第11話 【強く・4】
フレイナとの通わせで、何となく感覚を掴んだグレン。
次なる魔力を通わせる妖精と手を合わせ、魔力を通わせた。
フレイナの時は、数時間掛った魔力の通わせだったがこの妖精とは、30分程で成功した。
「おっ、成功したな」
「わ~、グレンすっご~い!」
魔力を通わせた妖精の子は、グレンが成功した事に喜び嬉しそうに飛び上がった。
そんなグレン達をフレイナは、口を開けて驚いた表情を作っていた。
「ど、どうしたんだフレイナ?」
「わ、私の時はあんなに時間掛かってたのに、何でこの子とはこんなに早く……」
その時、グレンはここ最近のフレイナの情緒の不安定さを見ていて、このままいくとフレイナが〝めんどくさいモード〟に入る事を予知した。
「成功したのはフレイナのおかげだよ! 最初にあれだけ失敗して、経験値が積まれたんだよ! だから、この成功はフレイナのおかげなんだよ! なっ、お前もそう思うだろ!」
「う、うん。長のおかげだよ!」
グレンの言葉に妖精は合わせて、フレイナを褒めた。
するとフレイナは、「本当に?」とチラリとグレン達の顔を見上げた。
「ああ、本当だよ。フレイナとの経験があったからこその成功だよ」
「そ、そう?」
グレン達の言葉に落ち込んでいたフレイナは、徐々に機嫌を取り戻して行った。
そんなフレイナの様子を見て、グレンは「めんどくさい状態にならなくて良かったと……」と小さな声で呟いた。
◇
フレイナのご機嫌取りに成功した後、流石に今日は遅いという事になり、明日から契約してる妖精全員が終わるまで今日と同じ事をすると言われた。
「フレイナと契約した時に感じた力、あれだけでも凄かったのにこいつと魔力を通わせた瞬間、更に体の内に力が増した気がしたな……」
「それは魔力の通路を断ったとしても、一度つながった事でグレンの中に私達の力が残ってるからよ。だから、この子達全員と通わせたらグレンの力はそれだけ底上げされるのよ」
「マジかよ。妖精って本当に凄いな……」
マジでその言葉しか出ないな……これだけ力を貰えるのに、こちらのデメリットは少し苦労する位だしな。
「ええ、だから狙われやすいのよ。まあ、グレンの場合は国が狙って来たとしても返りうちには出来るでしょうね」
「いや、流石に国相手は難しいだろ?」
「そうかしら? だって、グレンの敵って事は私達の敵だもの、その時は私達も加勢するわよ。ねぇ?」
フレイナがそう妖精達に言うと、集まっていた妖精達は一斉に「グレンの味方だよ~」と叫んだ。
「ああ、うん。この数の妖精が居れば、確かに国相手でも心配無さそうだな……」
というか、フレイナだけでも相当な戦力だ。
それに加えてここに居る妖精達、数は正確には言えないけど百以上の妖精達が俺の味方となれば、小国程度なら相手出来そうな気もする。
「まあ、でも一番は敵対されない事だな。争い事は基本嫌いだしな、戦うなら魔物が良いな」
「私達もその考えよ。グレンがいつか、一人でドラゴンと戦う姿を早く見たいわ」
「いや、流石にそれは嫌だぞ?」
そう俺が答えると、フレイナは「え~」と不満な声を出した。
「グレンがドラゴンと戦ってる姿見たい子~」
フレイナがそう大声で言うと、周りに居た妖精達は先程と同じように声を揃えて「は~い」と返事をした。
「ほら、皆期待してるわよ。頑張ってねグレン」
「……分かりましたよ。頑張りますとも」
半ば強引にその言葉を引き出さされた俺は、溜息を吐いて訓練を頑張ろうと意思を固めた。
その後、いつも通り風呂に入り疲れを取り、部屋に戻ると何故かまたもフレイナが居た。
「今日は流石に一緒に寝ないぞ?」
「分かっているわよ。ただちょっと、二人っきりで話したかったから来たのよ」
俺の言葉に若干、不満気に答えたフレイナだが。
俺の耳にはきちんと、フレイナが小さく舌打ちしたのが聞こえた。
「それで、話って?」
「ええ、明日からの訓練だけど、流石に丸一日を魔力の通わせに使うのは勿体ないから、午前中は魔力の通わせに時間を使って、午後は普通に魔法の訓練をしようと考えているわ」
「んっ、まあ確かに能力値が上がる=魔法の腕が上がる訳じゃないからな、別にそれで良いと思うよ」
そう俺が答えると、フレイナは「分かったわ。それじゃ、明日からも訓練頑張りましょうね」と言って部屋から出て行った。
それから、部屋に一人になった俺は疲れも溜まっていたのでベッドに横になると、直ぐに眠りについた。
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