記入日 A,C, 27/03/03
体調。良好。怪我の影響はもうないようだ。今後も、怪我と魔法後の異常に気をつける。
今日は浄化を行った。感染者と呼び名が統一された、”悪意”に感染した人の浄化だ。前半を私が、後半は彼女が担当した。約二万人を相手に浄化をしたが、滞りなく終了。彼女の”巫女”としての資質を見せ付けられてほっとする。これで少しは、噂も落ち着くだろう。
宿のアルバイトの時間を使って行った訳だが……アルバイトは確かに楽しい物だった。だけど……私が考えていた、彼女の休息計画は半分も達成出来ていない。本来は純粋に、アルバイトを楽しんで貰うつもりだったのだが……。
私が浄化を担当している時、彼女は給仕をしていた。お客の注文を聞くために右へ左へと駆け回っていたのだが、心は常にこちらを向いていた。彼女の熱い視線は、私の心を暖めると同時に不安にさせた。
アルバイトは、彼女に日常を楽しんで欲しいという想いを込めて始めたものだ。だけど、彼女は……私の為に警戒をしていた。これを私が止める事は、出来ない。彼女に気付いてもらうしか、ない。
仕方、ない。彼女は少なくとも、そこそこ楽しめていると感じた。であれば、他の部分で補うしかない。戦うだけの王都生活にしない為に……彼女の息抜き計画を、開始する。
その計画を成就させるには、今日知り合ったライゼさんと、王都一民の声を聞けるアンネさんの協力が必要だ。だから、彼女の事を教えた。向こうの世界でどのような生活をしていたのか。こちらにきて、どのような経緯があって、この王都まで来たのか。
彼女を色眼鏡で見る事は許さない。二度と、同じ過ちは犯さない。私が彼女の平穏を守る。せめて、等身大の彼女で居られるように、する。
私は彼女を……守りたい、のに……彼女は私に、”盾”を頼んでくれない。今日のマリスタザリア討伐にしても、そうだ。
確かに私は、瞬発力で彼女に劣る。だけど、”盾”を張る速度だけは、劣っていないと自負している。それで守れるかは、自信を失くしつつあるが……彼女の想いを守る事位は、出来るはずだ。
なのに、頼んでくれない。彼女は私に、完全な後衛を望んでいる。
私の魔法は……最前線向き、なのに。
でも、強く言えない。彼女が私を守りたいと強く想っているのは知っている。そして彼女が守りたいのは、この国に生きる全ての命も同じなのだ。
だから、私は……。
この葛藤も、何度もしてきた。だから、何も、言わない。もう決まっている。
私は、彼女の想いを遂げるのだ。その為なら、なんだ、って……。
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