第117話 【新生活・1】
デュレイン国へと帰国したグレンは、戻って来てから帝国に行く前と同じような生活を送っていた。
変わった点と言えば、家に同居人としてニアが増え毎日の食事が以前よりも美味しくなった所だろう。
「それで、ニア。俺が紹介した奴等と話したらしいが、仲間には入れて貰えそうか?」
「うん、今は訓練期間だからそれが落ち着いたら、一回依頼を受けに行こうって約束してもらえたよ!」
「そうか、良かったな」
これまで、仲間を見つける事が出来なかったニア。
そんなニアの事を放っておけなかったグレンは、話し合いの場まで作ってあげその成果を聞くと、上手く行ったようで良かったと安堵した。
その後、食事を終えたグレン達は一緒に家を出てクランへと向かった。
クランの者達はニアがグレンの家で暮らしている事をしっている為、変な勘違いを起こす者は居ないが、逆にグレンと一緒に暮らしたいという物が多数出て来た。
その中には勿論、リックやグレンに一日稽古をつけてもらいたいという願望丸出しのニック等が居た。
その者達に対してグレンは一言「家が無い奴なら良いぞ」と真剣な表情で言うと、群がって来た者達は大人しくなり、それ以降一緒に暮らしたいという者は居なくなった。
「グレン、今日も元気そうだな。ニアの手料理、そんなに美味しいのか?」
「……俺、本当にお前が怖く感じてくるよ。フレイナ以上に俺の感情とかそういうの当てるのは、普通に気持ち悪いぞ」
「気持ち悪い言うな、こういう立場になって長いし、元々人の感情を読み取ったりするのが得意だったから親しい奴の考えてる事は大体分かるんだよ」
グレンの言葉に対し、ガリウス溜息交じりにそう言った。
「そういや、結局グレンはもう帝国にはいかないのか?」
「……協力者の人から俺が目立っていたって聞いたし、近づかない方が今後の為だろうな」
そうグレンが言うと、ガリウスは「そうか」と言葉を返した。
それから少し世間話をした後、グレン達は訓練の時間になったので部屋を出て訓練場として使っている迷宮へとクランメンバー達と共に移動した。
迷宮では班分けした者達が新たに習得した技を磨く為、時間を決めて魔物と戦闘を行っている。
戦闘をしていない班は、戦闘している班のサポートだったり、作戦会議を行ったりしている。
「グレン、ちょっと来てくれ」
後方でクランメンバー達の作戦会議を聞いていたグレンは、前の方からガリウスが呼ぶ声が聞こえ、ガリウスの所へ転移した。
するとガリウスの周りには幹部達が集まっていて、遅れて来たグレンは何があったのか話を聞いた。
幹部達が集まっていた理由、それは訓練階層の移動の提案だった。
ここらの階層を〝シルバーナイツ〟が占領しており、他の冒険者が稼げないと最近なっていて、チラホラとギルドにどうにかならないかという話が送られていたとグレンは聞いた。
「何れ来るだろうなとは思っていたけど、案外遅かったな」
「ああ、俺達も言われてから動こうか迷っていたんだが、ギルドからも注意みたいなものを受けたし、あいつらの戦闘力も上がって来たし、ここらで訓練する場所を変えるのも有りだなと思ってな」
ガリウスの言葉を聞いたグレンは、クランメンバー達の戦力を考え「大丈夫なんじゃないか?」と言葉を返した。
何かあれば自分達が付いているし、見張りはグレンの妖精が付いているからほぼ大丈夫だろうとグレンはガリウス達に言った。
それからガリウスは一度、クランメンバーを集め下の階層に訓練場所を移すと伝えた。
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