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第102話 【発散・2】


「グルォォ!」


「ガルァァァ!」


 あの後、ガリウス達は予定通り王都の近くにある迷宮の上層部で魔物との戦闘訓練を始めた。

 その戦闘訓練をグレンは見届け、一人下の階へと降りていき、現在下層と呼ばれる所で戦闘を行っていた。


 突如、現れた人間に対し、下層の魔物達はグレンへと襲い掛かった。

 クランに入った際に作った貰った装備に身に包み、武器は剣一本を手に持ち襲い掛かって来る魔物達を傷一つ負う事無く倒して行った。


「この魔法剣は強いけど素材を残さないのが欠点だな……」


 グレンは迷宮に潜ってからの戦闘では、マーリンから教わった〝最強の魔法剣〟しか使っていない。

 これから先の戦いに向けて、今よりも慣れていく必要があると感じたグレンは、ストレス発散も兼ねて使用をしていた。


「最近は戦いらしき戦いをしてなかったからなのか、なんか開放感があるな」


「まあ、それもあるんだと思うけど、グレンって元々は一人で行動するタイプだったから、ずっと人といる生活に自分では気付かない内にストレスが溜まっていたんじゃない?」


 フレイナのその指摘に、グレンは思うところもあり「確かに、それもあるかも」と言った。


「そもそも、グレンって人と群れない性格は性格を変える前からそうだったものね」


「……いや、あの時の俺の性格で言えばただ虐められてたから人が怖いって思ってただけだ。ただまあ、それもあって一人で行動する事が多かったな。「ガルァ——」アレインにパーティーに誘われて入ったのも、エミリーが入るって言ったからだしな」


 グレンは当時の事を思いだしながらそう言い、襲い掛かって来た魔物を斬り殺した。

 それからグレンは、フレイナと昔話をしながら襲い掛かって来る魔物を倒しながら、迷宮の奥へと進んで行った。



 迷宮の探索を始めて二時間程が経ち、現在俺はこの迷宮の最下層付近まで降りて来ていた。

 王都から一番近くにあるこの迷宮は、上層階はそこまで強い魔物は出ないが、ここら辺の階層だと上位の魔物が出て来る。

 その為、王都で暮らす上級冒険者は稼ぎたいときはこの階層までパーティーで降りて来て、一気に稼いだりしている。


「グレン、さっきから倒してる魔物の素材回収してるけど、素材として使えないって言ってなかったかしら?」


 魔物を倒し、その素材を回収しているとフレイナからそう質問をされた。


「ああ、こんなボロボロじゃ買取はしてくれないけど、クランの鍛冶師から一応回収しておいて欲しいって言われたんだよ。使えるかどうかは俺も分からないけどな」


「そんな事頼まれていたのね」


 フレイナは俺の言葉に納得した様子で、それからは特に何も言わず俺の戦闘を眺めていた。

 その後も俺は、最下層でのストレス発散目的の戦闘を続け、疲労が溜まって来たなと感じて来た所で帰宅する事にした。


「……グレン、流石に綺麗にしてから王都に戻れよ?」


 迷宮の上層階に居るガリウス達と合流すると、ガリウスからそう言われて俺は自分の体を確認した。

 あっ……あの魔法剣のせいでいつもより返り血が酷いな……。


「すまん、普通に気づいてなかった」


 俺はそう言うと、フレイナに頼み自分の体を綺麗にしてもらった。

 それから俺はクランメンバーを転移眼を使い王都まで転移させ、ガリウスと共にリーダー室へと入った。


「それで、一日一人で行動してどうだった? 久しぶりに気分転換が出来て、思考も少しはスッキリしたんじゃないか?」


 こいつ俺が大人数で行動して、それにストレスを感じていた事を見抜いてたな……。


「……お前、フレイナから言われて気付いた事をサラッと言うよな」


「お前が元々一人だった事は知ってたしな、俺達と一緒に過ごしてて自分でも気付かない内にストレスに感じてたんじゃないかって思ってたんだよ」


「凄いわね。私でも、見抜けなかったのに……」


 ガリウスの言葉に、実体化したフレイナは驚いた顔をしてそう言った。


「まあ、でもお前のその気遣いのおかげで色々とスッキリしたのは確かだよ。ありがとな」


 言いたい事は沢山あるが、俺の事を考えてくれた事には変わりないから俺はそう感謝の言葉を口にした。

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