『トゥリア』悔恨⑭
今から数十年前。とある行商が王国にやって来た。今は連合と呼ばれる国から命からがらやって来たそうだが、立ち寄った村で邪険に扱われてしまったそうだ。その村は閉鎖的で、排他的だった。
肩を落として帰る行商に、村の女性が声を掛けた。その女性は外の事を沢山聞いたそうだ。その女性は村で生まれ、一度も外に出た事がないと言っていた。何も知らない女性と、色々な物を見てきた行商。相性が良かった事もあり、仲良くなるのに時間は掛からなかった。
出会いはそんなものだ。お互い惹かれ合い、結婚まで至った事もありふれている。とある理由で死別し、行商と息子だけが残る事も、この世界では珍しくないのだろう。
だが行商は、世界を恨み、村を恨み、人を恨み――そして、己を恨んだ。
弔砲代わりの破裂音と、絵の具を零したような音で奏でられる葬送曲が村を染め上げていく。
一体誰に向けられた物なのだろうか。ただの八つ当たりに意味を求める事が間違っているのかもしれない。これはけじめなのだろう。この暴風は怒りなのだろう。
静かに、迅速に行われた復讐劇は――幕を閉じた。
「わざわざ戻って何をするかと思えば」
赤黒い何かが家屋に付着し、村全体が同じ色に染め上げられている。生活感が一切感じられない村の隅に、マクゼルトは仁王立ちしていた。その背に黒い影が声を掛けている。呆れたような、仕方ないといった共感のような、そんな声音だ。
「悪意の回収も済んどるんだろ」
「えぇ。それは恙無く」
腕は千切れかけ、致命傷はリツカよりも多いが――マクゼルトは普通に歩けている。失血量や欠損など些細な問題なのだ。命があるかないか。”悪意”を維持出来ているかどうかだ。だからといって、千切れかけた腕はすぐに治さなければ繋がらない。ただの傷ならば問題ないが――”光”は”悪意”への特効だ。
影の男からすれば、時間を掛けてまで行った復讐に肩を竦めてしまうのだろう。本人が喜んでいたのなら問題ないが、気が済んでいる様子すらないから。
(まだまだ人ですねぇ。トゥリアでの決戦に拘ってまでやりたかった事がこれとは)
「今度こそ帰りますよ。赤の巫女はもう戦えないでしょうが、巫女はまだまだ戦えますのでね」
「赤の巫女と違って巫女には負けんがな」
「魔王様と貴方は赤の巫女を重視していますが、私はどちらかといえば巫女の方が恐ろしいんですがね」
「またそれか。そういや、今回の小細工もてめぇの発案だったな」
「まぁまぁ。一対一は楽しめたでしょう」
「チッ……」
場にそぐわない雑談をしながら、二人が闇に溶けていく。闇に溶けきる直前、マクゼルトは無感情にある物を踏みつけた。恨みがましく、こちらを見ていた――眼球を。
部屋に戻り、リッカさまをベッドに寝かせた後……私は、着替えます。着替えをお風呂場に持って行くのを忘れていたので……少し、慌てました。シーアさん達は……もう少し、掛かるようです。新しいローブを編みながら、待ちましょう。
「隣、失礼しますね」
椅子は、ありますけど……少しでも近くに居させてください。
「裁断と、仮縫いは魔法で……」
一度着て貰ってから調整したいですから、仮縫いまで一気にやりましょう。眠っている間に着せるのは憚られますが……完成した後をリッカさまへのお披露目としたいので、仮縫いの後に少しだけ着てもらいましょう。
「色合わせを先にしておいた方が、良いですね」
赤色をいくつか用意しているので、どの赤が一番リッカさまに合っているのか、実際に見ておきたいです。寝ている間にするのは憚られますが……初めて見せるのは、完成後にしたいと思っていますから。
「では、まずはこちらの赤を。シーツ、失礼します」
