表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
六花立花巫女日記 外伝  作者: あんころもち
42.氷解
434/952

『トゥリア』悔恨⑬



 甘く見た結果、ですね。巫女さん達があれだけ言っていたのに、警戒せずに寄り道した罰でしょう。神隠しとは違いましたが、魔王の狡猾さには気を付けろと言われていたのに……人質に、取られるなんて。自戒する気持ちは強いですが――今は反省よりも、自分の感情をどう片付けるか、少し困っています。


「村民が何を言うか賭けますカ」

「賭けになるのか? どうせ俺等を責める罵声しか出ねぇぞ」

「その第一声を当てようって話ですヨ。ここだけの話、村民が変な事を言えば私はキレる自信があるのデ、気を紛らわせようと思いましテ」


 巫女さんが見せた激怒からして、何か変な勘違いをしているのでしょう。私達の所為でリツカお姉さんが一人で戦って……巫女さんに、あんなにも歯痒い想いをさせてしまいました。村人の所為でリツカお姉さんが追い詰められた訳ですし、ここでその村人から何か言われたら、我慢出来る気がしません。


 それが八つ当たりであろうとも、文句の一つや百言わなければ気が済まないでしょう。


「この度はありがとうございましタ。でどうでス」

「自分から負けに行くとか、何か裏があるんじゃねぇだろうな……?」


 事なかれ主義の村周辺で戦っていたなんて、村人にとっては迷惑でしかありません。感謝なんてまず出て来ません。


「まァ、遊びですヨ。晩御飯のおかず一品ってとこですカ」

「……それはお前にとって損になるんか?」

「なりませんネ。巫女さんは私が満腹になるまで用意してくれますシ」

「遊びなら、そんなもんか」


 遊びですけど、私は遊びでも本気っていうのは――サボリさんは知らないんですっけ。


「ただ今日ハ、リツカお姉さんの看病があるでしょうシ、私が作ることになるかもしれませんネ」

「……勝っても負けても、俺が損する未来が見えるんだが」

「何言ってるんでス。そんなはずないじゃないですカ」


 賭け何ですから、もっと真剣に考えてくれないと気が紛れません。


「私が負けたら味見する権利を上げましょウ」

「やっぱ損じゃねぇか。阿呆が」

「それデ、どんな言葉が出ると思いまス?」


 非常に心外なのですけど、サボリさんが真剣になってくれたので良しとします。


「……良く帰って来たな。ウィンツェッツってとこか」

「外しに来ましたネ」

「勝ったらてめぇの毒見係だろが」

「毒見とは失敬ナ」


 食べられない物を作った記憶はありませんよ。そこらへんの成金と一緒にしないでください。私はパンくず一欠片すら大切にするくらい食にはうるさいんですけど。


「デ、何を賭けるんでス」

「何だって良いんだが」

(どうせ外れるしな)

「じゃあ私が決めまス」

「……まぁ、良いぞ」


 自分を信じる事が、賭けでは重要です。負けはないと確信しているのでしょうけど、相手に主導権を渡してしまうとは。だから遊びではないと示して上げたのに、変な所で適当なんですから。


「晩御飯の選択権」

「は?」

「サボリさんが負けたラ、晩御飯は私が決めまス」

「おいそれは結局」

「味見役でス」

「……」

「どうせ勝者は居ないんでス。気軽に行きましょウ」


 こればっかりは村人次第なんですから、深く考えても意味はありません。まァ、どちらに転ぶか分からない以上、良い条件を揃えるのは当然ですよね。


(選択を、間違えちまったのか?)


