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第122話 【顔合わせ・2】


「しかし、まあ王子と王女が俺の事をな……自分で言うのもなんだが、昔の俺って相当悪い噂ばかりじゃなかったか?」


 実際、昔のグレンの噂で良い噂は数個で殆どが悪い噂、捏造された噂とは言えその噂は広まっていて、好かれる要素は無いだろうとグレンは思ってそう言った。


「ええ、そうですね。ですけど、私達の近くにはグレン様を知る方が居ましたので、本当にグレン様の事を教えて頂いていたのです」


「近くに居た者……」


 王女の言葉に、隣に座るキャロルへと視線を向けた。

 キャロルはグレンから見られていると気付くと、ニコッと笑みを浮かべた。


「お前か」


「当たりにゃ、王子様達がグレン君の事を知りたいっていうから、本当の事を教えただけにゃ。良い、働きをしたにゃ。褒めてもいいにゃよ?」


「……お前も俺の噂流してた癖にか?」


「あたしは本当の事を言ってただけにゃ、当時のグレン君は夜のお店に殆ど毎日通っていたにゃ。好きな女性のタイプにゃんかも、その店の女の子を見て噂を流してたにゃ」


 平然とそう言うキャロルにグレンは、拳を握りしめた。


「キャロルさん、そんな噂流してたのですか? 私達にはグレン様の素晴らしい冒険話ばかり聞かせていたのに……」


「あっ」


 キャロルはいつもグレンと話してる時の様に話してしまい、自分の失言に今更気づいてしまった。

 キャロルはグレンについて王子達には、女性関係について等といった不埒な物は一切自分の口からは伝えていなかった。

 王子達に話した内容は、グレンが活躍した冒険話ばかりでそれの話を聞いた事で王子達は本当のグレンを知れて興味が湧いてファンになった。


「確かに私達も噂を聞いて、グレン様の最初の印象はちょっと悪い冒険者と感じ、キャロルさんから話を聞いてそんな人じゃないんだなと思っていたのですが。その噂を流していたのがキャロルさんでしたか……」


「ち、違うにゃよ? あたしが流したのは、グレンが娼館通いをしてるのを面白く流しただけにゃ」


「……そのこれは私の意見ですが、大人の男性でしたら娼館を使用する方は居ると思うのです。それを態々、噂で流すのは……」


 王女がそう言うと隣にいる王子も同じように、キャロルを非難するような視線を送った。

 王子達にそう視線を向けられたキャロルは、王妃とグレンに助け舟を出してもらおうと視線を送った。


「キャロルちゃんが悪いわ」


「俺は被害者だ」


 と、二人から拒絶されたキャロルは自分の事を慕ってくれていた王子達に若干悪い印象持たれてしまった。


「あっ、そうだ。リシアナ様、今回の旅行の護衛に関してですが一つお願いがあるんですが、良いですか?」


「お願い? 内容にもよるけど」


 グレンは傷ついてシクシクと嘘泣きをしているキャロルを放置して、王妃に話しかけた。


「その、実は少し前から自分の家で手伝い人として雇ってる者が居まして、数日間とはいえ一人にするのはちょっと可哀想だなと思いまして、出来るのであれば今回の依頼にそいつも連れて来ても良いでしょうか?」


「成程ね。話には聞いているわ、グレン君が帝国で拾った孤児の子でしょ?」


「はい、護衛としては全く使えないのですが、一人にするより近くに居た方が安心だなと思いまして、無理なお願いでしたらガリウスか他のメンバーに数日間面倒見て貰えるように頼んでみようとは思います」


 真剣な表情でそう言うグレンに、王妃は笑みを浮かべて「連れて来ても良いわよ」と許可を出した。


「ありがとうございます。リシアナ様」


「ええ、今回は私達も無理にグレン君にお願いした事だし、その位なら大丈夫よ。それに年齢的にもこの子達と一緒くらいでしょ? 話相手として、連れて来ても良いかなと私も思っていたのよ」


 王妃はグレンの状況を知っていた為、ニアを連れてきたいと言うだろうと予測して既に準備をしていたとグレンに言った。

 それを聞いたグレンは流石王妃様だなと感じて、改めてお礼を言った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 娼館通いに理解あるとか王女様いい女じゃん
[気になる点] 王族の護衛に出会って数日しか経っていない人を連れて行くことは有り得ない。 普通はクランに預ける。 例え信頼できる人であったとしても王族の護衛の仕事なのだから襲われる前提で準備しないとい…
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