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六花立花巫女日記 外伝  作者: あんころもち
41.成長と変化
426/952

記入日 A,C, 27/04/05



 ・シーアさん 好調。


 ・レイメイさん 好調。


 休息をしっかり取り、北部前半の疲れは残っていないと思う。彼女と私も、北部後半に向けて心と体を充足させた。体調は万全。”巫女”とアルツィアさまの威光が届いていない事も考慮し、対応の話し合いも終わっている。後は実際に確かめるだけ――と、思っていた。


 今日のお願いはマッサージ。朝の内に使った理由は、北部後半の状況次第では、お願いを使う機会がなくなるかもしれないと考えたから。最後かもしれないと考えたら、惜しいけれど……最後かもしれない触れ合いは、より一層素晴らしいものに出来たはず。


 彼女の嬌声……いえ、気持ちの良さそうな声を聞いた限りでは、上手くマッサージ出来ていたと思う。彼女のマッサージも、すごかった。あんなにも体の奥に効いたマッサージは初めてだったから。次があるか分からないけど、その時は私も――もっと凄いマッサージが出来るようにしたい。


 彼女の蕩けた表情と声が、疲れた頭に蘇ってくる。眠る前に……もう一度してみたいと、思ってしまった。彼女が癒しを求めている。私も、頭と体が癒しを求めているみたいだ。今日は、北部後半の洗礼を受けたようなものだから。



 先代”巫女”である、ルイースヒェンさんが次の町、メルクに居た。知らなかった。ここがあの人の故郷だったなんて。


 私から”巫女”の資格を奪おうとした人。私から彼女と出逢える権利を、奪おうとした人。私のトラウマ、その物。


 乗り越える事は出来たと、思う。彼女のお陰で、ルイースヒェンさんと正面から言い合えたから。だけど――やっぱり、赦そうとは思えなかった。


 過去の事もそうだけど、あの人の所為で彼女が……いや、人の所為にしてはいけない。私の所為だ。私の、力不足の所為。


 ”アン・ギルィ・トァ・マシュ”は確かに効果を発揮した。やはり”悪意”には良く効くようだ。だけど――詠唱を短縮する事が出来ない。魔力を練る時間が長い。顕現から攻撃までは私の想い次第だけど、詠唱と魔力がどうしても、戦闘に不向きすぎる。


 それでも、成長はしているのだ。”アン・ギルィ・トァ・マシュ”後、少しだけ魔法が使えるようになった。それはつまり、魔力を練る時間だけは短縮出来るかもしれないという事。効率を上げられる可能性が生まれたのだから、突き詰めていこうと思う。


 詠唱は……諦めるしかない。あれは私の想いの全て。彼女への想いを世界へと届ける大切な言葉。短縮しようと考える事自体、”アン・ギルィ・トァ・マシュ”を弱くしかねない。先手を取るには、能力を自在に操るしかないようだ。


 不甲斐なさに、肩を落としてしまうけれど……”アン・ギルィ・トァ・マシュ”が魔王に有効と分かっただけ、前進出来たと思う。落ち込むだけの私はもう居ない。


 彼女の為に、私は前だけを見る。ルイースヒェンさんも、これからは先を見て欲しい。”巫女”があなたの人生を壊してしまったけれど……全てを奪った訳では、ないのだから。



 次の町ゾォリでは、まだ様子見しか出来ていないから、”悪意”があるかどうかは分からないけど……問題が起きている。シーアさんを連れ戻す為に共和国元老院達が来ているのだ。少し話しただけでも、嫌いになってしまうくらい……権力に染まった人達だった。


 シーアさんの気持ちが一番大事だけど、シーアさんの想いが叶えられるように、私は手伝うだけだろう。元老院の好き勝手を許せば、王国だけでなく……共和国や連合さえも巻き込んだ混乱が起こると分かってしまった。


 世界規模の混乱なんて、”悪意”がどれだけ吹き荒れるか分からない。何としても阻止し、シーアさんと共に……共和国の歪みも正す必要がある。


 明日の事は明朝考える時間があるだろうし……今日は少し、早めに眠らせて貰おう。彼女が自分の膝をぽんぽんと叩いて、呼んでいる。すぐに、行きますね。



ブクマ評価誤字報告ありがとうございます!

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