 さて、村人がすぐそこまで来ているようです。今回足手纏いでしかなかったのですから、何としても浄化出来るくらいには村人達との和解を図りたいと思ってます。


(まァそれも、村人次第ですけど)

「よく帰って来れたな。ウィンツェッツよ」


 おっとこれは、思わぬ言葉でしたね。怒っていると分かっていましたから、怒鳴るか挑発的な言葉になるかの二択だったんですけど、随分と性格が悪い代表みたいです。


「私の負けですネ」

「……何?」


 その話は後にしましょうサボリさん。相手から視線を外すのは、頭を下げる時だけにしないといけませんよ。謝罪をするときは特に、誠意を見せないといけない訳ですから。


「ここで何をしているのかね」

「チッ……お前は後だ。何をしてるも何も、今から帰るとこだ」


 ”巫女”のお役目と言えない以上、帰る事に異論はありません。ただ、後程少しだけ村の中を歩かせて欲しいとは思っています。これはその話し合いです。


「ここは慰霊の場だ。こんなに滅茶苦茶にして、何を考えているんだ」

「文句は別の奴に言ってくれ。俺等もここで戦うつもりはなかったんだからな」

「成長しないな。ライゼの教育があってそれでは、生まれつきなのだろう」


 何というか、成長しないのはどちらも一緒ですよね。サボリさんからすれば、村人の方が呆れる程変わっていないのでしょうけど。サボリさんが会話の姿勢を取っているのに、相手は――ただの確認に来たって感じですね。


「マクゼは何処に居る? 生きていたと聞いたが」

「さぁな」

「恍けるな。お前達と戦っていたのは知っている」

(相も変わらず決め付けと不遜か)


 既に結果があって、その為の確認をしているだけなのでしょう。だからサボリさんが何を言っても返事が簡素で――どこかズレています。私も謝罪を忘れて呆れるしかありませんね。といっても、浄化の為に我慢しないといけないでしょう。


「私が話しまス?」

「いや、お前ぇはそこに居ろ。ガキに言い負かされたとあっちゃ、余計拗れんだろ」


 サボリさんの方が余程冷静ですね。ただ、流石の私でもいきなり論破したりしませんよ。


「そんで。俺が何したってんだ。確かにここで戦ったのは悪ぃと思ってるが」


 慰霊碑の前で戦った事は、素直に謝ります。死者を悼む気持ちは私達にもあるのです。ただ、私達も不本意だった事は分かってください。


「マクゼと仲違いでもしたのか?」

「仲が良かった時なんかねぇよ」


 話が噛み合いませんね。こういう時が一番苛立つのは、私もサボリさんも一緒です。北部後半に入ってから、本当に……人の話を聞かない人ばかりで困ります。


「何か言っていなかったか?」

「あ? 言ってねぇよ」

「マクゼとの喧嘩、何をした?」

(まるでマクゼルトが良い奴みてぇに言いやがって、殺されかけた奴はどんな伝え方したってんだ)


 まるで、マクゼルトは正常な判断力を有していて、粗相をしたサボリさんを叱っていたと言っているように聞こえるのですが――本当に、そういう意味で言っているのでしょう。サボリさんがやらかしそうに見えるのは同感ですが、あのマクゼルトを見て正常と思える神経の方がおかしいですよ。


(まァ、先程の村人が居ない当たり――気絶なり何なりしていて、話しが出来る状態ではないのでしょう)


 大方概要だけ聞いて、勝手に想像して怒っていると言ったところでしょうか。流石に「自分もマクゼルトから殺されかけた」と聞いていたら、ここまでこちらが悪いと決めつけないと思います。


「こっちは何もしてねぇ」

「嘘をつくな。マクゼが理由無く暴力を奮うことはない」

「話にならねぇ……。何が言いてぇか用件だけ言え」


 ああ、威圧してしまいました。昔はどうだったか知りませんが、今のサボリさんはお師匠さんやリツカお姉さんから修行を付けて貰って、達人の域に踏み込もうとしています。そんな人が一般人を威圧してしまったら、話し合いになりませんよ。


