病気の蔓延について その2
『Spreading the disease』という言葉を聞いたことがあると思う。
直訳すると『病気の蔓延』のことだが、この単語を見た時に皆さんがまず思い浮かべるのは、とある曲のことだろう。
そう、皆さんお馴染みのアメリカのメタルバンド、クイーンズライクの曲、『Spreading the disease』だ。
アルバム『オペレーション・マインドクライム』に収録されている。
クイーンズライクについては過去の酔っ払いエッセイで軽く触れているのですが、今回はもう一度紹介しておきましょう。
アメリカのメタルバンドです。今回紹介する『オペレーション・マインドクライム』まではメタルメタルしたバンドだったのですが、次作の『エンパイア』以降、徐々にプログレ色を帯びていきます。
実はこのバンドも、前回紹介したアンスラックスのようにボーカルが変わったバンドなのですが、”元ボーカルと新ボーカルの声質が非常に似ているために、パッと聞いても違いがわからない”という、ちょっと変わった交代劇を見せたバンドです。要するにドラえもんではなく、クレヨンしんちゃんなのですね。
この辺は裁判とかでごたごたした面もあるので、深くは語りません。興味がある方は、そんなこと調べる時間があるならアルバムを1回でも聞くのをおすすめしますね。
我々は観客なのだ。めんどくさい話は当事者に任せ、美味しい部分、きれいな部分だけを見ていようじゃないか。
さて、この曲が収録されている『オペレーション・マインドクライム』というアルバムは、ニッキーさんという架空の人物の逃避行をつづったコンセプトアルバムです。
アルバム一枚を通して一つのストーリーを為しているので、(Spreading the disease だけ聞いてももちろん良いのですが)やはりアルバム全体を通して聞くのがいいでしょうね。
ストーリー云々だけではないのです。曲の順番とか盛り上がり的な部分も大切なのです。
歌詞については、歌詞カードに日本語訳がちゃんとありますから、英語がわかんなくても安心です。なあに、雰囲気がわかればいいんですよ。
全然関係ない話なのですが、このエッセイを書くためにアルバムケースを引っ張り出したところ、特典のシールが入っていることに気付きました。
おとくですね。せっかくなのでどこかに貼りたいんですが、いい場所ないでしょうか。仕事場のロッカーとか?
さてさて、閑話休題。
この曲の何がいいかって、シャウトの部分なのですよ。
Spreading the disease からの everybody needs の部分。
そしてそれに続く、like a sacrifice 。
このあたりが特に好きですね。
このアルバム通して、2番目に好きな曲になります。
……え、1番目は何かって?
決まってるじゃないですか。そりゃもちろん、the Needle Lies ですよ。曲の入りから既に最高潮。まさに最初からクライマックスだぜ(でしたっけ?)
ただ、このアルバムを最高に気に入った方は、逆に続く『エンパイア』や『プロミスト・ランド』はあまり気に入らないかもしれません。
そういう私も、最初にエンパイアを聞いた時、なんだか退屈な感じがしたものです。
ただ、しばらく経ってから聞き直したとき、あれ、これってすごくね? となったんですね。
エンパイア、そしてプロミスト・ランドは、マインドクライム以上に”アルバム全体を通して”聞くべき作品です。
オープニングからエンディングまでの一連の流れを、ぜひ味わってほしい。アルバム全体を通して一つの曲なのです。
色んな解説もされていることでしょうが、音楽に関しては、聞く以上の説明はありません。まずは、聞きましょう。そして、繰り返し聞きましょう。
気付くと、へんてこなアルバムジャケットまでが愛しく見えてきますから。
そんな感じで、部屋の中に引きこもって陰鬱な気分で過ごしているそこのあなた、クイーンズライクを聞いてみてはいかがだろうか。
ただし、カラオケに行くのはお勧めしない。クイーンズライクも、知名度のわりに曲数が少ない歌手の筆頭なのだ。
クイーンズライクを歌いたいなら、大人しくQueen を歌っているのがいいだろう。Queen の曲なら山ほど収録されているので、閉店まで心行くまで歌えるぞ。