シーツをはだけさせ、露となった白い肌の上に……色々な赤の布を置いてみます。朱、紅、深緋……カルミン、ハンティング……これくらいしか持って来る事が出来ませんでした。リッカさまの髪は、ワインレッド寄りの深緋といったところですから――朱で少し明るくさせるか、同系のカルミンにするか、ですね。
(白色の線を入れますから、真っ赤という事にはならないので赤を強く――布と布の、隙間からリッカさまの……)
「――さーん」
「!」
シーアさんが帰って来たみたいです。お出迎えに……いえ、こちらに来てくれているようなので、待ちます。その前に急いで片付けないと…………。
「巫女さーン。入りますヨ」
「…………は、はい。どうぞ」
何分固まっていたのでしょう。もうシーアさんが扉前に……片付けは、出来ないのでシーツをかけて出ます。
「何してたんでス?」
「看病、していただけですよ?」
扉を開け、その場で応対する事に、しましょう。シーアさんが目敏く気付いてしまいそうなので……体をずらして隠すしかありません。扉を閉めれば良いだけかもしれませんが……扉一枚であろうとも、今はリッカさまから離れたくありません、から。
「……」
「……」
どうしても今のリッカさまを見たいのか、私を出し抜こうとシーアさんが左右に揺れています。
「ふぅ……リツカお姉さんは大丈夫なんでス?」
「少し……いえ、かなり魔力を消耗しています。今日は起きれないと思います」
「そうですカ……。生命に別状はないんですよネ」
「はい。ですけど……あれだけの魔力を撃った割には、消耗が少ない程でして……」
(巫女さんも疲れてますね。体力や魔力ではなく、精神が……。今日は安静にしてもらった方が良さそうですね)
「消耗ガ、少ないくらいですカ?」
何も分かっていないので、報告するのはどうかと思いましたが……この現象を解明出来れば、もう少しだけ自由に魔力砲を使う事が出来ます。本音で言えば、使って欲しくありませんが……”風”を使えないリッカさまが、拳圧に対抗出来る唯一の手段です。
使わせないのではなく、自由に使える方法を考えるのが……私の、役目でしょう。
「あんなに撃ったんですヨ? あれはリツカお姉さんの魔力総量を超えていたと思うのですけド……」
「私もそう思ったのですけど……リッカさまの限界を超えた後からは、減っていなかったようで」
「……? どういう、ことです?」
「私にも何がなんだか……」
いつも私達の常識を覆し、新たな道を示し続けていたリッカさまです。今回もそうだと思うのですが……そうだとしても、私がリッカさまの事を間違える事はありません。リッカさまの魔力ではないものが、あの時……使われていたと、思います。
(残りの疑問は……リッカさまが目覚めてから、ですね)
「それでも、限界を超えている事に変わりありませんので」
「そうですネ。私達が見た魔力より少ないってだけデ、使いすぎって事実は変わらないんですヨ、ネ」
リッカさまの魔力は、残っていません。普通の人達が「疲れた、もう使えない」という段階ではなく……本当の限界を、超えているのです。体力回復に努めてくれているので、今日中に起きられるかもしれませんが……休めるだけ、休んで欲しいと思っています。
「話は私が聞いておきましょう。村民は、何と?」
「あー……いエ。それはリツカお姉さんが起きてからにしましょウ」
「……何かあったのですか?」
「まァ、言い辛いのは確かでス」
どんな内容でもリッカさまにはちゃんと伝えますが――何が起きたのか、事前に知っておきたいです。視線を泳がせるシーアさんに、自然と目が座っていきます。あの状況では仕方ないと思うので、シーアさんの口から聞かせてください。
「リツカお姉さんに話すかはお任せしまス」
「分かりました」
「先ず謝罪ヲ。村民はもウ、私達の話を聞いてくれませン」
「レイメイさんが何かしてしまいましたか」