「すぐに、立ち去れ」

「何だ。処刑でもするのかと思ったが」


 元々は力尽くで排除するつもりだったのでしょう。ですがサボリさんが強くなっていると理解し、帰れと命令するだけに留めたように見えます。つまるところ、小心者という事です。


(来訪者に強く当たり散らすのも、怖いからなのかもしれませんね)

「そのまま下がっても良いが、一つ答えろ」

「……何だ」


 質問になんか答えないと思いましたけど、答えてくれるようです。答えないとやられるとでも思ったのでしょうか。そうだとしたら、もはや和解は無理です。


「もしこの村に”巫女”が来たらどうなる」

「……質問の意味は分からんが」

「ただの好奇心だ。見た事ねぇ教会と石碑が建っとるからな」


 本題に入る前の確認作業は必要でしょう。ただ、直接すぎです。警戒しきっています。


「……あ、お前等……!!」

「あァ、やっと気付いたみたいですネ」

「基本的に、他人に興味をもたねぇからな」


 村の入り口で話を聞いた男性が気付いたようです。


「どうした」

「コイツら……教会の事を聞いてきた連中です……ッ」

「一体何を訊きたいのだ。お前達は」

「だから、好奇心だと言っとる」


 流石に”巫女”が来ているという事は露呈したでしょうけど、質問の意図には気付けないでしょう。頭が硬い方達のようですし。現に、怪訝そうな表情を浮かべながらも答えてくれるようです。


「決まっている」

「……異端者は火あぶりと決まっている」


 向こうの世界でも、異端審問があったとリツカお姉さんが言ってましたね。お二人が”巫女”と分かっているのは殺されかけた村人だけですし、活動は出来るでしょう。今までの非礼を詫び、教会の教えを乞う形で村に入れて貰うのが一番ですね。


(その為に先ずは、サボリさんが頭を下げ――)

「世界から見ればお前等の方が異端者だがな」


 ええ……何でそこで挑発するんです? まさかと思いますが、早々に浄化を諦め、そのまま帰るつもりじゃないでしょうね。


「ライゼは巫女の所為で死んだのだ。お前も本当は恨んでいるのではないか?」

「ライゼは死んでねぇ」

「そう思いたい気持ちも分かる。何しろお前はライゼにべったりだったからな」


 煽り合いになってしまいました。実際意地で探している面が大きいでしょうけど、サボリさんはお師匠さんの生存を信じてここまで来た訳ですから、無視出来ないのは分かりますけど。


(それにしても、べったりですか)

「ほゥ」


 尊敬し、父と慕っていたというのは知っています。ただ、べったりとは知りませんでしたね。


「コイツの前で阿呆な事言うんじゃねぇよ」


 否定しない当たり、本当みたいです。本当はもっと詳しく聞いてみたいのですが、そんな事をしている場合ではありません。思い出話で少しは和やかな雰囲気になるかと思いましたけど、向こう側の様子は一切変わっていないようです。


「お前もライゼに倣い、浮浪児を抱えているではないか」


 お師匠さんを敬愛したままだから、お師匠さんのように浮浪児を抱えているという意味なのでしょう。しかし、浮浪児とは一体――まァ、私しか居ませんね。カチンと来ました。

 

「それって私でス?」

「マントが汚れてる所為だろうな」


 確かに汚れてますし、()()()()()()()()()小汚く見えるのでしょうね。元老院のお馬鹿もそうでしたし、成金の殆どがフード付きという点で貶してきます。


(お姉ちゃんからの贈り物を貶されて大人しく出来る程、私は大人じゃないんですよ)

「まァ、孤児を抱えてるんですかラ、完全に間違いではないでしょウ」

「……」


 それでも、ここは――サボリさんを弄るだけで、抑えましょう。これ以上巫女さん達に心労を掛けたくありません。浄化くらいは成功させて、この村を出て行きます。


「巫女は災いを齎す。お前に続き巫女にまで関わったばかりに、ライゼが……」


 容赦なくお師匠さんを追放した人達が何か言ってますが――いえ、サボリさんだけ追放するつもりが、お師匠さんが責任を取ったんでしたね。どちらにしろ、お師匠さんの人生にこの人達が口出しする権利はないでしょう。お師匠さんは、自分の意思で”巫女”のお役目に手を貸していたのですから。


