の別荘宅の庭を破壊したら、後が怖いからな」


「グレンなら許されそうだがな、王家から気に入られてるみたいだし」


 アーノルドは笑みを浮かべてそう言うと、グレンは困った顔をして「何でか、分からんがな」と答えた。

 その後、模擬戦は続きは王家は楽しそうに二人の戦いを観戦した。

 また二人の戦いに一番熱狂していたのは、言わずもがな第一王子であるアルであった。

 グレンを憧れの対象と置き、アーノルドの事も信頼する家臣を思っているアルは二人の戦いを見て、より剣術を学ぶと決意した。


「ふぅ~、王家の別荘なだけあって風呂は最高だな~」


 模擬戦後、汗を流す為にグレンとアーノルドは風呂に入る事にした。

 別荘の風呂には露天風呂があり、その眺めは絶景でグレンは初日の入浴時間は軽く2時間は超えていた。


「そういや、グレン。一年の姿を消した後、やけに風呂が好きになったって聞いたが何かあったのか?」


「色々とあったな、まあ話すと長いが。簡単に言うと、風呂の良さに気付いたんだよ」


「成程な……」


 アーノルドはグレンの言葉にそう言うと、グレンに向かって頭を下げた。


「グレン、」


「良い。あの時は俺がそう決め込んでいたから、お前が助けなかったせいじゃない」


 王族から色々と聞いているアーノルドは、グレンがどうなったのか詳細に聞いていた。

 自身もグレンと関わっていて、それに気づいていながら手を貸せなかった事を悔やみ、グレンに謝罪をしようとした。

 しかし、それを察したグレンはアーノルドが言い終わる前に止めた。


「それにあれがあったから今、俺は自分の為に色々と出来てるからな。結果的に良かったと思ってるよ」


「……だが、お前は一歩間違えたら死んでいたと」


「それこそお前が謝罪する意味は無い」


 キッパリとグレンからそう言われたアーノルドは、納得がいかない顔で「分かった」と返した。


「だが! 今後、お前が困ってたらお前が拒否しても助けるからな? 覚悟しろよ」


「何でそれに覚悟がいるんだよ! ……あの時の俺はもういない、だから俺が困ってたら助けてくれよアーノルド」


 そうグレンから言われたアーノルドは、我慢していたのか大粒の涙を流した。

 それからグレン達は、辛気臭い話はやめてゆっくりと風呂に入る事にした。

 

【作者からのお願い】

 作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら

 下記の評価・ブックマークをお願いします。

 作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版が2021年11月10日に発売予定です!
★★書籍版では書き下ろし外伝「後悔する者たち」を収録しています★★

書影
書籍版の公式ページはこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