記入日 A,C, 27/02/29
彼女は今日もしっかりと健康。戦闘の疲れや、それで起きる可能性がある異変も、なし。
初日に起こった異変は今の所ない。やはり無理矢理魔法を発動させたことによるもののようだ。また無理矢理の発動にならないように、気をつけないといけない。
王都に到着したが、予想よりずっと難航しそうだ。彼女に対する国民の感情と視線は、私の神経を逆撫でる。噂であそこまで盛り上がれる事に、呆れてしまう。
~そう。~のよう。~らしい。これらを使う事に忌避感はない。でも使ったからには、それを確かめる為に動いて欲しいと思う。この国の人は、噂を楽しんだ後はその噂がどう変化するかも考えずに放置する。確かめる事もしないので、こちらが否定しない限りは際限なく広がってしまう。
かといって、彼女の噂をどう否定しろというのだろうか。”光”を使い、”巫女”という証明をしたのに、何も変わらなかったのだ。ならばもう、今出来る事はない。彼女と共に、行動するしかない。
その行動はきっと、彼女の神格化に繋がる。それが嫌だと、集落からずっと思っていた。でも――やはり、彼女が蔑ろにされる事の方が、ずっと嫌。
私は彼女という光を、世界に示そうと思う。
彼女の料理は、凄く美味しかった。メアブラスを使った、酒蒸しという料理らしい。お酒でお魚を蒸して、最後に調味料で味付けを少しだけするという、シンプルな料理だ。
シンプルだけど、だからこそ味が直接伝わってくる。濃厚なお魚の味と、仄かな塩味。それを絶妙な分量で入れられたソースが際立たせている。酸味がさっぱりとした味わいを強調させていた。
彼女が言っていた、ドジをするという点にしても、問題ないように感じた。彼女は、その……私の為に料理をするという事で、緊張していた。そして私が声を掛けた事で、フッと気持ちが緩み、体の動きが制御出来なくなってしまったのだ。
経験で何とか治る範囲のドジ、だけど……可愛い。
彼女の全てが、可愛い。 ありのままで良いけど、治そうとする姿も可愛い。
もっと知りたい。ずっとそう思ってるけど、彼女の全てを知りたい。もっと彼女を体験したい。
明日の事もあるから、今日はここまでにしておく。彼女の為にお風呂を入れて、寝る準備をする。ベッドは当然、個室ではなく大広間のベッド。広いベッドだけど……たぶん、半分も使わない。彼女に抱き締められて眠るから。早くベッドに入りたいとも思えるし、もっと彼女と語らいたいとも思う。
その彼女は今、個室で日記を書いている。――音が聞こえている。
世間の人は一生知る事はないだろう。世界の為に立ち上がってくれた彼女に対し、噂だけで判断し遠ざける者達は、知ろうともしないだろう。
その言動の全てが、彼女の秘密を傷つけている事を。そしてそれを一生、面に出さない事を。
だから、私は――彼女の為だけに動く。世界の問題は結果だけで良い。過程の全ては彼女の為に。
彼女の涙を私がいつか……拭ってみせる。