「……」

「やはりライゼがお前を拾ってきた時、無理やりにでも止めるべきであった」


 サボリさんの所為でお師匠さんが出て行ったと言っていますが、そもそもの原因は今も村に居るであろうお馬鹿の所為ですよ。「愚者とは、真実を知らぬ者ではなく知ろうとしない者」とは、巫女さんの言葉です。


「ま。それは思うがな」

「どうでしょうネ。そうなるとお師匠さんはアンネさんに会えなかったでしょうシ」

「あぁ……そういやそうだな」


 アンネさんの事とか関係なく、お師匠さんは後悔なんてしてませんよ。相変わらず、変な所で後ろ向きですよね、サボリさんは。


「答えたぞ。さっさと去れ。お前が居ると、また災いが襲い掛かってくる」

「あぁ」


 いや、「あぁ」じゃありませんよ。何を普通に帰ろうとしてるんですか。


「ウィンツェッツよ」

「何だ」

「ライゼは死んだのだろう?」

「……そう思ってれば良いだろ。どうせ信じねぇんだからよ」

「っテ」

「あん?」

「どうしてくれるんで――スっ!」

「ッテェ……ッ!?」


 膝裏を私に蹴られ、跪いたサボリさんが痛がっていますが――かっこつけてる場合ではないでしょう。サボリさんが我慢すれば、和解出来そうな機会が沢山ありましたよね。


「もう浄化不可能じゃないですカ」

「アレで良いんじゃねぇか。デカイ赤いので一薙ぎだろ」

「浄化は出来るでしょうけド、巨大化したリツカお姉さんが村人を襲ったって事実が生まれますヨ」

「じゃあどうすんだ」

「それをどうかする為の話し合いだったのニ、何を帰ろうとしてるんでス」


 こちらはいくらでも頭を下げるつもりだったのに、挑発するせいで機会を奪われっぱなしですよ。何か解決策はないでしょうか、丁度良いところに()()がありますから座って考えましょう。座り心地の悪い椅子ですね。無駄に高くて硬いですし、”水球”に包んでさしあげましょうか。


「もう無理ですヨ、こレ」

「だろうな」


 何を、他人事のように言ってるんですか。


「カチンときましタ。味見覚悟しておいてくださイ。今まで試せなかったの全部試しますかラ」

「つーか。賭けはお前も俺も負けだろが」

「サボリさんの勝ちですヨ」

「どこが」

「良く帰って来たナ。ト、良く帰って来れたナ。似てるでしょウ」

「いや無理があるだろ」

「一文字違いですヨ。サボリさんの勝ちで良いでス。おめでとうございまス」


 はぁ。もう終わった事をぐちぐち言っても仕方ありません。幸い、巫女さんとリツカお姉さんの姿を知っているのは一人だけです。その一人に気を付けていれば、こっそりと村を歩けるかもしれません。


「まァ、巫女さんと相談しますかネ」

「……じゃあそこを退け」

「はいはイ」


 無駄にサボリさんを警戒し、すぐに暴力を振るう野蛮人と村人は思ってるんでしょうね。私に跪かされ、椅子にされたサボリさんを見て茫然としてますよ。もっと見せて上げた方が良いんじゃないですかね。少しは印象を変えられるでしょう。まァ、座り心地最悪なので、私としてもさっさと降りたいって思っていました。


(リツカお姉さんの容態も気になりますし)


 船に戻りましょう。



 