「そうですネ。もともと確執があったのニ、任せたのが間違いでしタ」
説明を聞いて思った事は――シーアさんの判断は間違えていないという事です。ただ、私は……レイメイさんの心情も理解出来ます。冷静に話そうと思っていても、出来る物ではありません。
「巫女さん達の顔はバレてはいないようですけド、ここに来ている事は分かっているでしょうネ。サボリさんが少し含みを持たせてしまいましタ」
「レイメイさんにとっては因縁のある村です。どうしても許せない部分や割り切れない感情があったのでしょう」
「気持ちは分かりますけどネ。今回に限ってはもう少し私情を殺して欲しかったところでス」
確かに、私情を排してやるべき事をやるのが……優秀な戦士なのでしょう。私達なら、やろうと思えば出来ると思います。ですが完全に私情を排す事など、”人”には出来ません。レイメイさんを責めるのは、酷です。
「そんな訳デ、村での浄化は難しいですネ」
「リッカさまは見捨てないでしょうから、今のうちから浄化をする方法を考えておきましょう」
「こういっては何ですけド、今回の村のような場所でハ、諦めることも必要だと思いまス」
思わず、苦笑いになってしまいました。
「私も、そうは思っています」
「そうなんでス?」
「全員救えるとは、思っていませんから。どうしても無理ならば、前進を優先させる必要もあると割り切っています」
そうするべきだと、思います。”お役目”優先という事は、リッカさまも私も理解はしているのです。でも……最大限の努力を、私達は未だしていません。
「リッカさまは、後悔したくないのです」
「それでご自身が傷ついてたら世話ないですヨ」
「それは……私も、少し気になっているところです。ですけど――」
少しずつ、昔に戻ってしまっています。でも……それでもリッカさまは、一に私を……そして二に自分を、大事にしてくれているのです。
(だから……)
「私はそんなリッカさまを……大切に想っています」
「リツカお姉さんも同じ気持ちでしょうネ。だからそんなニ」
中々良い間隙を縫って、シーアさんが体をズラしました。私でなければ出し抜けたでしょうけど、通しません。
「一体リツカお姉さんはどうなってるんでス」
「寝ているだけですよ」
「……本当でス?」
「……本当です」
少しはだけてしまっていますし……その下は、布を掛けただけという状態ですが……眠っているだけ、ですよ。
(巫女さん相手に出し抜くなんて無理でス)
「残りの話はリツカお姉さんが起きてからにしましょウ。もしかしたラ、この村を諦めてくれるかもしれませン」
「許せない部分があるとはいえ、余り嫌ってはいけませんよ。この村の方達もまた、この混迷の時代において、何かに縋らなければいけなかった者達なのですから」
シーアさんでも赦せないくらい、村人たちの言は傍若無人だったのでしょう。悪態が過激になっています。シーアさんは、マクゼルトに捕まった事を気にしていますから……苛立っていたのかもしれません。それでもシーアさんは、冷静です。すぐに気持ちを鎮めてくれました。
「どのような神を奉じようとも、アルツィアさまの愛に揺らぎはありません。私達はその想いを形にするために動くだけです」
怒りは多分、あります。悔しさや悲しさもあるのでしょう。ですが、覚悟していた事です。私達がどんな目に合おうとも……私達は私達の意志で、アルツィアさまの愛をお届けします。
「……分かりましタ。リツカお姉さんも同じ気持ちでしょうかラ、準備だけはしておきましょウ」
「苦労をかけます」
「良いですヨ。そのための私達でス」
レイメイさんともう少し話をするようで、部屋から離れていくシーアさんに頭を下げます。いつも無茶ばかり、です。しかも今回は……死んでいたかも、しれません。二人を喪う事も、私達の痛恨です。
(……あれ?)
