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六花立花巫女日記 外伝  作者: あんころもち
9.私の本音
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記入日 A,C, 27/03/04



 ライゼさんに、ラ イ ゼ さんに傷つけられた彼女の怪我(擦り傷、打ち身)は完治。影響はないようだ。彼女に初めての傷を与えたのは、ライゼさん。覚えておく。


 彼女の人生において、傷がついたのはこれが最初だ。向こうの世界でも、怪我をしないように細心の注意を払いながら行動していたのだから。


 そんな彼女に傷を……。


 しかしそれは……私が逃げてしまったからだ。彼女からの負い目から……身勝手に。その所為で彼女を諭せる人間がライゼさんしか居なかった。そしてライゼさんは、実力行使に出てしまったのだ。


 もう逃げない。あの時のような、間違いは……もう。


 喧嘩、だったのだろう。人生で初めての喧嘩を、彼女とする事になるなんて……。でも、ちゃんと仲直り出来た。これも、ライゼさんのお陰。彼女を傷つけた理由は、彼女の間違いを正す為だ。だから余計に、複雑な心境なのだが……。


 初めての喧嘩だったから、仲直り出来るなんて思わなかった……。もう二度と、彼女とは一緒に歩けないって、思ってた……。


 でも、ちゃんと出来た。彼女とまた一緒に歩ける。そういえば、アルツィアさまが言っていた。人間は喧嘩をする生き物だ、と。


 喧嘩をする事で、より相手の心に触れる事が出来ると。そうだった。彼女の心が、より強く流れ込んできた。言葉で、伝えてくれた。私もありのままの心を向ける事が出来た。そして、自分の気持ちに気付けた。


 喧嘩は時に、手を出すような激しいものになる。それでも、人と人の繋がりには欠かせないものなのかもしれない。


 私は気付いた。もしかしたら、気付いてしまったというべきかもしれないが……。

 

 私は、彼女が好き。大切な人。掛替えの無い、私の人生だ。それが何の感情から来るのか、今日やっと分かった。私は……愛している。彼女を。


 好きと愛とでは、こんなにも想いに差が出るのだと、知る事が出来た。


 もやもや感もなくなった。スッキリとした頭は、私の深くにある彼女への想いを簡単に現出させる。


 今はまだ私の片思いだけど、いつか、きっと……。


 彼女への想いが、一分、一秒……今この瞬間でも、募っていく。だからこそ……今が、苦しい。愛しているのに、彼女を支える事が出来ない……この時、ばっかりは……私には何も出来ない……。


 私は一足先に、ベッドに入って待っていよう。彼女が部屋から出てきたら、私の隣に来てもらおう。私の体温を感じてもらおう。


 でも……き、気付いてしまったから……眠れるかな……。眠れるかどうか以前に、我慢出来るか……。気付く前ですら、ギリギリだったのだから……。


 でも、彼女の安眠を邪魔するつもりはない。我慢は慣れている。それに、その我慢する期間もきっと、私にとって宝物になるだろう。


 彼女と再び歩める。彼女との想いを交し合う事が出来る。一緒に食べ、一緒に話し、手を繋ぎ、抱き合い、眠れる。


 私は今、幸せだ。彼女も、幸せと思ってくれているだろうか。この時も、幸せを感じてくれているだろうか……。辛い中でも、一筋の光のような幸せを――。



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