 船は、無事です。周辺に人も居ませんし、影は…………大丈夫だと、思います。


「まずは……お風呂に入れたいですけど、起こす訳には……」


 休息の為に、眠ったままにしてあげたいです。だから――失礼します、ね。


「脱がせ、ますよ」


 初めての時は、ローブを切って脱がせてしまいましたが……今回は、大丈夫です。ボタンを外し、手を差し入れてゆっくりと脱がせていきます。血が乾き、張り付いているので……勢いよくやってしまうと、剥がす時に傷ついてしまうかもしれません。


「無事……とは言えませんね……」


 内臓の損傷以外は、擦り傷が殆どでした。とはいえローブもぼろぼろで……血が着いてない所がないくらい、です。しかし……目に見えない部分の損傷が……消耗が、問題でしょう。


「……傷は、治せます……心の、傷も……自意識過剰で、なければ」


 少し、自嘲してしまいます。痛恨を雪げなかったからか、再びへたれな私が前面に出て来てしまったようです。体と心の傷は、私が……治して、みせます。ですが魔力は……生命力は、私では癒せません。


「……」


 シャワーで、血と泥を流していきます。シャワーよりも、リッカさまの頬の方が熱いです。熱が、出てしまったのでしょう。”治癒”を掛けつつ……後程、薬を処方します。


(寿命を計る術が、ある訳ではありませんけれど……)


 大侵攻時、私も生命力を消費して魔法を使いました。少なからず、寿命が縮んだという感覚があります。魔法という形での消耗で、あんなにも尾を引いたのです。


(それを……)

「あんなにも……っ」


 幾度、繰り返したのでしょう。マクゼルトが拳を振り回し……リッカさまが斬り込んだ分だけ、魔力砲を撃ったはずです。あの暴風を防ぐ魔法を、私も考えて、いたのですが……使えるのかどうか、確かめる事すら出来ませんでした。


「……っ」


 悔しさに、下唇をきゅっと、噛んでしまいます。ちくりと痛みが走り、私は……ハッとして、自分の唇に手を当てました。血は、出ていません。リッカさまに守られた体を、私が傷つけてしまうところでした……。


「体、流しますね」


 撫でるように、血と泥を落としていきます。触れると、リッカさまの状態がより詳細に分かるのですが……やはり、気のせいではありません。


(魔力砲を撃った回数は、覚えています)


 鮮明に、鮮烈に、私の目に焼き付いています。だから……放出した魔力と、今の体調が合いません。私も一度、生命力を使った身ですから、良く分かっています。


 重傷……いえ、重体一歩手前である事に変わりはありません。生命力も消費しているのですが……私の時よりも、回復が早いです。限界を超えて、魔力砲を撃ったあたりから……魔力消費を生命力に切り替えた時から、私との違いを、感じてはいたのです。


()()()()()()()()()()()()説明出来ない量を撃ち込んでいたはずなのですけど……)


 そう済ませてしまって良いのかは、分かりません。でも……もしもあれが、リッカさまの魔力だけだったら……最悪の事態は、ありえました。だから、嬉しい誤算で良いのです。私は、そう……思っています。


「私も中々……約束を、守れませんね……」


 紙一重、です。きっと皆は、今回は仕方ないと……言ってくれるのでしょう。結局私は……マクゼルトの警戒から抜け出せませんでした。リッカさまが作り出してくれた隙を、活用出来なかったのです。


(同じ状況にはならないと、思っていますが……例え自由に魔法を撃てる状態であろうとも、このままでは足手纏いに……)

「後悔は……今、全て……」


 シャワーが私の頬を叩き、髪が張り付いてきます。単調な音と感触が、私の気を滅入らせていくのでしょう。貴女さまの鼓動を聞いていないと……この静寂には、耐えられないようです。


「貴女さまが起きたら、感謝だけを……言えるように」


 抱き締め、胸に顔を寄せ……鼓動を聞きます。


「今は、少しだけ――」


 それだけでは、足りないと――私は顔を、リッカさまの額に寄せました。



ブクマ評価誤字報告ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