「私、巫女さんに話しましたっけ」
(村民達がアルツィア様以外を崇めているって)
死ぬかもしれない旅ですが……ここでは、ありません。最後はあっても最期がないように、したいです。
(まぁ、巫女さんですし)
まずは……食事の用意は、どうしましょう。
(リッカさまの傍から離れたくありませんし、かといって食事を作る事までシーアさんに任せる訳には……)
「ん……」
「リッカさま?」
夢を、見ているようです。久しぶりかも、しれません。
「っ……」
頭痛が起きたと思ったら、また……リッカさまの夢が、流れ込んできました。
(能力の、暴走……っ)
視てはいけないと、思っている時に限って……視えてしまいます。視線を合わせずとも、流れ込んできてしまうのです。
「こ、れは――」
リッカさまは、向こうの世界に居る夢を見ていました。いつもより鮮明に、そして現実と思えるくらい……空気を、感じているようです。
『立花』
『お母さん』
『帰るわよ』
『……それは』
『立花。言う事を聞きなさい』
『……』
向こうの世界に居た頃の、リッカさまならば……お母さまの言う事を聞いたでしょう。ですが……リッカさまは、動いていないようです。
『お母さん』
『立花。ダメよ』
『帰ります』
『そうよ。早く家に』
『ここに、私の欲しい物はありません』
『立花。悲しい事を言わないで』
『……行ってきます』
この夢を見るという事は、少なからず……向こうの世界に戻りたい気持ちが、在るのだと思います。当然です。こちらの世界にはない平和が、平穏が向こうにはあります。家族が心配している事も、リッカさまは分かっているでしょう。ですがリッカさまは、迷いませんでした。
私は、声が聞こえているだけなので……リッカさまのお姿が見える訳では、ありません。ですがきっと、リッカさまは――いつものように、私を想っている時のように、優しく微笑み……堂々と、告げたのでしょう。
向こうの世界を、リッカさまが走っているようです。”神の森”までの道。何年も通い続けた道だけに、普通ならば目を瞑っていても着く事が出来たでしょう。ですが――。
『ここ、どこ……?』
迷うはずがない場所で迷う事に、リッカさまの『恐怖』が刺激されていきます。『恐怖』です。どうしてこの夢を見る事になったのか。その元凶が――現出、しました。
『分かっとるだろ』
『……っ』
いつもの夢みたいに……こちらに戻る為の儀式だったはずです。『恐怖』を”秘密”に仕舞い込む、儀式。それなのにマクゼルトが、出てきました。大侵攻時、目覚める直前に視た時の、ように――。
『俺が初めから魔法を使っとったらどうなったか』
リッカさまが付けた傷を残したマクゼルトが、話しかけてきています。マクゼルトの性格からして、このような負け惜しみは言いません。敗北を確信して尚、リッカさまを迎え撃つために手を伸ばした狂人なのですから。だからこれは――リッカさまが、考えている事です。
『次は殺す』
魔力砲は、凄いです。ですがそれを支えているのは、リッカさまの読みと感知、第六感です。魔力砲は自動ではありません。リッカさまの想像を超えた一撃……見た事の無い初撃や反応出来ない一撃、躱せない状況等が重なった時――魔力砲を合わせられない可能性が、あります。幹部達と魔王は、その隙を狙える力があるのです。
マクゼルトが霧散し、景色が晴れたようです。不安を認識し、心の中で整理出来たのでしょう。多分、起きた時にはもう――リッカさまは不安を述べる事無く、前を……向いています。
景色が晴れ、これで”神の森”に行けるとリッカさまは駆けだしました。しかし――”神の森”が見えて来たのに、近づけないようです。
『帰りたくありませんか?』
『アリス、さん』
遂に……私が、出てきたようです。夢の中の私に、リッカさまは近づいてきてくれました。でも、”森”からは遠いままです。私は……番人のように、立っているのでしょう。
『このまま、こちらで過ごしても良いのです。私も共に、居ますから』
多分、今の状況なら……私は、そう言ったと思います。ここは夢の中です。本音を話せます。声に出すのはきっと、「前に進みましょう」です。でも――本音では、リッカさまは平和な世界に居て欲しいと思っています。ずっと……今も、これからも……。
