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六花立花巫女日記 外伝  作者: あんころもち
42.氷解
436/952

記入日 A,C, 27/04/06



 ・シーアさん、好調。元老院の事が原因なのか、心労が見え隠れしている。


 ・レイメイさん、好調。メルクの傷は治しているし、焦りを覚えている事以外は問題ない。


 私も、問題ない。北部後半の事で気が滅入っていたけれど、些細な問題だ。彼女は……恐らく、三人共同じ事を考えている。彼女が戦っているのに、私達は何も出来なかった。シーアさんとレイメイさんは捕まり、私は……二人を人質を取られて、動くなと、命令された。


 彼女との一対一を、マクゼルトは望んでいたのだ。


 昨日の今日だ。昨日、あんなに……重傷を負って、今日もまた……っ。輸血は、必要ない。それでも、夕飯前に起こした時……貧血で、立ち上がる事が出来なかった。これは、魔力の消耗によるものだ。


 血は多く流していた。彼女の体格で考えたら、危険な量だったかもしれない。それでも……彼女の体調が優れないのは、魔力の消耗だと断言出来る。それだけ――魔力砲は、危ない。


 体の傷も重傷だったのだから、明日もし……魔力が回復していようとも、安静にして貰おう。彼女は、私の全てだから。



 私は…………自分の死に恐怖も感慨もない。だけど――彼女を置いて逝ってしまうとなれば、話しは別だ。私は死にたくない。彼女とずっと一緒に、一緒の時を歩みたい。


 何もするなと言われていたけれど……私も出来る事を、やろうとした。だけど……間に合わない。私に高速詠唱なんてものはない。人よりは速く詠唱出来るかもしれない。でも、”人”の外に行く事は、できない。


 私は”人”。”人”として喜び、悲しみ、怒り……”人”として、死ぬしかないのだ。紙一重で、彼女を置いて逝かずに済んだ。彼女のお陰だ。私は後何度、彼女に命を救われる事になるのだろう。


 私を助けようとすればするほど、彼女の死が近づいてしまう。戦いは常に刹那の中にある。そんな刹那の中に、私を救うという行動まで入れていたら……命がいくらあっても、足りない。


 自分の身くらいは、意識せずとも守れるようにならないといけない。私の意識はいつだって……彼女の為に、在りたいから。今日のように、何も出来ないという事態だけは……避けないと、いけない……。


 後悔はしないという決意は、この日記に残っている。だから――二度は、書かない。二度と書かなくて良い様に、する。


 ずっと、奥底に秘めていたのに、ザブケュの時に感じた違和感が首をもたげている。あの声が、頭から離れない。


 世界には六十兆以上の人が居ると言われている。似たような声の持ち主が居るかもしれない。でも……あの声だけはありえないと、断言出来る。ならばあの声は――――違う。考えるべきは、倒す事。あの声の主が、盗賊を殺したに違いない。私が考えないといけないのは、ライゼさん級の剣術と、マクゼルト級の体術を持つ敵に勝つ方法だ。余計な事は考えない。



 心機一転、という訳ではないけれど……新しい服を、作った。世界で一つだけの、彼女と私だけの服。彼女が眠っている間に作り上げようと思ったけれど……お披露目は、明日か明後日になりそうだ。私も、眠ってしまったから……遅れてしまった。


 喜んで、貰えるだろうか。彼女に合うよう、作ってみたけど……こういった不安なら、悪くない。彼女の笑顔に繋がっているかもしれない不安なら、待てる。明日を恐れず、楽しみにして……待とう。



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