『私の心の、アリスさん』
『はい。リッカさま』
『すぅー……はぁー……』
深呼吸したリッカさまの瞳は――赤い炎を、携えているのでしょう。見えないのに、そうだという確信があります。
『私は、頼りないかな』
リッカさまが居ないと、私は前に歩けません。
『リッカさまが居ないと、私は前に歩けません』
一言一句間違える事無く、リッカさまは私を理解しています。だから、この確認作業は――あの時と、一緒です。リッカさまの覚悟を支えているのは……私、なのですから。
『一緒に、行って良い?』
どこまでも、永遠に。
『どこまでも、永久に』
最後の問いは、外れて、しまいました。リッカさま、私は……例え、もしもが起きようとも……そうならない為の努力を惜しまず、貴女さまを愛し続けます。終わりのある、永久ではなく……貴女さまを、永遠に。
『行こう』
はい。私は絶対に、待っています。
『はい。私もきっと、待っています』
『……うんっ』
この違いが、一致した時……きっとリッカさまは、自覚するのでしょう。それまで私は――絶対に、ずっと、待っています。リッカさまが”神の森”に入っていき……そして、目覚めました。
「おはようございます」
「うん。おは、よう」
ベッドに腰かけていた私と目が合ったリッカさまは、気恥ずかしそうにしながらも――頬を綻ばせています。
「どれくらい……」
「六時間程、です」
私もリッカさまの夢に居たから、でしょうか。時間が一気に進んだような感覚がしています。シーアさん達のお昼……作り損ねて、しまいました。
(リッカさまの傍に居たかったので、お昼は作りに行けなかったと、思いますけど……)
「そっ、か」
「……」
そっとリッカさまを、抱き締めます。私の方から、言わないといけません。
(次こそは、次こそはと、言うだけになっていますが……次こそは、貴女さまと、共に……)
「何も出来ないって……辛いの、ですね……っ」
こんなことを、言いたかった訳ではありません。なのに……あの夢を、視て、我慢出来なく、なってしまいました……。
「アリスさんが居てくれたから、マクゼルトの意識が分散してたんだよ? 本当ならもっと……攻められてた」
何も出来ていないと、しても……いつもは、補助くらいは出来ています。でも今回は……それだけ、です。それだけでも救いにはなっていたのかもしれません。でも……安全な場所から隙を伺うだけでは、何もしていない事と同じです。私は結局……マクゼルトへの止めを邪魔しています。
(これ、以上……弱音を吐くわけには、いきません……っ)
「傷つくリッカさまを見続けるだけなんて……二度としたくありませんっ」
リッカさまに体重が掛からないように、乗ると……リッカさまの頬に、ぽたぽたと雫が落ちてしまいました。
「私は、リッカさまを……っ……」
弱音が零れたから、ですね。まだ言ってはいけない事を、言ってしまいそうになりました。
「とにかく……しばらくは、安静にしていてください……」
「うん」
私を抱き寄せたリッカさまが、背中を撫でてくれています。力が、ありません。背中に手を置く事で……精一杯、なのです。
『アリスさんをこれ以上心配させたくない……アリスさんを傍観者にさせない方法……人質を取られるのだけは、絶対避けないと』
「リッカさま。安静にしてください」
「う、うん」
考え事を始めてしまったリッカさまの胸に顔を埋め、ぐりぐりとします。考え事は、完治してからです。
「シーアさん達は、大丈夫?」
「はい。船に戻っていますよ」
「あまり確認出来なかったけど、無事なら……良かった」
「さぁ、休みましょう。リッカさまが疲れたままでは、皆さんも安心出来ませんよ」
「はーい……」
私が一番、安心出来ません。
「リッカさま……」
「うん?」
「……」
『寝ちゃった、みたい』
「おやすみ。アリスさん」
『こんな時、敬称略出来たら……』
「アリス…………さん」
惜しい、です。
『くっ……。不貞寝しちゃおう』
「………おやすみなさい。リッカ」
私も、へたれさんですから……眠っている時しか、言えません……ね……。
ブクマ評価誤字報告ありがとうございます!




